アンドロメダ銀河のすぐ隣で未知の巨大構造を新発見!?
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「アンドロメダ銀河の方向に超巨大構造新発見」というテーマで動画をお送りしていきます。
●アンドロメダ銀河近傍で超巨大構造新発見
私たちは、太陽のような恒星が約2500億個も集まった「天の川銀河」と呼ばれる星の巨大集団に属しています。
そんな天の川銀河から約250万光年離れた場所に、恒星が1兆個も含まれているとも言われる、天の川銀河よりもさらに巨大な「アンドロメダ銀河」があります。
アンドロメダ銀河は非常に遠くにありますが、あまりに巨大であるため、見た目の大きさは満月の5倍以上です。
このように観測が容易な近傍の巨大銀河ということで、アンドロメダ銀河は長年絶好の観測対象とされてきました。
それにもかかわらず、なんと2022年8月になってその近傍で超巨大な構造が新たに発見され、2023年1月とつい先日公表されています。
新構造を発見したのは、アマチュアの天文家たちです。
宇宙には無数の天体があり、それらが常に変化しているので、天体観測に終わりはありません。
そんな中で近年は高性能な観測機器が比較的安価で個人でも手に入るようになりつつあることから、今回のようにアマチュア天文家によって新たな天体や現象が発見されたという話題も目立つようになってきています。
●新構造はどんな構造?
ではつい最近アンドロメダ銀河の近傍で新たに発見された超巨大構造は、どのようなものなのでしょうか?
新構造は[OIII線]と呼ばれる、「電子が2個失われた酸素イオン(O2+)が放つ特定の波長の光」でのみ観測されています。
[OIII線]は、惑星状星雲や超新星残骸などのガス雲で検出されることが多いです。
つまり新構造はO2+を含む巨大なプラズマガス構造である可能性が高いです。
新構造の地球からの距離と正確な大きさ、そして性質等の詳細な情報はまだまだ不明ですが、研究チームによって3つのシナリオが提唱されています。
1つ目は、たまたまアンドロメダ銀河の方向にあるだけの天の川銀河内の構造である説です。
この場合、比較的近傍にある超新星残骸や、惑星状星雲である可能性があります。
ですが超新星残骸の場合は他の波長の光で観測されないことの説明ができません。
さらに惑星状星雲の場合でも理論で説明できないほど高温の中心天体が必要であるということで、結局は天の川銀河内の天体である可能性は低いとのことです。
2つ目は、アンドロメダ銀河近傍の超巨大構造説です。
この場合、新構造はアンドロメダ銀河とそれに接近した矮小銀河との衝突によって形成されたものである可能性が高そうです。
巨大銀河との衝突で引き裂かれた銀河は「恒星ストリーム」と呼ばれる、恒星が細長く引き伸ばされた領域に分布した構造を形成します。
新構造が恒星ストリームの一部である可能性もありますが、新構造はアンドロメダ銀河の周囲にある既知のいずれの恒星ストリームとも場所が一致していません。
3つ目は、天の川銀河とアンドロメダ銀河の中間領域にある構造説です。
この場合新構造は、これらの銀河のハロー同士の相互作用によって形成された可能性があります。
天の川銀河やアンドロメダ銀河は渦巻銀河と呼ばれる銀河に分類され、渦巻銀河には銀河本体に当たるディスクと、それ全体を包み込む希薄な「ハロー」と呼ばれる構造が存在しています。
天の川銀河とアンドロメダ銀河は今から約45億年後にはディスク同士が衝突を始めると考えられていますが、これらのハローはいずれもディスク中心部から100万光年以上も彼方まで広がっているため、現在でも既にハロー同士の衝突は始まっていると言われることもあります。
新構造はそんな衝突現象の過程で発生した可能性もあるわけです。
●なぜこれまで未発見だった?
では、このような巨大構造が今までの様々な観測の目を潜り抜けて未発見だったのは、なぜなのでしょうか?
その理由の一つとして、新構造が非常に暗く、かつ特定の波長の光でしか検出できないため、同じ方向にあるアンドロメダ銀河のハローなど別の構造からの光に紛れてしまっていたためであると考えられています。
さらに見た目が巨大すぎるため、より狭い領域を詳細に観測する従来のプロジェクトでは検出が困難だった可能性も指摘されています。
●最近見つかったまた別の構造
2022年11月27日、シドニー大学などの研究チームは、アンドロメダ銀河に今回とは別の新構造を見出しました。
その構造についてはまだわかっていないことも多いため、黒い流れという意味で「デュライ構造」と呼ばれています。
デュライ構造が発見されたのは、アンドロメダ銀河の内部ハローと呼ばれる領域です。
銀河ハロー領域には、10万~100万個単位の恒星が球状に集まった天体である「球状星団」が存在します。
天の川銀河のハローには現時点で150個ほどの球状星団が発見されています。
デュライ構造の正体は、10~20個程度の球状星団の集団であると考えられています。
ただしこれを確定させるためには、この構造との正確な距離を追加で知る必要があるとのことです。
今回の新構造やデュライ構造のように、非常に最近になってもアンドロメダ銀河周囲の新構造が続々発見されています。
多くの人を魅了するこの天体から今後も目が離せそうにありません。
デュライ構造については以下の動画で詳細を解説しているので、併せてご覧ください。