Yahoo!ニュース

なぜ森保ジャパンはカナダに快勝できたのか?田中、浅野、南野の躍動…ゴールラッシュを演じられた理由。

森田泰史スポーツライター
カナダを下した森保ジャパン(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

森保ジャパンの勢いが、止まらない。

森保一監督率いる日本代表は、13日に国際親善試合でカナダ代表と対戦。4−1で勝利して、北中米の雄を退けている。

印象的なプレーを見せた浅野
印象的なプレーを見せた浅野写真:ムツ・カワモリ/アフロ

森保ジャパンは9月のインターナショナルウィークで、ドイツ代表とトルコ代表を撃破していた。それに続く形で連勝を挙げ、良いフォームを維持している。

■固まってきたシステム

日本はいま、【4−2−3−1】を基本布陣としている。そして、守備時に【4−4−2】に陣形を変える、いわゆる「可変システム」を試しているところだ。

カタール・ワールドカップで、日本は守備的な戦い方を選択せざるを得なかった。それはドイツやスペインといった世界の強豪を相手に、ボールを保持しながら戦う自信がなかったからだ。

ドイツやスペインのような強豪国を相手には、【5−4−1】というシステムで対峙した。試合を通じて、ずっとそのシステムで戦うわけではない。だが「ココ」という場面ではその布陣が選ばれ、三笘薫という武器を得たこともあり、森保ジャパンはビッグチーム相手の戦い方を体得していった。

無論、カタールW杯ではベスト16進出という結果を残した。だが次のW杯に向け、新たな戦術やシステムを模索していく必要がある。現在の森保ジャパンはその段階にある。

最終ラインを統率する冨安
最終ラインを統率する冨安写真:ムツ・カワモリ/アフロ

そして、この度、迎えたカナダ戦で、日本は前半1分に田中碧のゴールで先制する。

右サイドからのクロスは一旦跳ね返されたが、こぼれ球を拾った田中がミドルシュートを放ち、これが相手D Fに当たってそのままゴールに吸い込まれた。

日本はトップ下の南野が効果的なプレーを見せる。中盤がスリーセンターのカナダに対して、中央のボランチ(ピエット)の脇のスペースを巧みに使い、南野が良いタイミングでボールを引き出していく。

日本は前半20分にPKを献上。だがジョナサン・デイビッドのキックをGK大迫敬介がストップする。

日本は流れこそカナダに譲らなかったが、カナダの「3−2」の形でのビルドアップに苦戦。【4−2−3ー1】の日本は前線の4枚がプレスに行く。

カナダが3人のセンターバックと中盤の2人でボールを運んでくるので、これにうまくプレスを嵌められなかった。

日本は思うように前線からのプレスを行えず、最終ラインが下がってしまう。少し嫌な空気になってきたところで、しかし、日本に追加点が生まれる。40分、左サイドの浅野のクロスがオウンゴールを誘発。42分には、カウンターから浅野が中村敬斗にラストパスを出し、中村が決め切った。

■3点のリードと後半の戦い方

前半に3点のリードを奪った日本だが、後半に入っても手を緩めない。

後半3分、日本は田中がゴールを奪う。伊東のパスを受けてハーフボレーを叩き込み、この日2点目をゲットした。

日本は4ゴールを奪った後、選手交代を行いながら、再びプレー強度を上げていく。とりわけ「即時奪回」が徹底され、カナダの選手たちに自由を許さなかった。

後半43分、ジュニオール・ホイレットがネットを揺らして、カナダが一矢を報いる。だが日本はそれ以上の得点を許さず、3点差で試合を終えている。

日本代表を率いる森保監督
日本代表を率いる森保監督写真:YUTAKA/アフロスポーツ

課題を挙げるなら、試合の「クローズの仕方」だ。終盤の失点は避けられたもので、「不要な失点」以外の何物でもなかった。

だが、それでも、内容・結果共に及第点以上の出来だった。カナダに勝利し、これで森保ジャパンは5連勝。次のチュニジア戦に、トップフォームで向かうことになる。

※文中の図はすべて筆者作成

スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

誰かに話したくなるサッカー戦術分析

税込550円/月初月無料投稿頻度:月3回程度(不定期)

リーガエスパニョーラは「戦術の宝庫」。ここだけ押さえておけば、大丈夫だと言えるほどに。戦術はサッカーにおいて一要素に過ぎないかもしれませんが、選手交代をきっかけに試合が大きく動くことや、監督の采配で劣勢だったチームが逆転することもあります。なぜそうなったのか。そのファクターを分析し、解説するというのが基本コンセプト。これを知れば、日本代表や応援しているチームのサッカー観戦が、100倍楽しくなります。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

森田泰史の最近の記事