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女子ゴルフ元世界1位の申ジエが語った「日本の若手成長の理由」「韓国19歳の不正行為」の問題点

金明昱スポーツライター
34歳の申ジエは今も若手のお手本となっている(写真:Nippon News/アフロ)

 韓国と米ツアーで賞金女王となり、元世界ランキング1位にも君臨した申ジエ。2014年から日本ツアーを主戦場とし、悲願の賞金女王のタイトル獲得に向けて邁進している。

 近年、日本の女子ゴルフ界は“黄金世代”や“プラチナ世代”、“新世紀世代”と呼ばれる若手の活躍が目立ち、特に今シーズンは国内メジャー「日本女子プロゴルフ選手権」を制覇した川崎春花や「住友生命Vitalityレディス 東海クラシック」で初優勝した尾関彩美悠といった19歳のルーキーの台頭も目覚ましい。

 そうした若手の成長に驚きを感じているという申ジエ。韓国経済紙「アジア経済」の単独インタビューに応じ、日本女子ゴルフの成長とその背景についてこう語っている。

「私が日本に来た当時は、今のように目立つ活躍をする若い選手たちは多くありませんでした。9年が経った今、日本女子ツアーは目覚ましい変化を遂げました。2000年前後に生まれたいわゆる“黄金世代”が日本ツアーだけでなく、米ツアーにも進出しています。現在の若手選手たちを見ると本当に驚きます。今季、初優勝した選手だけで9人もいます。昔は上位と下位の選手の差が大きかったですが、近年は全体的に実力が向上して、選手層が厚くなったと感じます」

 また、日本の女子ゴルフの成長の背景については「韓国と似たようなシステムになってきた」と語っている。

「韓国で“ゴルフ・ダディー”と言えば、韓国女子選手たちの親を思い浮かべますが、もうそうではありません。今では日本でも選手を支える熱心な親が増えています。体系的で集中的な練習とトレーニングを通して、実力が上がっています」

 米ツアーで頂点に立ち、日本ツアーでも若い選手たちの模範にもなってきた申ジエ。日本ツアーのレベルが上がっているのは彼女が言うのだから間違いないだろう。

申ジエが考える“プロフェッショナル”とは

 また、インタビューでは今季の韓国女子ツアーで、誤球したことを知りながらも、その事実を隠してプレーを続けた19歳のユン・イナの不正行為についても触れていた。

 ユン・イナには“ツアー3年出場停止処分”が下されたが、申ジエは今回の事態は選手個人の問題だけでなく、韓国ゴルフのシステムにも問題があると指摘している。

「若い選手たちが、その年齢に必要となる基本的な教育を受ける時間が、絶対的に不足しています。それは社会的な関係を築く方法、基本的な道徳に関する教育などです。そのような機会がないまま、社会と言論の“表”に出たことで、悲しい出来事が起こってしまった。プロフェッショナルとは、直訳すれば“専門家”です。一つの分野の専門家というのは、実力だけあれば得られる呼称ではないと思います。ゴルフだけうまければいいのではなく、品格と品位も必要です」

 プロゴルファーはゴルフの実力を上げるのと同時に人として必要な品格を備えてこそ、一人前という考え方だ。“世界を知る”申ジエだからこその思考とその言葉から、学ぶべきものは多い。

スポーツライター

1977年7月27日生。大阪府出身の在日コリアン3世。朝鮮新報記者時代に社会、スポーツ、平壌での取材など幅広い分野で執筆。その後、編プロなどを経てフリーに。サッカー北朝鮮代表が2010年南アフリカW杯出場を決めたあと、代表チームと関係者を日本のメディアとして初めて平壌で取材することに成功し『Number』に寄稿。11年からは女子プロゴルフトーナメントの取材も開始し、日韓の女子プロと親交を深める。現在はJリーグ、ACL、代表戦と女子ゴルフを中心に週刊誌、専門誌、スポーツ専門サイトなど多媒体に執筆中。

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