男性より女性、有業者より無職の人ほど早めに夕食を取る傾向(2024年公開版)
夕食開始時刻からライフスタイルが見えてくる
夕食は一日の食事の中でも一番豪華な料理を楽しむことができ、また家族団らんの場としても重要な時間に違いない。ライフスタイルの動向を知る上で欠かせない夕食の開始時間について、総務省統計局の「令和3年社会生活基本調査」(※)の結果を用い、確認していくことにする。
まずは直近2021年における平均夕食開始時刻(16時以降・24時前に始まる最初の食事開始時刻。例えば昼飯を抜いて早めの夕食をとった場合でも、この時間に当てはまれば夕食と見なす)だが、平日は男性が19時8分、女性が18時49分と、女性の方が約20分早い。朝食でも同様の傾向が見られたが、これは夫の帰りが遅くなる場合に、妻が先んじて子供と一緒に食事をとる事例が多いからだと考えられる。
これが土日になると男性は約20分、女性は約10分ほど開始時刻が早くなる。土曜より日曜の方がさらに遅くなるのは、土曜も出勤・登校する人がおり、その場合は夕食までのスケジュールが平日に近いものとなるため。また、日曜は夕食を早めに済まし、翌日からの一週間に備えてのんびりしたいとの思惑もあるのだろう。
これを就業状態別に見ると、男女とも「有業者は平日ほど遅い」「無業者は平日土日の差があまり無い」との動きが見られる。見方を変えれば、夕食開始時刻は多分に就業時間(厳密には就業終了時間)に左右されることになる。
多くの人が休みを取る日曜でも、有業・無業間に20分強の差が出るのは「日曜勤務の人」「平日の習慣上」双方の理由によるものだろう。あるいは無業者は高齢層が多いことから、早く就寝するために夕食も早めに取る傾向があるのかもしれない。
5年前と比較すると
今調査は5年間隔で実施されるため、当然前回調査分となる5年前(2016年)の値も抽出できる。そこで5年間の変移を計算したところ、男女とも早まる傾向が確認できた。
就業者の残業などが減ったのか、あるいは極力家族そろって夕食を取るよう努力を増したのか、それとも夕食後の団らん時間を少しでも増やすためか。あるいは新型コロナウイルスの流行による在宅時間の増加で、家族で夕食を取れることが多くなり、子供と併せるために早めにしているのかもしれない。
これをさらに就業状態別に細分した結果が次のグラフ。
特段の法則性のようなものは無いが、女性の平日を除けば、有業者の方が無業者よりも前倒しの度合いが大きい。残業が減った以外に、新型コロナウイルスの流行により在宅勤務となり、帰宅時間そのものが無くなった人がいるのが要因なのだろう。
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※令和3年社会生活基本調査
国勢調査の調査区のうち、総務大臣の指定する約7600調査区に対して行われたもので、指定調査区から選定した約9万1000世帯に居住する10歳以上の世帯員約19万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2021年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2021年10月16日から10月24日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と、調査員への提出あるいはインターネットでの回答による回収方式。
調査は5年おきに実施されており、過去の調査もほぼ同様の様式で行われている。
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