Yahoo!ニュース

守山市民球場リニューアル記念試合は雨天中止 阪神ファーム

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター

29日、近畿は久しぶりに本格的な雨となりました。この日、滋賀県の守山市民球場で予定されていたウエスタン・リーグの阪神‐広島戦も雨のため午前7時過ぎに中止が決定。チームは宿泊先から鳴尾浜に戻って練習しています。当日移動の段取りだった広島は出発前でした。残念ながら開催を迷う程度の雨ではなかったので、仕方ないですね。

昭和55年に開設された守山市民球場は昨年から総事業費7億3千万円をかけて大規模改修工事を行い、今月12日にリニューアルオープンしたばかり。29日の阪神‐広島戦は“こけら落とし”イベントの1つでした。マスコットのキー太も参加し、試合後には野球教室もあるはずで…準備を進めてこられた守山市の皆さん、新しい球場でのプロ野球観戦を楽しみにされていたファンの方々は本当に残念でしょう。

守山市民球場のリニューアルポイントは両翼が91mから100mに、センターは100mから123mとかなり大きくなったこと。外野が全面人工芝に変わり、バックスクリーンはLED電光掲示版で球速表示や映像も見られるとか。私も現地へ行って取材しようと張り切っていましたが、またの機会があると思って待つことにします。

29日から9連戦が組まれていた小虎は、これで8連戦となりました。ゴールデンウィーク後半はお天気も良さそうですけど、30日は朝の雨がいつまで残るか。まあ甲子園の1軍戦がやれたぐらいなので大丈夫ですね、きっと。

Honda鈴鹿には1勝3敗

さて、きょうは27日に行われた社会人・Honda鈴鹿戦で、前回書ききれなかった話をご紹介します。まずHonda鈴鹿とは4年前から毎年対戦していて、初対決の2011年に勝ったあと3連敗中。2011年6月17日は秋山投手、筒井投手、清原投手、藤原投手、桟原投手というリレーで黒瀬選手が3ランを放ち逆転勝ち。2012年5月9日は歳内投手、蕭一傑投手、鄭凱文投手、玉置投手が投げ、4対2で負けました。

昨年は4月3日に行われ、島本投手が先発だったんですね。3回4安打5失点で自責点は3。ことし4番を打っていた大西選手(昨年は5番)に2ランとタイムリー三塁打、ことし5番で昨年は4番だった庄司選手にもタイムリーを許しています。そのあと田面投手が2回1安打(3四死球)1失点。やはり大西選手にタイムリー二塁打を浴びました。続く金田投手は2回を投げ3安打、2ランでの2失点。林啓介投手が2回1安打無失点。

大西選手はホームラン、三塁打、二塁打の順で3打席連続安打。あとは単打でサイクル安打達成とあり、こちらは無得点なのに7回の打席は大注目だったのを思い出しました。結果は金田投手が遊ゴロ併殺打に打ち取って、9回は4番で終わったので回らず。それでも4打数3安打5打点です。すごいですねえ。

昨年も小豆畑選手がキャッチャーで先発出場。1年目で、マスクをかぶった公式戦、非公式戦合わせて9盗塁を許していて、この試合も1回に走られたのですが、そのあと3回に初めてプロでの盗塁阻止!と思ったら6回に通算11個目を決められたけど…。あの頃は送球が安定しなくて自慢の肩を披露できず、少しへこんでいましたっけ。

打線は途中出場の原口選手が2打数2安打。全部で10安打下打線ですが、得点は9回に林威助選手、中谷選手、原口選手の3連打などで1死満塁として阪口選手の犠飛で1点返しただけでした。今年と違って、昨年はゴロアウトが多かったですね。ちなみにHonda鈴鹿は1番から6番までがヒット、7番から9番までは四死球で全員出塁しています。ほほー。

交流試合ならではの光景

今年の話に戻りましょう。試合後にウエートルームから出たり入ったり、何だか落ち着かない藤原投手。しばらくしてバットや用具を手に、Hondaのチームバス付近までやってきたものの、目当ての選手がいなかったのか退散してきました。今度はHondaの選手がキョロキョロしながら歩いてきて、ようやく遭遇できたもよう。

新品のバットなどをもらったのは背番号27の新田有規捕手(25)。これがなかなかのイケメンで…いや話が逸れました。立命館大学の1つ後輩だそうで、藤原投手は「僕らの時の正捕手ですよ。前にも試合して打たれた気がするなあ」と言いますが、4年前に打たれたのは別の人です。って余計な情報ですね。

先発した土肥寛昌投手(23)は東洋大で緒方選手の同級生。この日、緒方選手は出場しませんでしたが「結構仲良かったですよ」とのこと。あまり話す時間はなかったそうです。4回を投げて無安打無失点、しかも1回に西田選手への四球が唯一の走者。その西田選手を盗塁で刺したため、すべて3人ずつで片付ける完ぺきな内容でした。

