イングランド代表戦直前にフランス大会の洗礼。日本代表の不動心。【ラグビー旬な一問一答】
ラグビー日本代表は現地時間9月17日(日本時間18日未明)、イングランド代表とワールドカップフランス大会の予選プールD・2戦目をおこなう。
同15日には、試合会場のスタッド・デ・ニースで練習。当日の出場登録メンバーも発表し、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチと姫野和樹主将が会見した。
メンバーは以下の通り。
1,稲垣啓太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/6/2・50
2,堀江翔太(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1986/1/21・73 ★
3,具智元(コベルコ神戸スティーラーズ)…183・117・1994/7/20・26
4,ジャック・コーネルセン(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…195・110・1994/10/13・17
5,アマト・ファカタヴァ(リコーブラックラムズ東京)…195・118・1994/12/7・4
6,リーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)…189・113・1988/10/7・81
7,ピーター・ラブスカフニ(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)…189・106・1989/1/11・16 ★
8,姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)…187・108・1994/7/27・29 ◎★
9,流大(東京サントリーサンゴリアス)…166・75・1992/9/4・35
10,松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…181・92・1994/5/3・34
11,ジョネ・ナイカブラ(東芝ブレイブルーパス東京)…177・95・1994/4/12・5
12,中村亮土(東京サントリーサンゴリアス)…182・92・1991/6/3・36
13,長田智希(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…179・90・1999/11/25・5 ★
14,松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)…178・88・1993/2/26・52
15,セミシ・マシレワ(花園近鉄ライナーズ)…181・93・1992/6/9・6
16,坂手淳史(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…180・104・1993/6/21・38
17,クレイグ・ミラー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…186・116・1990/10/29・14
18,ヴァル アサエリ愛(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・115・1989/5/7・27
19,ワーナー・ディアンズ(東芝ブレイブルーパス東京)…201・117・2002/4/11・8
20,下川甲嗣(東京サントリーサンゴリアス)…188・105・1999/1/17・3
21,齋藤直人(東京サントリーサンゴリアス)…165・73・1997/8/26・16
22,ディラン・ライリー(埼玉パナソニックワイルドナイツ)…187・102・1997/5/2・15
23,レメキ ロマノ ラヴァ(NECグリーンロケッツ東葛)…178・96・1989/1/20・17
◎:キャプテン
★:今大会初先発
10日のチリ代表戦(42―12)から先発を4名、入れ替えた。
フッカーでは、4大会目の出場となる堀江翔太が今季初先発する。
オープンサイドフランカーには、主将経験者のピーター・ラブスカフニが入る。開幕前の8月5日のフィジー代表戦でレッドカードを食らっており、計2試合の出場停止(減免措置を経て)からの復帰となる。
チリ代表戦の当日に先発を回避した姫野は、今回、改めてナンバーエイトのスターターとなった。その日ナンバーエイトとして両軍最多の19タックルを成功させたジャック・コーネルセンは、ロックに回る。
アウトサイドセンターには、今季初代表の長田智希が抜擢された。
日本代表はイングランド代表に過去10戦全敗。昨秋、敵地で対戦した時は、13―52で大敗している。リベンジが期待される。
以下、共同会見での一問一答の一部(編集箇所あり)。
——姫野選手は前回、欠場。いまの状態は。
姫野
