【速報】新型新幹線車両E7系、試乗会の模様を徹底レポート!
北陸新幹線の金沢延伸開業に向け開発された、JR東日本の新型新幹線車両・E7系。昨年10月に第1編成が完成し、海上輸送ののち試運転が行われていたが(海上輸送の様子はこちらを参照)、今年3月からの長野新幹線区間での営業運転開始を前に、報道関係者および一般当選者を対象とした試乗会が行われている。今回は、グランクラスをはじめ注目の内部をいち早くご紹介しよう。
2014(平成26)年2月7日、午前11時。大宮駅16番ホームに上がると、そこには今回試乗するE7系が既にスタンバイしていた。ホームの屋根の下で見る車体は、以前に神戸で見た時より色が濃い印象を受ける。E7系で採用された銅色と空色は、見る角度や光の加減によってその色合いが変化する。「撮り鉄」の皆さんには少し手強い、もとい、見るたびに違う顔を見せてくれるかもしれない。「ワンモーションライン」と名付けられた先頭形状はとてもシンプルで、最近のE5系やE6系、はたまたN700系とはだいぶ印象が異なる。ドーム状に飛び出した運転席部分等は、500系新幹線に近い感覚だ。
ひととおり外観を観察した後、いよいよ車内に乗り込む。12両編成の列車は、1〜10号車が普通車、11号車がグリーン車、そして12号車がグランクラスとなっている。普通車の座席は深紅と黒を基調に、落ち着いた色合いだ。おそらくはシートの改良により、従来の車両よりも前後の幅にゆとりが感じられるほか、枕の部分が可動式となっているので、高さが調節できる点が東海道新幹線ユーザーには羨ましい。普通車も全席に電源コンセントが用意されており、隣の人に気兼ねなく利用できるのもうれしいところ。また、新幹線では初めて、全面的にLED照明を採用するなど、環境にも配慮されている。
続いてはグリーン車を見てみよう。こちらは普通車と一変して青色が基調となっており、床カーペットに表現された格子模様に「和」が表現されている。シートはヘッドレストの左右がしっかりとした作りになっていて、隣席の人の視線も気にならず、ちょっと一眠りするにも快適だ。また、普通車にも言えるのだが、シートのクッションが既存車両に比べ適度に硬い。想定されている乗車時間の違いもあるのだろうが、個人的にはこれくらいの硬さが腰に負担がなく、非常に楽だった。
さあ、いよいよグランクラスへ。終着駅となる「加賀」をイメージしたデッキの飾り柱が特徴だ。座席数はE5系と同じ18席で、基本的なシートのつくりは変わらないが、大型テーブルの収納方法等が改良されている。本革をふんだんに使用したシートは柔らかく、まさに「プレミアム」な乗り心地が味わえる。東京〜金沢間は最速で2時間半程度、東京〜新大阪間とほぼ同じだが、グランクラスでの旅はあっという間で「もっとゆっくり走ってほしい!」と感じるに違いない。
座席以外の車内設備も充実している。編成内には電動車いすでも利用できる多機能トイレを設置。着替え用のステップやオムツ替え台もあり、さらに便利になっている。洋式便所はすべて温水洗浄機能がついているほか、女性専用のトイレと手洗いも設置。化粧直しも気軽に可能だ。通路に設置されたAED(自動体外式除細動器)やデッキ部の防犯カメラ、広々とした多目的室など、安全・快適に旅を楽しめる設備も整っている。
技術的な面で注目すべき点は、列車に搭載された2種類のアクティブサスペンション。グランクラス車両にはフルアクティブタイプ、他の車両にはセミアクティブタイプという2種類の装置が、列車の揺れを低減させている。実際、試乗会では営業運転と同じ最高時速260kmでの運行だったのだが、従来車両よりも揺れが少なく、滑らかに走行していた。軽井沢の急勾配も一気に駆け抜け、あっという間に長野駅へ到着。1年後には、この車両でここから先へ進めると思うと、今から楽しみである。
E7系は、今年3月のダイヤ改正から「あさま」として先行営業が予定されている。グランクラスはシートのみの営業となる(アテンダントによるサービスは来年の金沢延伸開業からを予定)が、E7系の開発コンセプトである「大人の琴線に触れる『洗練さ』と、心と体の『ゆとり・開放感』」を味わうには十分だ。今回、試乗会に外れてしまった方も、あと1ヶ月の間に夢を膨らませ、ぜひ乗車していただきたい。