大分初勝利。琉球ブルーオーシャンズ、「敵地」熊本と宮崎で主催試合【九州アジアリーグ】
九州アジアリーグは、先週から今週前半にかけても交流戦が行われた。
12日の臼杵での試合を雨で流し、13日に本拠、大分の別大興産スタジアムに琉球ブルーオーシャンズを迎えた大分B-リングスは、4対1で勝利し、シーズン6試合目にして初星を挙げた。
琉球は、翌14日は10対4でリベンジを果たすと、大分をあとにし、熊本に戻り、16日金曜からの火の国サラマンダーズとの3連戦に臨んだ。サラマンダーズがナイターで連勝の後、琉球球団初の九州本土での主催ゲームというかたちで行われた日曜のデーゲームは、琉球が6対2で雪辱を果たした。
そして、その足で宮崎へ移動。19日月曜からオリックスバファローズの春季キャンプ地でもある清武総合運動公園のSOKKENスタジアムにB-リングスを迎えてデーゲームで主催3連戦を行い、3連勝を飾った。
初戦の臼杵での試合を雨で流したものの、初の九州本土遠征となる九州アジアリーグとの11試合を7勝4敗(最終勝てば)と、琉球は独立球団の先輩としての意地を見せつけた。
今回の遠征について、ニュージーランドのプロチームや四国アイランドリーグplusでのプレー経験もある金子隆浩捕手は、こう振り返る。
「実際対戦してみて、まだ新しいリーグということで、四国よりまだ若干レベルは落ちるかなっていう印象でしたね。熊本の試合ではお客さんも結構いて、DJや登場曲も流れていて雰囲気が良かったです。大分の選手は、うちの元NPBの選手にアドバイスを求めてくるなど熱心だったですね。我々は熊本から大分、そしていったん熊本に戻り、宮崎に行ったんですけど、移動は3時間くらいだったのでさほどしんどくはありませんでした。ナイター翌日のデーゲームはつらかったですけど。」
琉球は、21日の遠征シリーズ最終戦の翌日、沖縄への帰途についた。
兼業を認められた独立リーガーたち。その現実は?
九州アジアリーグでは、プロリーグでありながら、選手のシーズン中の兼業を認めている。「プロ」とは何ぞやという線引きは難しいところがあるのだが、野球の本場、アメリカでは「プロ野球」とは、シーズン中は「本業」である野球に専念するものとおおむね定義されている。したがって、プロ野球選手の「副業」はオフにするもので、シーズン中に他職をもっている者がプレーする場は、たとえその選手が野球で報酬をもらっていても、「セミプロ」とカテゴライズされる。一方、ヨーロッパやオーストラリアでは、プレーに報酬が発生すれば、それは「プロ」であり、とくに報酬があっても少ない野球では、トップリーグの選手でも他職をもっていることが多い。というより野球が「副業」といった扱いだ。九州アジアリーグの構えは、ヨーロッパ型に近いと言っていいだろう。
しかし、現実にはほとんどの選手がアルバイトなどしていないのが現実である。火の国は兼業者ゼロ。大分も、ごく数名がアルバイトをしているに過ぎない。
この現状に関しては、現場の指導者はおおむね好意的なようである。大分の小野真悟選手兼任コーチが自ら事業を行っていることはすでに他記事で紹介したが(『新独立リーグ、九州に誕生。大分球団コーチに就任した「デュアル・キャリア」を歩む異色のビジネスマン選手』https://news.yahoo.co.jp/byline/asasatoshi/20210215-00222317/, 2021.2.15配信)、やはり現場の指導者という立場になると、シーズン中は試合がない日も練習に専念し、体を休めて欲しいと言う。
一方、経営者サイドは逆の考えをもっているようだ。火の国の球団の神田康範社長は、兼業可の意図をこう説明する。
「ここの選手のほとんどは、上位リーグ(NPB)に進むことなく、引退します。だから、野球だけでなく、社会勉強もすべきです。ここで(別の)仕事をするって言っても、雇ってもらえるのは、独立リーグの選手である今だからっていう面もあるでしょう。そう考えると働きながら今人脈を作ることも必要ではないでしょうか。もちろん、他のリーグと同じように我々もオフの就労支援はしていくつもりなんですが。」
選手サイドとしては、野球に専念できるから独立リーグにやってきたという意見もあるだろう。また、練習後の空いた時間にしっかり休むのもアスリートの仕事の一部である。
もっともこの問題は、彼らのプレーがより魅力的なものになり、リーグの人気が上がれば、報酬も増えるので、解決するのであるが。