新型コロナの陽性反応が6選手も出たサッカー韓国代表はなぜメキシコ代表と対戦できたのか?
試合前に選手6人とスタッフ1人から新型コロナウイルスの陽性反応が出るというまさかの事態に、韓国代表の選手やスタッフたちは、困惑していたはずだ。
韓国代表対メキシコ代表の国際親善試合が14日(日本時間15日午前5時)、オーストリアで行われ、3-2でメキシコが逆転勝利した。
韓国は前半20分に左サイドからのソン・フンミン(トッテナム)のクロスにファン・ウィジョ(ボルドー)が合わせて先制。しかし、後半に入って67分、69分、70分に立て続けに3点を許してしまう。終盤に1点を追加したが、そのまま試合は終了した。
新型コロナ陽性の選手が出たことで、一時は中止も噂されたが、予定通りに行われた。どのようにして試合開催に至ったのか、その背景を少し探ってみた。
13人以上が陰性なら試合の開催は可能
オーストリア現地時間の12日午後5時(日本時間13日午前1時)。韓国代表の選手たちはPCR検査を行った。
その結果、大韓サッカー協会(KFA)は14日(日本時間)にファン・インボム(ルビン・カザン)、クォン・チャンフン(フライブルク)、イ・ドンジュン(釜山アイパーク)、チョ・ヒョヌ(蔚山現代)の4選手のほか、スタッフ1人から新型コロナの陽性反応が出たと発表。
その後、再び陰性だった選手を対象にPCR検査を実施した結果、キム・ムンファン(釜山アイパーク)とナ・サンホ(城南FC)から新たに陽性反応が出ている。
計6人の選手から陽性反応が出たが、いずれも症状はほぼないという。
その上で、大韓サッカー協会(KFA)は15日午前1時(日本時間)に緊急報道資料を出した。試合開始4時間前のことだ。
「メキシコサッカー協会、オーストリアサッカー協会の関係者と会議した結果、韓国とメキシコのAマッチは予定通りに行うことを決定した。メキシコサッカー協会とオーストリアサッカー協会は、10月と11月のAマッチの事例に沿って、試合を行うことを希望しており、KFAも諸般の事情を考慮して、両協会の要求をのんだ」
FIFA(国際サッカー連盟)とUEFA(欧州サッカー連盟)の規定によれば、出場可能な選手(新型コロナウイルスのPCR検査で陰性)が13人以上(GK1名を含む)の場合は試合を行うのは可能となっている。
今回の韓国代表メンバーは25人。そのうち6人から陽性反応が出たが、19人は試合出場が可能のため、予定通りに開催されたということだ。
日本代表対パナマ代表の事例も参考に
それに“10月と11月のAマッチの事例”を参考にしたことも大きいという。
韓国紙「朝鮮日報」は「13日にオーストリアのグラーツで行われた日本代表とパナマ代表の試合でも、パナマの選手2人が新型コロナの陽性判定を受けたが、そのまま試合は行われた」と伝えている。
また、同紙は10月にポルトガル代表FWのクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)が新型コロナの陽性判定を受けたことも事例に挙げ、「ロナウドがAマッチ(ネーションズリーグのスウェーデン戦)を前にコロナの陽性判定を受けたが、彼を除いて試合は通常通りに行われた」と報じている。
試合が無事に行われたのは一安心だが、韓国代表だけでなく、これから国際Aマッチを開催するすべての代表チームに大きな感染リスクがあることを改めて知る機会となった。
韓国は17日にカタール代表と対戦するが、現在も気が抜けない状態だ。そもそもオーストリアは11月に入ってから、最近の1日の感染者数が1万人を超えており、状況は悪化している。
日本代表もオーストリアでメキシコ戦(18日、午前5時)を控えているが、万全な状態で試合に臨んでもらいたいと思う。