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0勝2敗からワールドシリーズ進出は「3連敗→4連勝」のレッドソックス以外にもあるのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
デーブ・ロバーツ(左)とデレク・ジーター Oct 17, 2004(写真:ロイター/アフロ)

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは、両リーグとも2試合が終わった。ア・リーグはテキサス・レンジャーズが2勝、ナ・リーグはフィラデルフィア・フィリーズが2勝を挙げている。見方を変えると、ヒューストン・アストロズとアリゾナ・ダイヤモンドバックスは、ここまで0勝2敗だ。

 今から19年前、ボストン・レッドソックスは、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズの第1戦と第2戦だけでなく、第3戦もニューヨーク・ヤンキースに敗れた。さらに、第4戦は、1点ビハインドの3対4で9回裏を迎えた。マウンドには、8回裏に登板したマリアーノ・リベラがいた。

 そこから、先頭打者のケビン・ミラーが四球で出塁し、代走のデーブ・ロバーツ――現ロサンゼルス・ドジャース監督――が二盗を決め(上の写真)、ビル・ミラーのヒットでロバーツが生還した。続いて、このイニングは1死一、三塁や2死満塁などの場面もあったが、同点のまま終わり、12回裏にデビッド・オティーズがサヨナラ本塁打を打った。

 第5戦も、レッドソックスは、シリーズ敗退に近づいた。だが、2点ビハインドの8回裏に、オティーズのホームランとジェイソン・バリテックの犠牲フライで4対4とし、14回裏にオティーズがサヨナラ安打を打った。8回裏の2点は、どちらもトム・ゴードンの失点ながら、同点となる犠牲フライを打たれたのはリベラで、その時にホームを踏んだのは代走のロバーツだった。

 レッドソックスは、第6戦と第7戦も勝利を収め、3連敗からの4連勝でワールドシリーズへ進んだ。ちなみに、ワールドシリーズは、セントルイス・カーディナルスをスウィープした。

 もっとも、0勝2敗からワールドシリーズに進んだチームは、少ない。

 リーグ・チャンピオンシップ・シリーズがベスト・オブ・ファイブからベスト・オブ・セブン――それぞれ、3勝を挙げたチームと4勝を挙げたチームの勝ち上がり――となった1985年以降、第2戦を終えて1勝1敗は39度、0勝2敗/2勝0敗は35度を数える。

 後者の第3戦は、2勝0敗のチームの勝利が16度、0勝2敗のチームの勝利は19度だが、0勝2敗のチームが勝ち上がったシリーズは4度しかない。

 0勝2敗の後、0敗あるいは1敗で4勝を挙げた4チームは、1985年のカンザスシティ・ロイヤルズとカーディナルス、2004年のレッドソックス、2020年のドジャースだ。35チーム中4チームは11.6%だが、最初の2チームを除くと、33チーム中2チーム、6.1%となる。

筆者作成
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 10月18日に行われるア・リーグの第3戦は、マックス・シャーザー(レンジャーズ)とクリスチャン・ハビア(アストロズ)が投げ合う。シャーザーは、9月12日以来の登板だ。ハビアは、10月10日のディビジョン・シリーズ第3戦に投げ、5イニング無失点。与四球は5を数えたものの、被安打は二塁打1本にとどめ、9三振を奪った。

 ナ・リーグの第3戦は、10月19日。こちらは、ブランドン・フォート(ダイヤモンドバックス)とレンジャー・スアレス(フィリーズ)が先発マウンドに上がる。直近の登板は、4.1イニング無失点と5イニング1失点だ。5月にメジャーデビューしたフォートは、レギュラーシーズンの96.0イニングで防御率5.72ながら、フィリーズに対しては一度も投げていない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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