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【築地市場の豊洲移転問題】マル秘資料開示! 濱渦副知事「株主に損をさせない仕組みづくり」指示していた

加藤順子ジャーナリスト、フォトグラファー、気象予報士
副知事からの「3つの指示」

東京都がこれまで全面的な黒塗りでしか開示してこなかった、築地市場の豊洲移転をめぐる都と東京ガスの協議記録が、25日からほぼ読める形で開示され始めている。

「石原知事は、以前からのり弁ののりの部分を開けば分かるということをおっしゃっておられます。それについて、のりをはがす状況にようやくできましたので、それをよくチェックさせていただきたい」

小池百合子都知事が25日の定例会見でそう示唆した通り、会見終了と同時に、中央卸売市場が保管する経緯資料の開示決定の連絡が、待っていた人たちの元に続々と入った。

何かとリークで情報が拡がりがちな小池都政の動きではあるが、今回、こうした文書を正規の開示手続きを経て入手できたことにひとまず安堵している。

今回開示された資料のうち、豊洲の土地を巡って、2001(平成13)年2月21日に東京都と東京ガスが覚書書を交わすに至るまでの内容については、ジャーナリストの池上正樹さんが早速、2004年に東京ガス豊洲開発株式会社の江口洋社長(当時)から都との交渉について話を聞いたことなどを振り返りつつ記事にしている。

■濱渦副知事からの3つの指示

この記事でも触れられているように、一連の資料からは、市場業者の意見が集約される前に都側が豊洲の東京ガスの土地を確保しようと独断で強引に交渉を進めていった様子が読み取れる。東京ガスは、1998(平成10)年夏には土壌汚染の調査を始めていたが、一連の交渉では土壌汚染については触れていない。

最終的に東京ガスが築地市場の豊洲移転を受け入れたのは、2000(平成12)年10月4日に濱渦武生副知事(当時)や大矢市場長らが東京ガスを訪れた際のことだった。

手書きで<マル秘>と書かれているこの日の記録文書には、水面下での交渉を東京ガスが働きかけ、濱渦副知事も土地の価格や開発者負担などについて、水面下で進めていくことをさかんに強調している。

濱渦副知事がこんな指示をしたという付記もある。

1.株主には損をさせない仕組みづくりをすること

2.役員には市場移転によるプラスイメージを与えること

3.東京都からのお願いにより、東京ガスとしては「公共事業には協力する」という社是に沿って市場移転を受け入れるという格好をとること

この後、この指示に沿った形で、市場機能を織り込んだまちづくりを豊洲で行う覚書が平成13年2月21日に交わされ、具体的な協議に入っていく。

次回は、土壌汚染対策法が施工された直後の2003(平成15)年4月以降に、都の知事部局と東京ガスとの間で、土壌汚染の処理を巡って厳しい交渉が行われている生々しい記録も紹介する予定だ。

ジャーナリスト、フォトグラファー、気象予報士

近年は、引き出し屋と社会的養護を取材。その他、学校安全、災害・防災、科学コミュニケーション、ソーシャルデザインが主なテーマ。災害が起きても現場に足を運べず、スタジオから伝えるばかりだった気象キャスター時代を省みて、取材者に。主な共著は、『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』(青志社)、『石巻市立大川小学校「事故検証委員会」を検証する』(ポプラ社)、『下流中年』(SB新書)等。

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