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パリの超高級ホテル「ブリストル」特典つきNFTを発行!歴史と革新が交差する新たな世界の幕開け

鈴木春恵パリ在住ジャーナリスト
デジタルアートになったエンブレムと正門(写真Le Bristol Paris)

パリを代表するホテル「ブリストル」が、歴史と革新を融合させた前代未聞プロジェクトを発表しました。2023年4月14日にNFT(非代替性トークン)を発行し、これまでにない独占的な特典を提供するという画期的なプロジェクトです。

ホテル「ブリストル」といえば、1925年に開業したフランスを代表する超高級ホテルです。フランス政府が定めるホテルランクの最高位「パラス」の称号をもち、館内のレストラン「エピキュール」はミシュランガイドの三つ星。シェフのエリック・フレション氏はフランス屈指の料理人…。つまり世界中の著名人、富裕層の絶大な信頼と人気を獲得している老舗ホテルなのです。

ホテルの中庭からの眺め(写真Le Bristol Paris /Romain Réglade)
ホテルの中庭からの眺め(写真Le Bristol Paris /Romain Réglade)

ミシュラン三つ星のメインダイニング「エピキュール」(写真Le Bristol Paris /Claire Cocano)
ミシュラン三つ星のメインダイニング「エピキュール」(写真Le Bristol Paris /Claire Cocano)

そのホテルが本格的にWEB3の世界に乗り出すというもので、NFTの発行はパラス級ホテルとしては初の試みであり、世界中の注目を集めています。

「シーズン1」として11のNFTを発行する予定で、まずはホテルのサイトに登録し、OpenSea(オープンシー)から購入できます。NFT所有者は自動的に「Club L'H3ritage(クラブレリタージュ)」のメンバーになり、さまざまな特典を享受することができます。

主な特典は次の通りです。

  1. 11のNFTは11のシグネチャースイートルームに紐づくもので、そこに1泊することができる。
  2. 6階のパノラマビューのプールへのアクセス。通常このプールは宿泊者専用だが、「クラブレリタージュ」メンバーは週に1度このプールを利用できる。
  3. エリック・フレションシェフの秘密のメニュー。
  4. ブリストルバーの秘密のカクテル。
  5. ホワイトリストに登録され、将来のNFT発行やイベントでの優先権を得られる。

まるで船上にいるようなプール(写真 Le Bristol Paris /Roméo Balancourt)
まるで船上にいるようなプール(写真 Le Bristol Paris /Roméo Balancourt)

また、11のNFTの特典はそれぞれ異なり、より具体的な内容は購入後に初めて明らかになります。NFTのビジュアルイメージも異なり、WEB3の世界で有名なアーティストによって作成されているのだとか。

気になるNFTの発売価格はおよそ9イーサリアム(約15,000ユーロ=約210万円)。これは「ブリストル」のスイートアパートメントの価格よりも安く、さまざまな特典を考慮すると、お値打ちと言っていいでしょう。

それより何より、パラス級ホテルとして初のNFT、「Club L'H3ritage(クラブレリタージュ)」のメンバーというプレステージ性こそ、NFTコレクターたちにとって大いに魅力的であるに違いありません。

このプロジェクトの代表であるThomas Mattei(トマ・マテイ)さんは、筆者のインタビューに対して次のように語ってくれました。

「ブリストル」のマーケティングとeコマースのチーフThomas Mattei(トマ・マテイ)さん(写真Le Bristol Paris /Franck Juery)
「ブリストル」のマーケティングとeコマースのチーフThomas Mattei(トマ・マテイ)さん(写真Le Bristol Paris /Franck Juery)

プロジェクトは、単なる話題作りや流行を意識しただけのものではありません。将来的にさらにNFTを発行したり、ゲーミングやメタバースの世界へと続いていく長期的なグローバルプロジェクトの幕開けとなるものです。

「ブリストル」は100年の歴史を持ち、卓越性と究極の贅沢を体感できるホテルでありながら、あえて社会通念を打ち破ることで時代の変化に対応し続けています。

このプロジェクトは、昨年11月にホテル内での議題に上り、わずか半年足らずで実現、発表されることとなりました。この迅速性からも、「ブリストル」が革新に力を入れていることをお分かりいただけるかと思います。

NFTというと、ビジュアルイメージのアート性や価値で語られることが多いですが、私たちが重きを置いているのはむしろその背景にある価値。卓越性、ノウハウ、歴史的価値を享受できるNFTなのです。

すでに多くのハイブランドから問い合わせやコラボ、パートナーシップの依頼が寄せられているそうですから、業界全体が新しい枠組みを模索していることがうかがえます。そんな中、「ブリストル」が先陣を切り、リーダー的存在として革新を牽引していくという形。今後の展開がますます楽しみです。

「ブリストル」の住人でマスコットとして愛されている猫「Socrate(ソクラット)」(写真Le Bristol Paris /Franck Juery )
「ブリストル」の住人でマスコットとして愛されている猫「Socrate(ソクラット)」(写真Le Bristol Paris /Franck Juery )

ちなみに、「Club L'H3ritage(クラブレリタージュ)」というネーミングについて。「エリタージュ(Héritage)」とは、フランス語で相続財産、遺産というような意味合いの単語ですが、このうちのアクサン付きのEをWEB3にちなんだ数字の3に変えたものです。

パリ在住ジャーナリスト

出版社できもの雑誌の編集にたずさわったのち、1998年渡仏。パリを基点に、フランスをはじめヨーロッパの風土、文化、暮らしをテーマに取材し、雑誌、インターネットメディアのほか、Youtubeチャンネル ( Paris Promenade)でも紹介している。

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