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【鎌倉市】ゴツッと硬い自家製酵母パン。「Cailloux (カイユー)」が北鎌倉台商店街にオープン

satomi地域情報発信クリエイター(鎌倉市)
(画像提供:Cailloux)

北鎌倉台商店街に6月6日、パン屋さんがオープンしました。店名は、フランス語で「石ころ」の意味を持つ「Cailloux(カイユー)」。
北海道産の有機小麦をベースに、自家製の発酵種を使ったバゲットやカンパーニュなどのシンプルなパンを取り揃えるお店です。

元・美術の先生が焼く、自家製酵母のパン

(画像提供:Cailloux)  対面販売でパンの説明を行います。
(画像提供:Cailloux)  対面販売でパンの説明を行います。

店主の吉田さんは、小学生の時にパン作りの絵本を見てパン作りを始めたそう。イーストで発酵させるも思うようにパンが膨らまず、イースト独特の香りもどうすれば消せるのか、試行錯誤を重ねます。そして中学生の頃から自ら天然酵母を育て、本格的にパンを作り始めたそうです。

その後、美術教師として勤務され、育休中にパン作りを再開されます。ネットでパン作りを調べていると、広島でパンを4種類しか焼かないというパン屋さんに目が留まり、その店主の著書“捨てないパン屋”という本を読んでみると、働き方から生き方が自分にはない考え方だった、と吉田さんは言います。

その著者が、オンラインのパン学校の生徒を募集していたタイミングで入学し、教師として勤務しながらパン学校で技術や働き方、時間の使い方などを習得されたそうです。

この商店街に初めて訪れた時、斜め向かいの鯛焼き屋さん「こたろう」さんに物件を見に来たことを告げると、「この町パン屋さんないからここでやりなよ。」と言われたそう。トントンと話が進み、こたろうさんが近くの飲食店「山や」さんに声をかけ、2023年の1月から1年間、山やさんで月に1度の試食会を行いました。

この町だったら自分のパンを受け入れてくれるし、日常の中にあるパン屋というイメージが想像できた。アットホームでみんな顔見知りだし、心が落ち着く。と、吉田さんはここで店をやろうと決めたのだそうです。

作る人が幸せで、買う人も幸せになるパン屋さん

(画像提供:Cailloux)
(画像提供:Cailloux)

一般的に、パン屋さんは朝早くから夜遅くまで長時間、多種多様なパンを焼き、売れ残ると廃棄することが当たり前なのだとか。
ひたすらパンを焼き続けたのに、食べられることなく捨てられてしまう。その働き方や食品ロスに疑問を持った吉田さんは、国産有機の小麦を使って長持ちするパンを作ります。自家製酵母で作るパンは日が経つほどに味わい深くなるそうです。
“捨てないパン屋”で培ったノウハウをもとに、パンの廃棄ゼロにつなげています。

(画像提供:Cailloux)
(画像提供:Cailloux)

使用する小麦は北海道産。農家さんは、生産量が安定しなかったり、病害虫が発生したり、日々多くの課題と向き合いながら、未来の子どもたちに健全な土を残すため、持続可能な農業を行っています。
「そういった農家さんの想いに触れ、届けていただいた粉をどういう形にするかを考えながら、パンを作ることで手助けをしたいと思っています。発酵の微妙な違いや季節の素材の違いがそのまま味や風味に出てくるので、同じパンでもその都度変わる味を楽しんでもらえたら。普段使い出来るパンとして、毎日食べる人ならその選択肢のひとつとして選んでもらえたら嬉しいです。」とお話されていました。
また、今後は湘南で小麦を栽培する農家さんと関係を紡ぎ、地元の小麦を使ったパンの提供を考えているそうです。

(画像提供:Cailloux)
(画像提供:Cailloux)

パン作りの要となる自家製の発酵種。乳酸菌由来の酸味が特徴です。
パン作りの要となる自家製の発酵種。乳酸菌由来の酸味が特徴です。

オーブンはフランス製。パンの種類によって250~280度で焼き上げます。バゲットなら一度に40本も焼けるそう。
オーブンはフランス製。パンの種類によって250~280度で焼き上げます。バゲットなら一度に40本も焼けるそう。

ワインセラーでは、今後パンに合うワインやチーズ、惣菜などを用意されるとのこと。商店街のお魚屋さんの魚フライや、鯛焼き屋さんの餡子などとのタイアップも期待されます。
ワインセラーでは、今後パンに合うワインやチーズ、惣菜などを用意されるとのこと。商店街のお魚屋さんの魚フライや、鯛焼き屋さんの餡子などとのタイアップも期待されます。

パンを発酵する際に使う発酵籠。鎌倉竹部さんがCaillouxさんのために制作されたもので、地域の竹林を資源として活かして作られた竹細工です。
パンを発酵する際に使う発酵籠。鎌倉竹部さんがCaillouxさんのために制作されたもので、地域の竹林を資源として活かして作られた竹細工です。

試食会も大人気

鎌倉市が主催する「かまくら起業のススメ」のメンバーと、3月3日に開催した「かまススマルシェ」。
この時試食をいただき、パンのゴツゴツどっしりとしたビジュアルと、そのインパクトに相反する優しい味わいに衝撃を受けました。

オープンを控えた5月18日の試食会では、フォカッチャ、バゲット・オ・ルヴァン、ライ麦100、ブリオッシュ、ケーク・オ・ルヴァン、パン・ド・カイユー、といった種類が並び、その中の「ケーク・オ・ルヴァン」をいただきました。発酵の香りと風味、ほんのりシロップの甘みを感じるワンランク上のパウンドケーキは感動に値する美味しさでした。
お店の外は多くのお客様で行列ができており、店内も大賑わい。オープン前から多くの人々の関心を集めていました。

作り手の想いを大事にして、生産者が見えるパンを作りたいという考えで、素材と発酵にフォーカスしたパン作りをされています。

「商店街にある他のお店とコラボした商品開発や、地域で採れた野菜、果物を使ったパンなど、“ここでしか作れないパン”の形を模索していきたい。」と吉田さん。

常に研鑽を積まれているので、訪れる度に新たな味わいに出会えるかもしれませんね。
地元密着で地域のためのパン屋さん。ぜひ訪れてみてください!

*掲載時の内容です。メニューや価格、営業時間等の変更の可能性がありますので、お出かけの際は最新情報をご確認ください。

■Cailloux (カイユー)
住所     鎌倉市今泉台4-19-12
電話番号  -
アクセス   江ノ電バス「北鎌倉台」停留所下車徒歩1分/北鎌倉駅から徒歩約20分
営業日   木・金・土
営業時間  11:30〜16:30頃(売り切れ次第終了)
公式SNS  (外部サイト)

地域情報発信クリエイター(鎌倉市)

鎌倉の海・街・人が大好き。海の恩恵と繋がるご縁に感謝し、ビーチクリーン活動をしながら海洋ごみの削減を目指しています。好きだからこそ伝えたい鎌倉の魅力を発信していきます!(2024年2月MVA/2024年7月MVA大賞受賞)

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