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リクルートのスマホ精子セルフチェック『Seem』がカンヌグランプリ受賞の快挙 自分ごととして認識を

常見陽平千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家
私ももうすぐパパになります 壮絶な妊活を超えて(写真:アフロ)

リクルートグループが提供するスマホでできる精子セルフチェック『Seem』(シーム)が、「カンヌライオンズ2017」のモバイル部門全体のグランプリを受賞。他にもモバイル部門のApps as a Product / Serviceカテゴリーでゴールドを、Data / Insightカテゴリーでシルバーを、グラスライオン部門で日本初のブロンズを受賞した。ライオンズヘルスのヘルス&ウェルネス部門でショートリストにも選出された。2部門4カテゴリーで受賞という快挙である。

このニュースはもっと注目されるべきだ。コンセプト、テクノロジー、デザインが社会問題を解決するという好事例である。そして、妊活の当事者だった者として、これを機会に「精子セルフチェック」に社会的な関心が集まることを祈っている。

『Seem』(シーム)はアプリと専用キットだけで自宅で簡単に精子の状態をセルフチェックできるサービスだ。専用の顕微鏡レンズで精液を撮影するだけでアプリが動画を解析し、精子の運動率・濃度の測定結果を数値で表示するというものである。

これまでの妊活においては、女性が中心に捉えられてきた。このサービスは性別の違いによる偏見や不平等を打ち破るものである。テクノロジー萌えする仕様だし、デザインなどもスタイリッシュ。あらゆる意味でクールだ。本質的な課題を解決するサービスである。

もっとも、今の日本においては、商品・サービスの概要を聞いただけで、首を傾げる人もいることだろう。そもそも「精子チェック」ということ自体、まだまだ一般には知られていないことだろう。

やや自分語りになることをお許し頂きたい。私自身、5年かけ、凄まじい額の投資をし、子供を授かった。来月、待望の第一子が誕生する。「もっと早くやっておくべきだった」と後悔しているのが「精子チェック」だった。詳細なチェックをしたところ、奇形率が高く、運動率も直進性も低かった。普通に妊娠する可能性が極めて低いことに気づいたのだった。結局、良質な精子を探し、体外で受精する顕微授精という手段で子供を授かったのだった。

もっと早く気づいていたら、夫婦で傷つく日々は早く終わり、より早く子供を授かっていたと思う。毎月、「きちゃった」という妻の声と、その後、ため息をつく日々は苦しかった。自己管理というか、自分の体のことを詳しく知るという努力を怠っていたことを猛反省した。

このあたりの事情は、おおたとしまささんによる渾身の記事であり、大反響を呼んだこちらのYahoo特集の記事で激白しているので、ぜひご覧頂きたい。やや極論だが、近い将来、会社の健康診断のオプションプランくらいになると良いなと思っている。

「妊活クライシス」男女の意識差が夫婦の危機に

https://news.yahoo.co.jp/feature/570

彼の妊活記事まとめも役に立つので、ご覧頂きたい。

『妊活についての記事まとめ』

https://ameblo.jp/toshimasaota/entry-12284310162.html

今回の受賞をきっかけに、日本でも精子チェックに対する理解が進むことを期待したい。そして、この記事を読んでいる皆さんも、自分ごととして捉えて頂きたい。特に30代以上の結婚している人、これからする人は、いますぐ病院の予約をしたり、このサービスを始めとする検査サービスを活用することをオススメする。明るい未来をつくるために、だ。

千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家

1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。 リクルート、バンダイ、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。2020年4月より准教授。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

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