東京オリンピックは晴れてる印象があるが、雨の日が意外と多く、放射能雨も降っている
今から52年前の昭和39年(1964年)10月10日、「オリンピック晴れ」と称された晴天の中、東京オリンピックの開会式が盛大に行われています。
このため、東京オリンピックというと、晴れの大会というイメージがありますが、実は、雨が以外と多かった大会です。15日間の開会期間中に、東京で0.5ミリ以上の日降水量があった日は、約半分の7日もあります(図の黒丸)。
ただ、人気種目についていえば、マラソンなどの屋外競技の日は雨が降っていません。また、女子バレーボールの決勝戦(対ソビエト連邦)などは雨でしたが、室内競技であり、雨の影響は全くありませんでした。このことも、東京オリンピックを晴れの大会と印象付けています。
アジア初の核実験
日本中がオリンピックにわきたっていた昭和39年(1964年)10月16 日、中国はタクラマカン砂漠で核実験を行っています。アジアでは初めて、世界ではアメリカ、ソビエト、イギリス、フランスに次ぐ、5番目の実験でした。
中国は、台湾にある中華民国が国としてオリンピックに参加することは認めないとして、オリンピック大会のボイコットを続けていました。昭和39年のオリンピック東京大会もボイコットでした。
そして、オリンピックという世界中が注目しているタイミングで、存在をアピールするかのように核実験をしたのです。
放射能雨
核実験によって生じた放射能を含んだチリが偏西風に乗って日本にやってくるのではないかという懸念があったため、防衛庁では自衛隊機で高空の放射能チリの収集・調査を行っています。また、気象庁や新潟大学等では雨粒や雨が上がった後の大気に含まれる放射能を測定しています。
そして、17 日夜半から18日にかけ、深い気圧の谷が通過してほぼ全国的に20ミリ程度のまとまった雨がふったとき、微量ですが、雨の中に放射能を出す物質が含まれていることが分かりました。
放射能対策本部(本部長は愛知揆一科学技術庁長官)は、19 日夕方、「中国の核実験によって日本に降った放射能チリは、1平方メートル当たり12万キューリで平常の100倍に達したが、特に人体への影響はない」と発表しました。
隠すことができない核実験
当時、東西冷戦中で核保有国のソビエト(大部分は現在のロシア)とアメリカは、核実験を繰り返していました。
それも、相手に悟られないように地下核実験をです。地上での核実験は、放射線を出す物質を大気中に撒き散らしますので、中国が行った核実験のように、直ちに核実験を行ったことが分かるからです。
中国が最初の核実験を行った昭和39年10月も、アメリカとソビエトは地下核実験を行っています。
しかし、現在は、世界のどこかで地下核実験が秘密裏に行っても、直ぐに場所と規模が分かります。
これは、地震観測のネットワークが世界中に張り巡らされ、自然に発生する地震だけでなく、人工的に発生させる地震も含め、地球上の地震を常時観測をしているからです。
自然に発生する地震は、小さな揺れから始まり大きな揺れが続きますが、核実験など人工的に発生させる地震は、いきなり大きな揺れが発生しますので、両者は容易に区別できるからです。
平成28年9月9日に北朝鮮が核実験を行ったとき、気象庁は次のような情報を発表しました。
北朝鮮付近を震源とする地震波の観測について
報道発表日 平成28年9月9日
平成28年9月9日9時30分頃(日本時間)、気象庁において北朝鮮付近を震源とする地震波を観測しました。この地震は、自然地震ではない可能性があります。 気象庁で分析したところ、震源の位置等は以下のとおりと推定されます。
発生時刻: 9時29分57秒
北緯: 41.3°
東経: 129.2°
深さ: 0km
マグニチュード: 5.3