40周年のファミマ、スイーツの歴史をヒット商品とともに振り返る
今年40周年を迎えたファミリーマート。「40のいいこと!?」というテーマで様々なキャンペーンも実施されている。そこで今回は、ファミリーマートの取材協力を得て、スイーツの観点からファミリーマートの歴史を振り返ってみたいと思う。
オリジナルスイーツ誕生以前にあった、幻のスイーツ!?
「コンビニスイーツ」という言葉が定着し、世間で注目を集めるようになったのは、ここ15年くらいの出来事。各社がオリジナルブランドのスイーツを開発するようになってからだ。
それ以前は、プリンやヨーグルト、シュークリームなどのメーカー品を販売しているのが一般的であったが、一部では試験的にオリジナルスイーツの販売も行なっていたらしい。
その一例が、1998年6月に発売された「ミスクルクル」(210円+税)。生クリーム、ムース、ゼリーの3層構造になっており、カフェ、イチゴ、マンゴの3種類を販売。著名アーティストがデザインしたオリジナル・キャラクターの"MISS KURUKURU"という女の子が起用されている。SNSはおろかインターネットもまだ限定的だった時代だ。
発売初期は、甘くてボリュームのある、男性向けのスイーツがヒット
ファミリーマートのオリジナルスイーツが誕生したのは、2006年5月。「Sweets+(スイーツプラス)」というブランド名でスタートした。当時の店舗数は、約6700店舗。本格スイーツを望む30代女性をターゲットに、華やかさや本格感のあるスイーツを導入していった。
だが実際に、当時のコンビニの客層は圧倒的に男性客。スイーツも男性客の購入割合が高く、「専門店でスイーツを買うのが恥ずかしい男性が、コンビニで買う」というイメージもあった。そうした背景から2007年に発売されたのが、男性にターゲットを絞り“ボリューム”と“なじみのある味”をテーマにした「男のスイーツ」シリーズ。2010年9月からは「俺のスイーツ」シリーズと名前を変え、キムチの容器ほどの大きなティラミスや、ジャンボサイズのプリンなど、長期にわたって様々なスイーツが販売された。「本格的な味のスイーツより、甘くてボリュームがあるものが売れていた印象です」(ファミリーマート 商品開発担当・杉本さん)。
知名度を一気に押し上げた「Wクリームエクレア」
ファミリーマートのスイーツの認知度を押し上げた商品が、2009年1月に発売した「Wクリームエクレア」。テレビ番組で紹介されたのをきっかけにブレイクし、1年間で累計販売数は約3000万食を計上。店舗数が現在の半分だったことを考慮すると、かなりインパクトのある数字であることがわかる。
2012年には、チルド温度帯で提供する和スイーツがコンビニに登場し始め、ファミリーマートでもオリジナルの和菓子シリーズ「Sweets+和」を発売。クリーム白玉、生どら焼き、わらびもちなど7商品で、現在のような和洋折衷のスイーツよりも、オーソドックスな和菓子が多かったという。「その後、開発を進めるうちに、チルドスイーツの優位性を最も活かせるのは生クリームだと感じ、生クリームを組み合わせた和スイーツが増えていきました」(杉本さん)。
コーヒーをきっかけに、新たなニーズを模索する時代に
2013年にコーヒーマシンが導入されると、スイーツの販売動向にも変化が現れた。コーヒーをきっかけに客層が広がり、“ついで買い”がみられるようになる。「コーヒーとの買い合わせを狙ってスイーツの売り場を作りなおし、『ジュエリースイーツ』という焼き菓子の新シリーズや、ドーナツなどを導入しました」(杉本さん)。当時の“コンビニドーナツ戦争”は、筆者も記憶に新しいところだ。
また2016年には、サークルKサンクスと経営統合。「濃厚焼きチーズタルト」、「窯出しとろけるプリン」、「Wクリームのシュークリーム」の人気3商品を、ファミリーマートでも販売することになる(2017年~)。また同年の3月には、ファミリーマートの人気スイーツとなっている「ケンズカフェ東京」監修のスイーツを初めて発売。現在まで続くロングヒット商品に成長している。
