ドラフト期待の東芝・吉村貢司郎が力投【第46回社会人野球日本選手権大会デイリー・リポート8】
第46回社会人野球日本選手権大会8日目は、東芝、Honda、セガサミーと関東勢が揃ってベスト8入りした。第1試合では、プロのスカウトが熱い視線を送る東芝の2年目右腕・吉村貢司郎が東海理化を相手に先発する。立ち上がりに2安打と四球で一死満塁とされ、大谷征輝の二ゴロが併殺崩れとなって1点を先制されたが、何とか追加点は許さない。
すると、3回表二死二塁で、田中達朗は一ゴロを打たされるも、一塁手がベースカバーの投手に悪送球。東芝は、難なく同点とする。さらに、田中が暴投で三進し、小川裕生はボテボテのゴロ。しかし、投手の送球が小川に当たる間に田中が逆転のホームを踏む。なお二死満塁となり、吉田 潤がショートへの内野安打で3点目。東海理化にとっては痛い守備乱れにつけ込み、東芝が3対1とリードする。
吉村もそんないい流れに乗っていたものの、5回裏に先頭を歩かせ、犠打で一死二塁とされたところで交代。平馬 淳監督は「期待はしているが、まだまだ経験不足」と厳しかったが、5回一死まで73球を投げ、3安打6奪三振の内容を、あるスカウトは「立ち上がりからの修正など、しっかりと成長している」と評していた。この場面は二番手の福本 翼が連続三振で切り抜け、6回途中からは近藤凌太が磐石のリリーフ。追加点を奪えなかった打線に物足りなさは残るが、準々決勝は同じ神奈川県の三菱重工Eastと激突する。互いに負けられないだけに、選手たちも闘志を燃やすはずだ。
都市対抗王者・Hondaは二大大会連覇へ突き進む
第2試合はHondaが一回戦に続いて片山皓心、日本生命は又木鉄平とルーキー左腕の投げ合いとなる。だが、1回表一死から北岡達樹を四球で歩かせた又木は、井上彰吾に中前へ運ばれ、佐藤竜彦にも四球で満塁とされると、辻野雄大には左前に弾き返されて先制を許す。ここで早くも喜多川省吾にスイッチ。喜多川は押し出し四球と檜村篤史の二塁打で3点を失うも、その後はHondaの勢いを止める。
一方の片山は、1回裏に2安打を許したものの無失点で凌ぎ、そこからはテンポよく凡打の山を築かせる。ようやく7回裏、連打で無死一、二塁とした日本生命は、越智達矢が左中間を破って2点を返す。それでも、片山は落ち着いて代打を連続三振に打ち取る。
8回にはHondaの佐藤と日本生命の上西主起がソロ弾を打ち合い、片山は2点差をキープしたまま完投勝利。日本生命は喜多川の好投という収穫は得られたが、昨年の都市対抗王者を倒すことはできなかった。
主砲の一発とエースの快投でセガサミーも8強に
第3試合も、立ち上がりに勝敗は決する。セガサミーは1回表二死から中川智裕が四球を選び、続く四番の澤良木喬之が豪快に右中間スタンドへ。先制2ランが空中戦の呼び水になるかと思われたが、繰り広げられたのは極上の投手戦だった。
セガサミーの草海光貴、日本新薬の西川大地ともに、昨年の都市対抗では4強進出の原動力となった。今季の草海はなかなか高い安定感を発揮することができずにいたが、一発のあとは立て直した西川の好投にも導かれるように、昨年の輝きを取り戻していく。4回裏には連打で一、三塁とされ、好打者の舩曳 海を迎えるも、舩曳の打ち気を利用するかのように2ボール2ストライクと追い込み、ヒザ元への速球で見逃し三振に仕留める。
そうして、7回以降は安打さえ許さない快投で日本新薬を5安打シャットアウト。3安打11奪三振で完投した西川に黒星をつけた。
「いい時の草海が見られてよかった。こういう投球をコンスタントに見せてくれれば」
スカウト陣がそう笑顔を見せるように、この日の草海の投球はチームにも大きな勢いをつけるだろう。一回戦ではNTT西日本を相手に昨年の都市対抗準々決勝の再戦を制し、この日は都市対抗4強対決にも勝利。そして、次戦では昨年の黒獅子旗・Hondaに挑む。タイブレークの延長で敗れた悔しさを糧に、借りを返せるか注目だ。
なお、7月11日の第3試合から準々決勝となる。
(写真提供/小学館グランドスラム)