なぜバルセロナは鎌田大地の獲得を検討しているのか?考慮される中盤補強とインサイドハーフのタスク。
冬のマーケットが、開こうとしている。
当然、この時期、移籍の憶測が飛び交う。そして、現在、注目を集めているのがバルセロナの鎌田大地への関心だ。
まずスペイン『スポルト』が「鎌田がドルトムントとバルサの間で揺れる」と報じ、スペイン『アス』が「バルサが蒲田に向かう」と追随した。
バルセロナが鎌田を狙うのには、理由がある。ここでは、その要因を紐解いていきたい。
■フリートランスファーの移籍
鎌田は、2023年夏までフランクフルトと契約を結んでいる。つまり、次の夏にフリーの選手になる。
バルセロナはこの夏、大型補強を敢行した。ロベルト・レヴァンドフスキ、ラフィーニャ、フランク・ケシエ、アンドレアス・クリステンセン、ジュール・クンデ、マルコス・アロンソ、エクトル・ベジェリンを獲得。一挙、7選手を確保して、シャビ・エルナンデス監督に「プレゼント」を贈った。
しかし、それは諸刃の剣だった。「四つのレバー」を動かして、資産を切り売りする格好で資金を捻出。かくして移籍金をはたき、戦力を整えた。
無論、その手は幾度となく使えるものではない。売却した資産は戻ってこない。換えられたお金は、すでに費やされてしまっている。そういう意味で、バルセロナとしては、フリートランスファーで獲得できる選手というのは魅力的なのである。
■中盤の補強
バルセロナが中盤の補強を必要としているのは確かだろう。
バルセロナはセルヒオ・ブスケッツが今季終了時に契約満了を迎える。先日、スペイン代表からの引退を表明したブスケッツだが、彼が自身のキャリアプランを着実に組み立てているのは間違いない。
ブスケッツの後釜には、エンゴロ・カンテ(チェルシー)、ルベン・ネべス(ウルヴァーハンプトン)、マルティン・スビメンディ(レアル・ソシエダ)らの名前が候補として挙げられている。カンテに関しては、鎌田と同様、契約期間が2023年夏までだ。次の夏にフリーで獲得できる、という状況である。
また、これまでのシャビ監督の起用法を見ていると、フレンキー・デ・ヨングをアンカーで使う可能性がある。
デ・ヨングは、オランダ代表で、アンカーでプレーしている。【5−1−2−1】で中盤の底を務め、攻守の繋ぎ役を演じた。バルセロナでも、ブスケッツに休養を与える試合や彼が出場停止あるいは負傷で不在の際、デ・ヨングがアンカーで起用されてきた。
デ・ヨングをアンカーに落とせば、インサイドハーフが空く。ガビとペドリ・ゴンサレスがいるが、一方でケシエがうまく嵌まっていない。そのポジションを補強しようと動くのは、道理ではある。
そこに、鎌田を当て嵌める、という算段だ。
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■鎌田のポジション
鎌田がバルセロナに移籍した場合、インサイドハーフでプレーするだろう。そこでは、ガビやペドリとは異なる役割が求められる。
鎌田はフランクフルトで、シャドー、ボランチでプレーしてきた。日本代表では、トップ下を務めている。
インサイドハーフは、シャドー、ボランチ、トップ下とは違う。分かり易く言えば、その中間のポジションだ。一時期、代表でインサイドハーフ起用されていた鎌田だが、あまりインパクトを残せなかった。その時、代表では遠藤航(アンカー)、守田英正(左IH)、田中碧(右IH)が盤石の中盤を築いていたのだ。
鎌田がバルセロナで、インサイドハーフでプレーするのなら、必要になるのは2列目からの飛び出しである。
シャビ・バルサは、「ポケット」の取り方が上手くない。そのスペースに、意図的にIHやSBの選手を走り込ませることができない。時々、ガビがニアゾーンランを行うが、大抵単発で終わってしまう。
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