しかし「結果オーライな気もします…」と土肥投手。プロ相手に投げるのは初めてだったそうで「社会人だとファウルや空振りになるボールが前に飛ばされてしまって。それがたまたまフライになっただけ」と殊勝なコメント。でも「せっかくの機会なので、持っている球を全部投げようと思いました。うまくいってよかったです」とホッとした笑顔。

田面、悔しい2イニング目

次は田面投手についての話です。1対0の6回に登板し、3番・澤田選手を初球のスライダーで、4番・大西選手は初球の真っすぐで、どちらも遊ゴロ!2球で2死を取って5番・庄司は5球目のスライダーで左飛と三者凡退でした。今季はまだ公式戦登板で投げていませんが、練習試合と育成試合に5度登板して初めての三者凡退イニングです。

ところが7回は4安打と3四球に1暴投で6失点…。久保投手コーチは「1イニングでよかったかな。欲張ったかな」と後悔。でも“おっ!”という球も結構ありましたね。「そうそう、よくなってきたんだよ。少しずつでも。この1週間、ブルペンでもいい形が出ていた。フリー打撃に登板したりしている中、試合でもイニングを増やしていきたいんだけどね。競った試合が多くて」。そしてもう一度「1イニングで代えればよかったかなあ」と悲しげな面持でした。

昨年6月から2か月間、試合に登板せずコントロールの修正などに取り組んできた田面投手。夏以降は最速146キロもマークし、公式戦最後の試合では2回1四球無失点で初白星がつきました。だからこそフェニックスリーグで飛躍を、と思ったけど不参加だったんですよね。今年にかける思いは半端じゃないはず。これからもっともっと登板機会が増えるよう、祈っています。

「記念ボールは1軍で」

また27日のHonda鈴鹿戦で陽川選手がホームランを放ちましたが、“プロ1号”とはいえ記念ボールは受け取らなかったそうですね。というか育成試合で打った分も選手はもらっているんでしょうかねえ。聞いたことはありませんけど。おそらく公式戦の初ヒットとか初ホームランだけだと思います。

昨年7月27日、公式戦初HRのボールを手にした北條選手。今季1号は甲子園でした。
昨年7月27日、公式戦初HRのボールを手にした北條選手。今季1号は甲子園でした。

そうそう、ルーキーの公式戦初安打のボールも、相手チームの野手が「初ヒットだったの?」と確認のうえ返してくれたりするんですよね。野原将志選手は初安打のボールをバットと一緒に実家へ送り、藤井宏政選手も初ホームランのボールは実家にあります。昨年の北條選手も初ホームランのボールは受け取りました。

でも最近、公式戦初ヒットに関しては「記念ボールは1軍で」という平田監督の意向もあり、確保していないみたいです。陽川選手、横田選手とも同じように「1軍で打った時にもらいます」と言っていましたし。昔は栗山通訳とか、スタッフさんとかが気を利かせてホームランボールを探しに外野まで行ってくれていたものです。もちろん「1軍でこその記念」というのも、プロなら当然。だから小虎たちが1軍でホームランを打った時には、ぜひボールを返してあげてくださいね!

余談ですけど、北條選手が持っているボールはコミッショナーの名前入りのようで。写真でもわかりますね。ことしは入っていませんし、ある意味“記念”になるかも。なんて不謹慎でしたか。すみません。そういえば29日から一斉に規格適合の統一球へ変更されるんですね。さてどんな影響があるのか、注目しましょう。

昨年あった貴重な守備の話

最後に、27日はファーストでフル出場した原口選手が昨年も1試合だけ一塁を守ったと、きのう書きました。その昨年6月25日の育成試合がなかなか貴重な守備陣で!この時は甲子園でソフトバンクとの公式戦があり、鳴尾浜で行われた関西独立リーグの兵庫ブルーサンダーズ戦は原口選手がファースト、外野デビューとなった穴田選手がライト4番。橋本選手はサード、小豆畑選手も途中から「小学生以来の」ファーストを守ったんです。選手がギリギリで指名打者制を使わなかったため投手(伊藤和、藤原、林啓介、島本)は4人とも打席に立ちました。

さらにベンチに残った選手は投手のみなので、代打でも登場!右ひざ完治を優先し戦列を離れていた緒方選手が、この日に実戦復帰したもののフル出場は避けたため、なんと藤原投手が投げ終わってすぐレフトの守備に!そのまま試合終了まで守っています。いい動きでしたが打球は飛ばず、ちょっと残念だったかもしれません。もう公式戦と同時に育成試合をすることはないかもしれないので、話のタネに。

Honda鈴鹿戦でことし4試合目だった育成試合は、なんと4戦全敗。2月のキャンプの練習試合と育成試合を合わせると20試合(教育リーグを除く)で、成績は4勝5敗1分けです。いやー負け越したなんて、きっと初めてでしょう。次の育成試合は5月21日。鳴尾浜に初めてJR北海道を迎えます。

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

岡本育子の最近の記事