2018年のリニューアル後、ヒットを連発中
現行のオリジナルスイーツは、2018年11月に「Famima Sweets(ファミマスイーツ)」としてリニューアルされたもの。同時に、「スフレ・プリン」を発売し大ヒットとなる。「スフレ・プリン」は、チーズスフレとプリンが合体したハイブリッドスイーツだが、実は原型となったスフレは、単品で以前に発売されていた商品だそうだ。
2020年1月には、食感に特徴のあるワンハンドタイプのスイーツ「デザートモンスター」シリーズを発売。11月には、新感覚チーズケーキ2品を発売し、ファミリーマートのオリジナルのスイーツとして史上最速となる10日間で、合計200万食を突破している。
新作クッキーサンドが、発売9日間で300万食を突破
そして2021年。次なる人気スイーツに成長させるべく6月22日より売り出し中なのが、「バタービスケットサンド」(3種・228円~)。コンビニスイーツが得意としてきた「ワンハンドで食べられる手軽さ」と、発酵バターを使用したご褒美感のある味わいを兼ね備えた商品だ。第一弾はショコラ、チーズ、ラムレーズンの3種類で、発売開始から9日間で「Famima Sweets」史上最速のスピードで300万食を突破。ファミリーマートの新定番スイーツとして定着させていく予定だ。
オリジナルスイーツは近年も好調で、店舗数の増加とともに売り上げも1.5倍に伸長。コロナ禍にあっても、堅調に売上を伸ばしているカテゴリーの一つだ。また商品のクオリティに関しても、材料・設備・技術の進化に伴って向上してきているという。
近年はDXも活用するなど次世代に向けた商品開発に取り組んでいるが、オリジナルデザートの誕生以来大事にしているのは「手づくりのおいしさ」なのだという。「社内ではずっと、『スイーツ』ではなく『手づくりデザート』という呼称を使っています。工場生産ではありますが、人の手で作っている部分も多い。これからも、手づくりの味を大事に、お客さまに喜ばれるスイーツを開発していきたいです」(杉本さん)。
【ファミリーマートのスイーツ年表】
- 2006年5月 「Sweets+(スイーツプラス)」誕生
- 2007年~ 「男のスイーツ」シリーズを展開
- 2009年1月 「Wクリームエクレア」発売。1年間で累計販売数は約3000万食を計上
- 2010年3月~「オニ盛」シリーズを発売。第1弾は、「ホイップクリームオニ盛プリン」
- 2010年9月~ スイーツ好きな男性をターゲットにした「俺のスイーツ」シリーズを展開
- 2012年5月 焼き菓子の「フィナンシェ」がモンドセレクション2012金賞受賞。 ジェラート5種類を発売。発売7日間で100万個を突破
- 2012年6月~ オリジナルの和菓子シリーズ「sweets+和」を発売
- 2013年~ 「FAMIMA CAFÉ」の販売をスタート
- 2014年6月 シャーベット状の本格フローズンコーヒー「カフェフラッペ」発売
- 2014年9月 ワンランク上の「プレミアム」シリーズを発売
- 2015年4月 コーヒーに合うスイーツとして「FAMIMA CAFÉ DONUT(ファミマカフェドーナツ)」を発売
- 2016年11月 宝石のように華やかな本格スイーツの新ブランド「JewelrySweets」発売
- 2017年2月 “クリームたっぷり”シリーズ2種類と、お手頃価格で楽しめる“四角いクレープ”2種類を発売
- 2017年3月~ ケンズカフェ東京監修のスイーツを新発売
- 2017年4月 オリジナルショコラの新ブランド「カカオマルシェ」が新登場
- 2017年10月 「たべる牧場ミルク」を発売。アレンジ食べが、SNSで流行
- 2018年11月 「Famima Sweets(ファミマスイーツ)」リニューアル。パッケージも一新。スフレ・プリンを発売し大ヒット。「2020年ヒット商品ベスト30」に選出される
- 2020年1月 食感に特徴のあるワンハンドタイプのスイーツ「デザートモンスター」シリーズを発売
- 2020年11月 新感覚チーズケーキ2品を発売
- 2021年6月 バタービスケットサンドを発売