異常熱波のカナダで49.6度、いま北米で起きていること
カナダはロシアと肩を並べる世界一寒い国ですが、今週をもって、世界で指折りの暑い国ともなったようです。
29日(火)、カナダ西部ブリティッシュ・コロンビア州のリットン(Lytton)という小さな田舎町で、気温が49.6度まで上昇しました。ほぼ50度になるなどとは、住民はもちろんのこと、多くの気象関係者も予想していなかったことでしょう。そもそもリットンの6月の平均気温は25度ほどです。日本国内に例えるなら、今はまるで仙台のようなさわやかな陽気が広がっているはずの場所なのです。
カナダの国内記録更新
この49.6度というのは、カナダの観測史上もっとも高い気温です。昨年までの国内記録は1937年にサスカチュアン州で観測された45度でした。国内記録が一気に5度近く上がるというのは、広い世界を見渡しても、そうあることではありません。
問題なのは、暑さの程度にとどまりません。その期間も長いのです。リットンでは週末から4日間連続で40度以上の高温が続いています。26日は43.8度、27日は46.6度、28日には47.9度になって、29日には50度近くと、連日暑さが増しているのです。
リットンのあるブリティッシュ・コロンビア州の家庭のエアコン普及率は4割と低く、住民の苦悩は想像を絶するものがあります。そうした事情もありエアコンの需要が急増、店頭では品切れがおき、オンライン上では破格の値で取引されているようです。
カナダが高温リストにランクイン
49.6度がどれだけすごいか考えてみましょう。
上は世界の国内最高気温のランキングです(全133か国中)。49.6度を記録したカナダは24位に入ることになります。しかしその実態は、数字以上のものがあります。ここにランキングされた気温はほとんどすべてが砂漠地帯で観測された値なのです。そんな中に、木々が茂るリットンがランクインしているというのは、これはとんでもない事態と言えるでしょう。
なお、日本の国内最高気温は41.1度で、133か国中では83位に入ります。
【リットンはどんなところ?】
バンクーバーから東に250キロほどに位置する、人口330人の町。トムソン川とフレイザー川の合流地点に位置する盆地で、小さい町ながら長い歴史を持つ。カナダ随一のラフティングスポットであり、釣りやハイキングやキャンプといったアクティビティも豊富である。観測所は緑に囲まれ、周囲の場所よりも約1度ほど気温が低いよう。
アメリカで起きている異常事態
この熱波が影響したとみられるのですが、カナダでは突然死が増えているようです。25日から28日の4日間で、ブリティッシュ・コロンビア州では233人の死亡が報告されたとCNNは伝えています。
一方で同じく記録的な高温に見舞われているアメリカでは次のような事態が発生しています。今はまだ6月であることを思うと、この先が思いやられるようです。
・ワシントン州では、アスファルトの道路が歪み、送電線が溶けた。
・オレゴン州では、ガソリンスタンドの店員が屋外で働くのが危険なことから、客のセルフ給油が一時的に許可された。同州とニュージャージー州では、セルフ給油が州法で禁止されている。
・川の水が高温となり、サーモンの川の遡上が困難となっている。そこでアイダホ州では上流から冷水を放水し、水温を下げようという試みに出た。