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大谷翔平を「申告敬遠」で歩かせるのは、有効な手段なのか。ブルージェイズはそこから2点を取られたが…

宇根夏樹ベースボール・ライター
大谷翔平(左)とブラディミール・ゲレーロJr. Aug 10, 2021(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月10日のダブルヘッダー1試合目に、大谷翔平(ロサンゼルス・エンジェルス)は、申告敬遠で出塁した。場面は6回表の2死三塁。スコアは4対3。エンジェルスが1点リードしていた。トロント・ブルージェイズのチャーリー・モントーヨ監督は、投手をトレント・ソーントンからラファエル・ドリスに代えた直後に、敬遠四球を申告した。

 モントーヨ監督の判断は、裏目に出た。大谷が二盗を成功させた後、フィル・ゴスリンはレフトへヒットを打った。この一打により、三塁走者に続いて大谷も生還した。試合は、6対3でエンジェルスが勝利を収めた。

 今シーズン、大谷が申告敬遠で歩かされたのは、これが8度目だ。4日前に並んだホゼ・ラミレス(クリーブランド・インディアンズ)を追い抜き、ア・リーグ単独最多となった。

 7度目の申告敬遠でも、エンジェルスはそこから得点を挙げている。ただ、この時は、無死二塁だった。直後のブランドン・マーシュは、二塁走者と大谷を進塁させたものの、遊撃ゴロに終わった。続いて打席に入ったジャック・メイフィールドがヒットを打ち、1点を挙げたが、これは飛んだところがよかった。打球は二塁手のマックス・マンシー(ロサンゼルス・ドジャース)とライトのコディ・ベリンジャーの間に上がり、マンシーのグラブに当たって落ちた。マンシーが捕っていても、即座に送球するのは難しく、三塁走者は生還できたかもしれないが、マンシーが追うのをやめ、ベリンジャーが前進して捕球した場合、走者は進むことができず、二、三塁のまま2死になっていた可能性もある。

 その前に大谷が申告敬遠で歩かされた6度の場面は、2死三塁が4度、2死二、三塁と2死二塁が各1度。直後の打者は、アンソニー・レンドーンが4度、テイラー・ウォードジャスティン・アップトンが1度ずつだ。いずれもアウトになり、イニングは終わっている。

 こうした結果に、エンジェルスの状況も重なり、大谷の敬遠四球はさらに増えそうな気配だ。今シーズン、大谷のすぐ後ろの打順が多い3人、マイク・トラウト、レンドーン、ジャレッド・ウォルシュは、揃って故障者リストに入っている。彼らのうち、レンドーンはすでに今シーズンを終え、5月半ばから欠場しているトラウトも、復帰は来シーズンになってもおかしくない。ウォルシュはもうすぐ戻ってくる見込みだが、離脱前は打撃不振に陥っていた。

 なお、大谷を含む日本人メジャーリーガーの敬遠四球については、4日前にこちらで書いた。

「大谷翔平の敬遠四球がア・リーグ最多に並ぶ。シーズン7度目。日本人選手でこれより多く歩かされたのは…」

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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