諸外国の国民が思う、相手の国の好き嫌いの実情をさぐる(2024年公開版)
国としての政策姿勢とは別に、国民レベルで他国に向けた好感、嫌悪感といった感情は確実に存在する。その実情を新聞通信調査会が2024年2月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)の報告書の内容から探る。
次に示すのは、その対日本も含めた調査対象の各国における、自国以外の国への好感度の指標。好感が持てる(強弱)、好感を持てない(強弱)、加えて実質的にもう一つの選択肢である無回答(あるいは分からない)も合わせ5択のうち、強弱を合わせた好感が持てる派の回答率を合計した値となっている。
日本は調査実施国ではないので掲載されていない。自国を対象とした回答は、自国愛があるか否かと解釈すればよいだろう。
各国の市民感情としての他国への敬愛度、好感度が如実に現れているのが興味深い。アメリカ合衆国は日本以外では英仏への値が高く、タイへも7割台と高めの値。韓国へは半数近く、中国へはわずか2割台。イギリスやフランスも似たようなものだが、対中国の値がいくぶん高め。フランスは韓国への値も高い。
タイはおおよそどの国へも好感度が高いが、対韓国・対中国は6割台にとどまり、対ロシアでは4割足らず。韓国では日本に対する値が一段と低いが、中国、さらにはロシアへの値はそれより低い。
対ロシアの値を見ると、どの国も低いものとなっているが、それでもタイでは4割近くの値なのが印象的。
これらの値はあくまでも一般市民の思惑であり、各国の政府や行政などの姿勢とは別物。とはいえ民主主義国家では多分に市民感情なるものが国策に影響を与えうることを考えると、無視できない結果には違いない。
余談ではあるが、以前の報告書で特記事項的に記されていた、中韓の好感度合いの推移を確認したのが次のグラフ。2023年度分は中国の値(中国→韓国)は空欄となっている。
中国→韓国はかなり波があり、ここ数年で持ち直しの気配もあったが、韓国→中国はほぼ漸減傾向にあり、2015年度から2022年度の間に好感度が半減以下となってしまっている。直近年度で大きく持ち直したのが目立つほど。両国の間に何があったのかはさておき、特に韓国サイドからの好感度の減少が生じていたのは興味深い傾向に違いない。
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※諸外国における対日メディア世論調査
今調査はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、韓国、タイに対し、2023年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国は電話調査とウェブ調査の併用、イギリス・フランス・韓国は電話調査、タイは面接調査で実施されている。調査地域はタイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年度で統一している。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されたが、2014年度分は中国において質問そのものができなかった項目が複数ある。
中国は毎年調査対象国ではあるが、2023年度分の調査では一切値が出ておらず、その理由について「今年度は中国での調査ができなくなりました。中国の他の調査機関にも依頼しましたが、いずれも現在の国内状況では、国外から依頼された世論調査を行うことは難しいとの回答でした」との説明がある。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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