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「親の年収・学歴」と「子どもの学力」が正比例する時代に

碓井広義メディア文化評論家

教育社会学の第一人者、お茶の水女子大学の耳塚寛明教授は、母校である松本深志高校の一年先輩。現在は、お茶大の副学長でもあります。

その耳塚先輩が、文科省の「全国学力調査」で研究リーダーを務めました。

公立学校778校で保護者約4万人へのアンケートを実施し、分析した結果、「親の年収や学歴」と「子どもの学力」が“正比例”する実態が明らかになっています。

ちなみに、年収などと学力の関係について、国が委託して全国的な分析を行ったのは初のことだそうです。

3月29日付けの朝日新聞によれば・・・・

「本・新聞」「親子の会話」学力のカギ 環境不利でも工夫の余地 全国学力調査分析

全国学力調査の詳細な分析結果が28日公表され、親の年収や学歴の高さに子どもの学力が比例する傾向が明確になった。一方、不利な環境でも学力を伸ばすために、親や学校が工夫すべき要点も見つかった。かぎは、「読書」や「親子の会話」などだ。

研究班は、年収と両親の学歴の高さから4グループに分けて分析。それによると、年収水準・学歴が高く、学校外の学習時間が長い子ほど学力が高かった。

ー中略ー

研究班代表の耳塚寛明・お茶の水大副学長は「社会経済的な学力格差の動向は国が定期的に監視する必要がある」と指摘した。

(朝日新聞 2014.03.29)

・・・・まあ、実感としては、ずいぶん以前からその傾向はありましたが、あらためてデータで示されると、「格差社会」のエグイ一面を見る思いです。

多分、大学生の保護者の平均年収で一番高いのは東大でしょう。

こんなバカ話を聞いたことがあります。

近年、東大の女子学生に美人が多い、と。本当かどうか、知りませんよ(笑)。そういう、話です。

まず、東大などの高偏差値大学を出た高学歴・高収入の男性は、高学歴にして美しい妻をめとる確率が高い。両者の間に生まれた子は、これまた頭脳優秀にして眉目秀麗に育つ可能性が高い。

しかも幼少時より、塾だろうが、お受験だろうが、名門私立小学校だろうが、とにかく経済的に余裕があるから、教育にお金をかけられる。

やがて親と同様、高学歴・高収入となり、そしてまた、子どもが生まれ・・・という話でした。格差の循環というか、もはや立派な「階層社会」です。

記事にある「環境不利でも工夫の余地」というのも分かりますが、そう簡単じゃないことも想像できます。

かつて、「貧家の秀才」の出世物語は普通に存在しました。でも、それが通用しない社会になりつつある? そりゃ、辛い。

ホントにどうしたらいいんでしょうね、耳塚先輩。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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