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小栗旬と藤原竜也、それぞれの主演作「最終回」が見逃せない!?

碓井広義メディア文化評論家

小栗旬主演の「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」と藤原竜也主演の「リバース」。どちらも脚本・俳優・演出の総合力で見ごたえのあるドラマです。今週、ついに最終回を迎える2本、見逃す手はありません。

ハードアクションの意欲作「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」

3年前のこの時期、注目の刑事ドラマが2本、放送されていました。しかも同じ曜日の裏表です。1本は小栗旬主演「BORDER」(テレビ朝日系)。もう1本が西島秀俊主演「MOZU Season1~百舌の叫ぶ夜~」(TBS系)でした。

前者は、主人公が死者と対話できる特殊能力を駆使して難事件を解決し、後者では西島演じる公安刑事が妻の命を奪った爆発事件の真相を探っていきます。いずれも小説では成立しても、映像化するのは難しい世界を描いた作品でした。

今回の「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(関西テレビ制作)は、「BORDER」と「MOZU」の”ハイブリッド”ともいうべき、ハードアクションの刑事ドラマです。

特捜班の捜査員・稲見(小栗)は元自衛隊員。特殊任務に就いた際、心に深い傷を負った過去を持っています。普段は何を考えているかわからないのですが、現場では無鉄砲と思えるほど大胆な行動に出ます。小栗旬が「BORDER」と同様、この役にどっぷりとハマっている感じが伝わってきます。

同じ捜査員の田丸(西島)もまた、かつての事件をきっかけに心を閉ざした寡黙な男です。常に冷静で的確な捜査を行うのですが、本心は誰にも明かしません。

そんな2人が、ある距離感を保ちながら補完し合い、これまで暴力団への潜入捜査や若者たちが企てたテロの阻止に挑んできました。テンポのいい脚本は「BORDER」と同様、原作者でもある金城一紀氏によるものです。

いよいよ今週火曜に最終回を迎えますが、稲見とは自衛隊時代に同期だった男(金子ノブアキ)が仕掛けるテロ計画の“奥の奥”に何があるのか、見逃せません。

引き込まれる“湊かなえ”ワールド「リバース」

これまでTBSは、湊かなえさんの小説を何度もドラマ化してきました。鈴木京香と石田ゆり子の「夜行観覧車」(13年)、榮倉奈々の「Nのために」(14年)などです。どちらも女性が主軸でしたが、今回の「リバース」は違います。

主人公は事務用品会社に勤務する深瀬和久(藤原竜也)です。平凡な仕事と平凡な私生活ですが、気に入ったコーヒー店で過ごす時間を大切にしていました。

ある日、深瀬は部屋のドアに、「深瀬和久は人殺し」という張り紙を見つけて衝撃を受けます。誰が何のためにしたのか。

すべては10年前、深瀬の学生時代に起きた出来事から発生していました。ゼミ仲間との旅行中、親友の広沢由樹(小池徹平)が自動車事故で亡くなったのです。

その時、酒を飲んでいた広沢に運転させたことを深瀬たちは警察などに隠していました。加えて、事故を装った殺人を疑う元刑事のフリージャーナリスト、小笠原(武田鉄矢)もずっと深瀬たちをマークしています。

ここまで、藤原をはじめ小池徹平、市原隼人、玉森裕太、三浦貴大、そして戸田恵梨香などのキャストが自分の個性を生かしながら、各キャラクターを好演しています。また、過去と現在を交差させる脚本(奥寺佐渡子、清水友佳子)と演出(塚原あゆ子ほか)にも緊張感があり、見る側をぐいぐいと牽引してきました。

そんな「リバース」も今週の金曜が最終回。よくぞここまで、物語に“謎”を残しながら進んできたものです。藤原竜也渾身の演技と共に、オリジナルである「原作の結末後の結末」を見届けたいと思います。

メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。1981年テレビマンユニオンに参加。以後20年間、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶大助教授などを経て、2020年まで上智大学文学部新聞学科教授(メディア文化論)。著書『脚本力』(幻冬舎)、『少しぐらいの嘘は大目に―向田邦子の言葉』(新潮社)ほか。毎日新聞、日刊ゲンダイ等で放送時評やコラム、週刊新潮で書評の連載中。文化庁「芸術祭賞」審査委員(22年度)、「芸術選奨」選考審査員(18年度~20年度)。

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