「前回、ふくらはぎの大変さ(違和感)があったので、リスクを回避した形です。1試合スキップした分、状態はフレッシュです。コンディションとしてはいい。今回のイングランド代表戦では主将としてパフォーマンスを出す。パフォーマンスで、自分のリーダーシップを発揮できればと思います。
自分たちの準備は100パーセントしてきた。あとは本当にやるだけ。今週はブレイブという言葉を使ってチームを引っ張ってきた。勇気を持って、自分たちのプレーをし続けるというマインドセットが重要になると思っています」
——堀江選手が先発する。その他、入れ替わった選手について。
ジョセフ
「翔太は素晴らしい経験をたくさん持っています。イングランド代表は前回、戦った時もセットピースが強い。ここで彼の経験を活かすことでチームに自信が生まれる(前回対戦時、堀江は出場せず)。4回ワールドカップに出たことには、価値がある。
長田は、ユーティリティのバックスとして起用してきました。試合をしていくうち、色々なコンビネーションを試してきた。フレッシュな選手としてチリ代表戦でも活躍。今後も期待したいです」
——フォワードの並びについて。
ジョセフ
「経験のあるラピース(ラブスカフニ)が帰ってきて嬉しい。レッドカードもあり、その前は怪我をしてラグビーから離れた時期もあったが、イングランド代表戦には必要な選手です。
アマトは先週、負傷から戻ってきて2トライを決めた。桜のジャージィを着るたびにすごいプレーをする選手になってきている。
翔太もスタートに戻り、具も怪我から戻ってきた(チリ代表戦は前半で交代)。ワーナーもリザーブに入った。いまのベストのフォワードパック。どのチームでもそうだろうが、イングランド代表はフォワードでプレッシャーをかけてくる。そこで、しっかりと戦えると思います」
——イングランド代表戦での焦点に、ハイボールキャッチ(高い弾道のキックの獲り合い)がある。
ジョセフ
「ハイボールは、たくさん来る。彼らは常にそれを使ってプレッシャーをかけてくるので、試合運びとしては重要な部分になる。キャッチャーはボールを落とすこともあるかもしれない。ただ、(主に捕球役を担う)ジョネ・ナイカブラとセミシ・マシレワは、それをたくさん、練習してきた。ハイボールを捕れる選手だと思っています。成長できているはず。
この間のイングランド代表対アルゼンチン代表戦(11日の予選プール初戦、27―10でイングランド代表が勝利)でも、イングランド代表はハイボールを捕っていた。ここで(相手が)落球したら、スクラムで再開。私たちは、もしハイボールを落としたとしても、スクラムでプレッシャーを受けないようにしたい」
——第2戦は重要か。
ジョセフ
「自分としてはそのような考え方をしていなかったが、言われてみればそうかもしれない。これからティア1のイングランド代表と戦わないといけない。彼らはラグビーをリードしている国のひとつ。自分たちが何ができるか、と見ている。イングランド代表は、アルゼンチン代表に対してもプレッシャーをかけ続けてゲームをコントロールしていた。アルゼンチン代表は、チャンスを活かしきれなかった。ただイングランド代表も、アルゼンチンに勝つ前は苦戦していた。弱点を見ていく必要があり、そこにも時間を費やし、プランを立て、今度の試合に向かっていきたいと考えています」
姫野
「僕らにとっては毎試合が重要。必要なのは、100パーセント、120パーセントの力をグラウンドで出す準備をすること」
——14日、フランス代表にウルグアイ代表が健闘した。最後は12―27で惜敗も途中まで1点差に迫った。
ジョセフ
「ティア2のウルグアイ代表がいい試合をしているのには、インスパイアされる。チャンスがなかなかないなか、それを活かしていけるところが見られた。楽しめた。
イングランド代表は違うスタイルのチーム。ゲームのコントロールがうまくキッキングゲームを使う。セットピースもうまい。そこはティア2として常にチャレンジしなくてはならない。日本代表はバランスが重要。プレッシャーを受けるなかでも、プレッシャーをかけなくてはいけないと思っています」
前回の日本大会では、予選プールを全勝して初めて8強入り。しかし今回は、当時あったホームアドバンテージはない。さらには大会の組織委員会から、直前になって今週の練習会場の変更を要請された。
第1拠点のトゥールーズから現滞在先のモナコへ移ったのは14日。裏方のスタッフは、件の変更に伴い前日の先乗りを余儀なくされた。
簡単ではない道を歩む。
もっとも、ジョセフと姫野は「影響なし」と強調した。
ジョセフ
「影響はほとんどないです。もともと日本から違う環境に来ているが、素晴らしいところで練習させてもらっています。いま、使っているサッカーのグラウンドも素晴らしい施設です」
姫野
「何も準備で変わることはないです。ただ今週は夜9時キックオフの試合となる。プレパレーション(準備)をもう1回、見直し、夜9時に100パーセントで臨めるようにしたいです」
ジョセフは前職のハイランダーズ時代、在籍していた大物選手との契約を見直した末にスーパーラグビーで初優勝。逆境の強さを長所とする。今度のあぜ道も、口笛を復調して突っ切るつもりだ。