アウディ新作SUV「Q2」試乗、自動運転と運転する喜びは両立して当然であること思い知らされた
アウディ最新作のSUV「Q2」が発表され、そのお披露目の試乗会にお誘いいただいたました。
ほうほうアウディのSUVはどんなもんじゃい、自動運転とかもあるんかねえとミーハー気分で言ってみたら、すっかりアウディの技術力の高さに打ちのめされて帰ってきました。アウディすごかった、ドイツすげえドイツヤバいっす。
今回試乗させてもらったのは「Audi Q2 1.4 TFSI cylinder on demand sport」というモデルのさらにQ2の発売を記念してリリースされた「Audi Q2 1st edition」という限定パッケージです。
Q2は、MQB(モジュラー・トランスバース・マトリックス)と呼ばれるフォルクスワーゲン・グループのプラットフォームで作られています。これまでのアウディで言うとA3などが採用しています。
でも、アウディにはMQBを使ったSUVとしてすでにQ3という車種があります。今回のQ2はQ3と同じMQBでありながら、よりコンパクトなSUVが求められる世界的なニーズから作られたのでQ2というわけです。ややこしいのはアウディにはA3の下にA1という車種があるので、Q3の下のQ2はA1ベースと思ってしまう人もいるかもしれないということです。
1.4 TFSIは定評のあるアウディのダウンサイジングターボで、150馬力/最高トルク 250Nmという十分な性能。
cylinder on demandは4気筒エンジンでありながら、必要に応じて第2・第3シリンダーを止めて燃費を向上するというこれもアウディの技術がつまったエンジンです。
sportはその名の通りのスポーツ仕様。
※もろもろの詳細についてはアウディの公式ページでどうぞ(Q2発売を記念した導入限定モデル Audi Q2 1st edition)。
内部もA3ベースなだけに大人4人乗って余裕があり、荷物も十分に積めます。
Q2の見た目のデザインはこれまでのアウディの流麗な車体ラインからは少し変わったアウディ自身がポリゴンと呼んでいる、あえてきれいな線をカットしてカクカクした感じを強調するようなあたらしいデザインです。
後方のCピラーにはブレードと呼ばれるパーツが装備され、デザインにアクセントを与えています。
ということで、このQ2というアウディのコンパクトをざっくりとまとめると、1.4リッターターボ150馬力のエンジンに7速Sトロニックを装備した普通の車よりも少し車高の高い5ドア車。
SUVだし、アウディなので四駆のquattroかと思いきやFFです。なおコンパクトSUVと呼ばれるだけあって、日本で問題となりやすい立体駐車場にも入るというどこにもつっこまれる隙のない、ある意味奥様も安心のパッケージの今どきのSUVとしてまとめてきたという感じです。カラーリングもちゃんといろんな色が用意されています。
なので、ここまでの段階では「はいはい、今どきの人気のパッケージをきっちりまとめてきましたね」という感じだったんです。そう、アウディQ2に実際に乗るまでは。
下の動画はこのアウディQ2試乗会での実際の私の試乗の様子です。あんまりにも車のできがすばらしいので「ハンコください!」とわけのわかんないことを言い出すほどに興奮していることがわかります。意味合いとしては「今すぐハンコ押して買いたい」ということが、私は言いたかったんだと思います。
上記の動画提供は以下の記事より。
とにかく素直でいい車です。ブレーキを踏めば思ったところでピタっと止まる。ステアリングを切れば切っただけすいすいと曲がっていきます。私程度の運転技術ではハンドリングの限界なんて見えないほどに底なしで曲がっていきます。これは楽しい、楽しい車というのはこいうものです。
そして曲がってもなおサスペンションに余裕があるということは、これ危機回避能力も極めて高いということなんです。例えば、ブラインドコーナーで思わぬものが路上に出てきても、そこからさらに回避行動を取れるわけです。これはすごいです。運転中に何度「この車どこまで曲がるの!まだ曲がるの!」と思ったことか。しかもこれだけ曲がるんだから、さぞかしすごいタイヤなのかと思えば、詳細までは書きませんが普通のタイヤです。つまり、それほど車体性能が高いということなんです。
そして、ここにドライバーをサポートするレベル2と呼ばれる部分的な自動運転を満たしたオプションが用意されています。用意されるのは、以下のいずれもドライバーをサポートするほぼ自動運転機能です。
- 設定したスピードを維持しつつ安全な車間距離を自動的に調整する「アダプティックオートクルーズ」
- 死角から侵入してきた車を察知して警告する「サイドアシスト」
- 車が走行レーンをはみ出ないようにステアリングを自動修正する「アクティブレーンアシスト」
- 時速65km以下での渋滞時に衝突を回避しつつ停車や3秒以内の再発進をサポートする「トラフィックジャムアシスト」
- うしろ向きに車が出る際、後方死角からくる車を察知して警告する「リアクロストラフィックアシスト」
- 車の危機を察知してフロントシートベルトを自動的に巻き上げる「プレゼンスベーシック」
- 周囲の光の状況に合わせてハイビームを切り替え視覚を確保する「ハイビームアシスト」
▼アウディQ2、トラフィックジャムのイメージ動画
すごいですよね、この充実の危機回避のための自動運転装備。ここまでサポートされれば、相当な危機回避が可能になるでしょうし、結果として事故も低減できるはずです。
しかもこの運転をサポートする自動運転機能の数々が実にスムーズなんです。うまい表現が見つからないのですが、自動運転する車に乗せられているという感じがすごく少ないんです。運転の主体はあくまでも人であるドライバー側にあって、そのドライビングの領域は邪魔せずにそっと自然にしかも確実にサポートしてくれるんです。
なお、この日の試乗では渋滞も緊急ブレーキが必要な場面にも遭遇しなかったので、実際のアウディQ2の自動運転系の車の挙動については、以下の(海外のものですが)動画をご参考までにどうぞ。
また、よりテクニカルな内容を知りたい方は英語サイトになりますが、Audi Technology Portalというページにより詳細な技術情報や動画がたくさん公開されていますので、そちらもどうぞ。
そして、ここからいちばん大事な話をします。われわれはどこかで自動運転に関して変な思い込みをしてしまっていないでしょうか?ということです。
自動運転できる車は運転して楽しくない車に違いないと。自動運転は運転するドライバーの喜びをスポイルするものに違いないと。
しかしそれは断然「否!」なのです。
自動運転で機械が車に指示しようが、人が車に指示しようが、車はその指示に十分にこたえられる性能を持っていなくてはいけません。そうでなければ、車は指示通りに動きません。指示に対応できるということは機械にとっても人にとってもいい車であるというだけなのです。そして、それは決して二律背反するものでも、トレードオフするものでもないのです。こんな当たり前のことをこのアウディのQ2に乗るまで、私は体感できてなかったんです。
自動運転で車と人の安全を可能な限りサポートし、人の意思で自由に楽しく運転できる車。アウディがQ2で実現したのはそんな車です。さすが自動運転の分野では業界をひっぱるアウディです。
しかもくりかえしますが、Q2はアウディではいちばん小さい価格帯としても安いSUVなんです。そのSUVという量産される市販車レベルで、ついに車はここまできたんだなあということを深くかみしめるアウディのQ2試乗会でした。いや、ホント感動しました。