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まだ外国人観光客は気づいていない!「地味だけど湯の質が高い温泉地」5選(東北編)

高橋一喜温泉ライター/編集者

最近は温泉地にもインバウンドの波が押し寄せている。外国の人に日本の温泉の魅力を知ってもらえるのはうれしいことだ。コロナ禍で苦しんできた温泉地にとっても、外国人観光客はありがたい存在だろう。

だが、外国人観光客が集中する温泉地は一部にかぎられる。3000もの温泉地が存在する日本には、まだまだ知られざる名湯が存在する。人気観光地のような華やかさはないけれど、ひたすら湯につかっていたくなる温泉は、観光客が集中しない「穴場」といえる。

そこで今回は「地味だけれど湯の質が高い温泉地」を東北エリアに絞って5カ所紹介したい。

湯田川温泉(山形県)

山形県は銀山温泉や蔵王温泉などが外国人にも人気だが、まだまだ知られていない名湯は多い。湯田川温泉は、田園地帯に8軒の温泉宿と2つの共同浴場が軒を連ねる小さな温泉地。源泉が豊富なことでも知られ、すべての宿が源泉かけ流し。だが、歓楽街があるわけではないので、ほとんどの観光客は温泉目当てで混雑はしない。小規模な旅館ばかりだが、リーズナブルに泊まれる宿もある。作家・藤沢周平ゆかりの温泉地で、小説を読みながら旅館に缶詰めになってみるのも楽しい。

肘折温泉(山形県)

湯田川と同じく、外国人観光客に気付かれていない温泉。山あいに湧く静かな温泉地だが、伝統的な湯治場の景観が今も残る。車がすれ違うのも困難な狭い通りの両側に旅館や商店がびっしりと連なる。昔からの街並みがそのまま保存されている証拠だ。長期の湯治客が多いのも特徴で、日用品や食料品をそろえた商店もある。早朝、温泉街に朝市が立つのも見どころのひとつ。リーズナブルに宿泊できる宿が多く、プチ湯治体験を楽しめる。共同浴場や宿は源泉かけ流しが基本。

鎌先温泉(宮城県)

白石市にある600年の歴史を誇る温泉地。大正時代に建てられた木造旅館など4軒の宿で構成され、いずれも緑色に濁った源泉をかけ流しで堪能できる。もともと湯治で栄えた温泉地だっただけに、昔ながらの風景が今も残っている。老舗旅館「湯主一條」「最上屋旅館」は歴史の長い宿で、その木造建築に郷愁を誘われる。

小安峡温泉(秋田県)

皆瀬川がつくった深いV字の谷「小安峡」に湯煙を上げる山の温泉地。谷底から源泉や蒸気が激しく噴き出す「大噴湯」は人気の観光スポットでもある。轟音とともに湯煙を上げる光景は迫力満点。遊歩道が整備されているので、これからの時期は紅葉を見ながら散策できる。渓谷沿いに立つ宿や共同浴場には、小安峡から湧出したアツアツの透明湯が基本的にかけ流しにされている。

木賊温泉・湯ノ花温泉(福島県)

ともに奥会津にある鄙びた温泉地。周囲は昔話に出てくるような長閑な景色が続き、日本人でも「懐かしい」という気分にさせられる。2つの温泉ともに、昔ながらの共同浴場が充実しており、とくに木賊温泉の岩風呂は、温泉が湧出する川床を利用した湯船で、足元から湧き出す新鮮な湯を楽しむことができる。新潟との県境も近く、車がないとアクセスしにくいため、観光客で混雑するようなことはほぼない。

温泉ライター/編集者

温泉好きが高じて、会社を辞めて日本一周3016湯をめぐる旅を敢行。これまで入浴した温泉は3900超。ぬる湯とモール泉をこよなく愛する。気軽なひとり温泉旅(ソロ温泉)と温泉地でのワーケーションを好む。著書に『日本一周3016湯』『絶景温泉100』(幻冬舎)、『ソロ温泉』(インプレス)などがある。『マツコの知らない世界』(紅葉温泉の世界)のほか、『有吉ゼミ』『ヒルナンデス!』『マツコ&有吉かりそめ天国』『スーパーJチャンネル』『ミヤネ屋』などメディア出演多数。2021年に東京から札幌に移住。

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