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なぜ、沖縄は梅雨入りしないのか

片山由紀子気象予報士/ウェザーマップ所属
あす(20日・月)の天気予報、ウェザーマップ作画

 沖縄の梅雨入りが遅れています。梅雨入りの平年日は5月10日頃ですが、今年はまだ梅雨入りしていません。

 この一か月間、那覇の降水量は平年を上回り、梅雨らしい天気もありました。なぜ、梅雨入り発表がないのでしょう。関東地方(東京)の梅雨入りも遅くなるのでしょうか。

GWに走り梅雨

 あす(20日・月)は二十四節気の小満です。昔から沖縄では小満から芒種(6/5)にかけての頃に大雨が多いといわれ、沖縄の言葉で小満芒種(スーマンボース)といいます。

 最近一か月間の降水量をみると、九州から関東地方にかけての太平洋側や沖縄などで、平年を上回る降水量となっています。

前4週間の降水量の平年比(4/21~5/18)、気象庁ホームページより、筆者加工
前4週間の降水量の平年比(4/21~5/18)、気象庁ホームページより、筆者加工

 那覇ではこの一か月間に平年の1.7倍にあたる314ミリの降水量がありました。その多くがゴールデンウイーク(GW)期間中の雨です。

 その後、天気は回復し、晴れた日もありましたが、今月13日頃には雨が降りました。梅雨入り発表の機会がなかったわけではありません。

【那覇】最近1か月の日別降水量グラフ、筆者作成
【那覇】最近1か月の日別降水量グラフ、筆者作成

梅雨入り発表は5日間の中日

 梅雨は季節現象です。この日から突然、夏が始まるわけではないのと同じで、本来の梅雨は5日間くらいかけて徐々に始まります。

 そのため、梅雨入りの発表はその中日に行うとされていますが、早くても、遅くてもダメで、頃合いが難しい。年によっては後日、一週間程度見直されることがあります。

【気象庁1か月予報(5/18~6/17)】降水量予想図、ウェザーマップ作画
【気象庁1か月予報(5/18~6/17)】降水量予想図、ウェザーマップ作画

 この先一か月の降水量予想によると、降水量が多くなる可能性がより高いのは沖縄・奄美、西日本太平洋側、東海地方です。湿った空気や前線の影響を受けやすく、いつもの年と比べて、くもりや雨の日が多くなる見通しです。

沖縄の梅雨入りが遅いと関東は?

 最新の天気予報によれば、沖縄の梅雨入りは21日(火)にも発表されそうです。平年と比べて10日以上遅く、これまでの記録をみても、かなり遅いことがわかります。

沖縄地方の梅雨入り遅い方順位(1951年~2023年)と関東甲信地方の梅雨入りを比べた表、筆者作成
沖縄地方の梅雨入り遅い方順位(1951年~2023年)と関東甲信地方の梅雨入りを比べた表、筆者作成

 来月は西日本や東日本などで梅雨入りの時期を迎えますが、沖縄の梅雨入りが遅いからといって、関東地方(東京)の梅雨入りが遅くなるわけではありません。

 今月18日までの東京の降水量は平年の1.6倍にあたる114ミリとなっていて、いつもの年よりも雨が多くなっています。

 梅雨入りの発表があってもなくても、雨は次第に強さを増していきます。雨の季節への備えは待ったなしです。

【参考資料】

沖縄の気候解説(琉球列島の気候風土)、沖縄気象台編集、1998

沖縄気象台:沖縄地方の梅雨に関する統計資料

気象庁:全般季節予報支援資料(1か月予報:5/18~6/17)、2024年5月16日

気象庁ホームページ:昭和26年(1951年)以降の梅雨入りと梅雨明け(確定値)

気象予報士/ウェザーマップ所属

民放キー局で、異常気象の解説から天気予報の原稿まで幅広く天気情報を担当する。一日一日、天気の出来事を書き留めた天気ノートは117冊になる。365日の天気の足あとから見えるもの、日常の天気から世界の気象情報まで、天気を知って、活用する楽しみを伝えたい。著作に『わたしたちも受験生だった 気象予報士この仕事で生きていく』(遊タイム出版/共著)など。

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