近畿大会の組み合わせが決まった。明治神宮大会連覇中の大阪桐蔭は、開幕試合で高田商（奈良）と。履正社（大阪）は滋賀学園と初戦で当たる。今春センバツ準優勝の報徳学園（兵庫）の相手は奈良大付に決まった。近畿のセンバツ枠は「6」で、4強入りがまずは選出安全圏と言える。順に2試合ずつ展望を紹介したい。準々決勝の対戦はA－B、C－D、E－F、G－Hである。

大阪と兵庫の1位校が入った激戦ゾーン

　A、大阪桐蔭（大阪1位）－高田商（奈良3位）

　B、報徳学園（兵庫1位）－奈良大付（奈良2位）

　大阪桐蔭は、大型右腕の平嶋桂知（2年＝タイトル写真）ら本格派の好投手を擁し、大阪大会では接戦でも強さを発揮した。打線は、4番のラマル・ギービン・ラタナヤケ（2年）を軸に長打力がある。1番を打つ境亮陽（2年）は三拍子そろった好選手で、マウンドにも上がる。高田商は昨秋の近畿大会で完封勝ちした仲井颯太（2年＝主将）が健在で、大阪桐蔭が伝統的に苦手とする軟投派左腕。丁寧な投球で凡打の山を築きたい。報徳はセンバツでも活躍した間木歩（2年＝主将）と今朝丸裕喜（2年）の両右腕が経験値で上回り、頼もしい。打線は前チームよりやや小粒になったが、機動力を使った多彩な攻めができる。奈良大付は天理に2－1で逆転勝ちした実力校で、下級生中心のメンバーながら粘り強い。1番の村井玲司（2年＝主将）はパンチ力がある。

常連校に久々の甲子園を狙う伝統校が挑む

　C、近江（滋賀1位）－興国（大阪3位）

　D、京都国際（京都2位）－田辺（和歌山2位）

　近江は左右の好投手を擁し、前チームを上回る総合力を持つ。右腕の西山恒誠（2年）は速球に力があり、タテと横のスライダーを投げ分ける。

　左腕・河越大輝（2年）は変化球のキレで勝負するタイプで、ベテラン・多賀章仁監督（64）は「河越の投球がカギ」と期待を寄せる。興国は45年ぶりの近畿大会出場で、49年ぶりの甲子園出場を狙う。横手投げエースの熊谷直也（2年）が、4番・大石尚汰（2年）ら、中軸に左打者が多い近江を抑えられるか。京都国際は決勝こそ不覚をとったが、実力は随一で、左腕の中崎琉生（2年＝主将）は抜群の制球力を誇る。小牧憲継監督（40）は「例年より長打力がないので、つないでいきたい」と、打線の奮起に期待している。田辺は市和歌山、智弁和歌山を連破して勢いに乗る。52年ぶりの近畿大会出場で、29年ぶりの甲子園をめざす。智弁和歌山を満塁弾で沈めた4番・山本陣世（2年）に好機で回したい。

滋賀勢が強豪をどこまで脅かすか

　E、京都外大西（京都1位）－彦根総合（滋賀3位）

　F、滋賀学園（滋賀2位）－履正社（大阪2位）

　京都外大西は好左腕・田中遥音（2年）に注目。チェンジアップとカーブを投げ分ける技巧派で制球力がある。今春センバツで甲子園デビューした彦根総合は、打線に力があり、田中は単調にならないことが肝心だ。彦根総合の課題は投手陣の整備で、左腕・海鉾亨哉と右の吉田康清の1年生がどこまで力を伸ばしているか。履正社は下位校では最強で、大阪桐蔭には内容互角の1点差惜敗だった。エース・高木大希（2年）は威力抜群の速球が武器で、大崩れしない。滋賀学園は好遊撃手の岩井天史（2年）ら中軸打者に力があり、高木に真っ向勝負を挑むだろう。エース・脇本耀士（2年）は、四球から崩れないようにしたい。

智弁を追う公立3校

　G、智弁学園（奈良1位）－須磨翔風（兵庫2位）

　H、耐久（和歌山1位）－社（兵庫3位）

　このゾーンには公立が3校入り、総合力の高い智弁学園を追いかける。智弁は危なげなく奈良を勝ち上がったが、投手陣に軸が欲しい。甲子園でも投げた1年生右腕の田中謙心、楢林勇生がやや伸び悩む中、左腕・田近楓雅（2年）が急成長し、小坂将商監督（46）を喜ばせた。打線は1番・知花琉綺亜（2年＝主将）の出塁で活気づく。須磨翔風は今大会唯一の初出場校。

　エース・槙野遥斗（2年）は、「テクニックがある」と中尾修監督（57）が認めるほどの投球術があり、ピンチで力を発揮する実戦派。耐久は40年ぶりの近畿大会出場で、初の甲子園をめざす。本格派の冷水孝輔（2年）は強敵の和歌山東を完封するなど安定感がある。4大会連続甲子園出場を狙う社は、甲子園でも投げた右腕・福田海晴（2年）がエースに成長。緩急を使った巧みな投球をする。公立同士の締まった投手戦になるだろう。

前半のブロックに強豪が集中

　大阪桐蔭、報徳、近江が入った前半のブロックが激戦で、京都国際も強い。いずれも好投手を擁し、僅差の試合が続くだろう。後半のブロックは履正社と智弁がリード。和歌山の2校は厳しい組み合わせになったが、投手力がいいのでチャンスはある。滋賀と大阪の対戦が2カードあるが、今年の滋賀勢は例年以上に力があり、好試合が期待できる。大阪2強を脅かすのはどのチームか？