アジア人蔑視?ソン・フンミンの最優秀選手候補“選外”に見えない欧州とアジアの壁
数字や実績でなければ、アジア蔑視なのか――。トッテナム所属の韓国代表FWソン・フンミンを取り巻いて、韓国メディアが何やら騒がしい。
イングランドプロサッカー選手協会(PFA)が選んだ今季プレミアリーグの年間最優秀選手賞候補に、ソン・フンミンの名前がなかったからだ。
候補に選ばれたのは、今季リーグ優勝したマンチェスター・シティーのMFケビン・デブライネをはじめ、FWサディオ・マネ、FWモハメド・サラー、DFフィルジル・ファンダイク(以上、リバプール)、FWハリー・ケイン(トッテナム)、FWクリスティアーノ・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)と、ビッグネームが並ぶ。
しかし、今季プレミアリーグで23ゴールを決めて、サラーと並んで得点王となったソン・フンミンが候補にも入らなかったことに、韓国メディアは疑問を呈している。
スポーツ紙「スポーツ朝鮮」は「故意的に除外したとしか解釈できない事が起こった。計6人の選手が最終候補に選ばれたが、客観的にシーズンの成績を見る限り、ソン・フンミンがここに含まれない理由がない」と伝えている。
同紙は、特にロナウドとケインがノミネートされたことに疑問を呈し、「ロナウドは今季、得点ランキング3位(18ゴール)で、マンチェスター・ユナイテッドは今季リーグ6位で、チャンピオンズリーグ出場権を逃した。過去の名声以外は“今年の選手”となる理由を探すのは難しい」と報じている。
ソン・フンミンと同僚のハリー・ケインについても、「トッテナムをリーグ4位に導く原動力になったのは事実だ。しかし客観的な成績では、チーム内で1位とは言えない。ケインは17ゴール、9アシストで得点ランキングは3位。ケインよりもより優れた成績を残したのが、チームメイトのソン・フンミンだ」と伝え、同じチームならソンが候補に入るべきと主張している。
ソンの今季23ゴールのなかに、PKが一つもなかったことは、何度も報じられているが、それがどれだけ難しいのかは、説明する必要はないだろう。
そもそも、今季のソンと同じ実績をほかの選手が来季に達成する確率もそう高くはないはずだ。そうした状況を踏まえても、ソンは候補にすら入らなかった。そもそも、どのような基準で選手が選定されているのかが明確でなく、曖昧な部分が多いから議論が巻き起こる。
ただ、「最優秀選手」にならないにしても、候補にもソン・フンミンがノミネートされないのであれば、“アジア人蔑視”と捉えられてもしょうがない部分がある。
もちろん選手の過去の実績や存在感などを総合的に見れば、候補にノミネートされた選手たちでいいかもしれない。ただ、今回は“今シーズン”に目立った活躍をした選手たちのことを言っているのだから、公平に見るならば、ソン・フンミンを入るべきだった。
これからアジアの選手がプレミアリーグでどんな結果を残せば、最優秀選手と見なされるのだろうか。サッカー界における“欧州”と“アジア”の間には見えない壁がまだ存在する――それを改めて再確認した一件だった。