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イオン「電子レシート」発行枚数は50万枚を突破 全国に広まるか

山口健太ITジャーナリスト
イオンの電子レシート(iAEONのアプリより、筆者撮影)

イオンが導入した「電子レシート」は利用者を順調に増やしているとみられ、7月7日には発行枚数が50万枚を突破したといいます。

スマホの普及により、買い物をしたときにレシートをもらうという体験は変わっていくのでしょうか。さっそく使い勝手を試してみました。

アプリでレシート画像を確認できる

イオンの電子レシートは6月21日から全国展開が始まっており、イオングループ全体では約3000店舗、「イオン」や「イオンスタイル」は約390店舗が導入済み。今夏に「まいばすけっと」が加わり、4000店規模になる見込みとしています。

利用にあたっては「iAEON(アイイオン)」アプリのインストールと会員登録が必要です。また、その中にある「レシートレス機能」の利用を申し込む必要があります。

機能の名前としては「レシートレス」という表現になっている(iAEONアプリより、筆者作成)
機能の名前としては「レシートレス」という表現になっている(iAEONアプリより、筆者作成)

このレシートレス機能はアプリからオン・オフが可能です。紙のレシートが必要になった場合は、このスイッチをオフにしてから会計をすると、紙のレシートが出てきます。

レジでも特別な操作は必要なく、iAEONアプリの会員バーコードをスキャンすると、電子レシートが使えることを示す案内が出てきます。

会計を済ませた後にiAEONアプリを開くと、これまで紙で出てきたレシートがそのまま画面上に表示されていることが分かります。

アプリ内で電子レシートを確認できる(iAEONアプリより、筆者作成)
アプリ内で電子レシートを確認できる(iAEONアプリより、筆者作成)

イオンの広報担当者によれば、紙のレシートから違和感なく移行できるように設計したとのことです。まるで紙のレシートの印刷用データかと思えるほどそっくりです。

電子レシートはiAEONアプリ内に13か月分が保存される仕様です。また、月ごとの利用金額の合計を表示する機能も用意されています。

月ごとの利用金額が表示される(iAEONアプリより、筆者作成)
月ごとの利用金額が表示される(iAEONアプリより、筆者作成)

こうした分析やレポートの機能が充実していれば、わざわざ家計簿をつけなくても自分の買い物を振り返ることができます。電子レシートを使う魅力の1つといえるでしょう。

ただし、現時点でこの電子レシートは「画像」なので、そこから商品名や金額をコピー&ペーストしたり、CSV形式などのデータとして出力したりする機能はありません。

イオンによれば、レシートレス機能はまだ始まったばかりということもあり、機能追加については「利用者からの反応を見ながら検討していきたい」(広報)としています。

最近はさまざまな商品が値上げされていますが、過去に買ったものを検索できれば価格を比べることもできます。デジタルのメリットを活かした機能に期待したいところです。

iAEONアプリを開く回数も増える?

iAEONアプリは1000万回ダウンロードされているとのことですが、ポイントがもらえるキャンペーンの存在を考慮しても、2週間強で50万枚はなかなか好調という印象です。

買い物のたびにアプリを開くのは面倒という声がある一方で、レシートが財布にたまることがなくなるとして歓迎する人も多いようです。

イオン側のメリットとしては、紙のレシートに関するコスト削減が期待できるだけでなく、iAEONアプリの利用頻度が増えることにも注目といえます。

レジでアプリの会員コードをスキャンした後は、そのまま「AEON Pay(イオンペイ)」で支払いをするのが簡単です。

iAEONアプリでは、会員コード(左)の隣のタブにAEON Pay(右)が用意されている(イオンのWebサイトより、筆者作成)
iAEONアプリでは、会員コード(左)の隣のタブにAEON Pay(右)が用意されている(イオンのWebサイトより、筆者作成)

帰宅してから電子レシートを見るためにアプリを開くと、クーポンやイベントの案内を目にすることになるでしょう。

ポイント経済圏において、利用者がアプリを開く回数をいかに増やすかという競争の中で、電子レシートの存在は確実に追い風になりそうです。

ITジャーナリスト

(やまぐち けんた)1979年生まれ。10年間のプログラマー経験を経て、フリーランスのITジャーナリストとして2012年に独立。主な執筆媒体は日経クロステック(xTECH)、ASCII.jpなど。取材を兼ねて欧州方面によく出かけます。

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