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東京オリンピック期間中の天気は、気温は、台風の影響は

饒村曜気象予報士
オリンピック開幕日の予想天気図(7月23日9時の予想)

雨の日が多かった前回大会

 令和3年(2021年)7月23日に東京オリンピックが開幕します。

 どんな天気の大会になるのか、気温は、台風の影響はどうなるのかをまとめてみました。

 今から57年前の昭和39年(1964年)10月10日、「オリンピック晴れ」と称された晴天の中、東京オリンピックの開会式が盛大に行われました。

 このため、東京オリンピックというと、晴れの大会というイメージがありますが、実は、雨が意外と多かった大会です。

 15日間の開会期間中に、東京で0.5ミリ以上の日降水量があった日は、約半分の7日もありました(図1)。

図1 東京1964オリンピック開催期間の気象
図1 東京1964オリンピック開催期間の気象

 ただ、人気種目についていえば、マラソンなどの屋外競技の日は雨が降っていません。

 また、女子バレーボールの決勝戦(対ソビエト連邦)などは雨でしたが、室内競技であり、雨の影響は全くありませんでした。

 このことも、東京オリンピックを晴れの大会と印象付けています。

連日真夏日予想の今回大会

 東京オリンピックが開催される7月23日は、台風6号が発達しながら西進し、沖縄県先島諸島に接近する見込みです(図2)。

図2 台風6号の進路予報(7月23日3時の予報)と気象衛星画像
図2 台風6号の進路予報(7月23日3時の予報)と気象衛星画像

台風予報は最新のものをお使いください

 台風の動きが遅く、暴風が吹く時間は長くなり、同方向に継続する風により波も高くなります。

 沖縄では7月24日にかけて、暴風や高波に厳重に警戒し、奄美では高波に警戒してください。

 また、降雨時間が長くなり、総雨量が増えますので、土砂災害などにも厳重な警戒が必要です。

 一方、オリンピックが開催される東京を含むその他の地域は、太平洋高気圧に覆われ晴れる所が多い見込みです(タイトル画像参照)。

 ただ、上空に寒気が入っていますので、午後は大気が不安定となり、東北~東日本の内陸を中心ににわか雨や雷雨がある見込みですので、場合によっては東京も雨が降るかもしれません。

 東京の16日先までの天気予報をみると、例年の8月よりは曇りや雨が多そうです。

 降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや二番目に低いDが多い予報ですが、傘マーク(雨)が4日もあります。

 半分以上の日にお日様マーク(晴れ)がついていても、多くは黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)がついています(図3)。

図3 東京の16日先までの天気予報
図3 東京の16日先までの天気予報

 お日様マーク(晴れ)に白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)がついているのは3日しかありません。

 ひょっとしたら、前回のように、雨の多いオリンピックになるかもしれません。

 令和3年(2021年)の東京大会は、前回の10月の大会と違って8月の大会です。

当然のことながら、気温は10度以上高くなります(図3)。

 最高気温が30度以上の真夏日の予報が連日続くという予報で、約半分の日は最低気温が25度以上の熱帯夜という予報です。

 ただ、最高気温が35度以上という猛暑日、あるいは、もう少しで猛暑日という厳しい暑さは予想されていません。

 つまり、例年の8月並みの暑さになりそうです。

台風6号の動きとその次の台風

 台風6号は、7月24日頃から速度を速めて中国大陸に向かう予報ですので、東京オリンピックには影響がないと思います。

 ただ、問題は、台風の東側に広がる雲です(図4)。

図4 台風6号の東側に広がる雲(7月22日18時)
図4 台風6号の東側に広がる雲(7月22日18時)

 太平洋高気圧の南縁辺を吹く東よりの風と、モンスーンと呼ばれる南西の季節風がぶつかって「モンスーントラフ」と呼ばれる低圧部ができ、雲が発達しやすくなっているからです。

 この中から、渦を巻く場所ができると、その渦が熱帯低気圧となり、台風まで発達することがあります。

 今回、気象庁では7月24日9時に熱帯低気圧の発生を予想しています(図5)。

図5 予想天気図(7月24日9時の予想)
図5 予想天気図(7月24日9時の予想)

 現時点で、この熱帯低気圧が台風まで発達するかどうかはわかりませんが、上空にできている寒気の渦巻との相互作用で、北上しながら関東地方へ接近してくる可能性があります。

 熱帯低気圧が発生していない段階ですので、不確実性が非常に高いのですが、東京オリンピックに影響するかもしれません。

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページをもとに筆者作成。

図2の出典:ウェザーマップ提供資料に筆者加筆。

図5の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2024年9月新刊『防災気象情報等で使われる100の用語』(近代消防社)という本を出版しました。

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