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【インタビュー全貌紹介】メーガン&ハリーが語る6:王子の赤裸々な告白「父と兄をかわいそうだと思う」編

今井佐緒里欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者
1997年9月6日ダイアナ元妃の葬儀。「父も兄もシステムに囚われている」。(写真:ロイター/アフロ)

インタビューの最初から読みたい方は、こちらをクリック「1、キャサリン妃とエリザベス女王編」。

6:王子の赤裸々な告白「父チャールズ皇太子と兄ウイリアム王子をかわいそうだと思う」編

ここでオプラさんは、英国王室のドラマ「The Crown」を見ているかと聞く。

ハリー王子はいくつか見ていると答え、メーガンさんも同じだという。

オプラさんは、「確か第4シーズンに、チャールズ皇太子とダイアナ妃が行ったオーストラリア・ツアーがありました。そこでダイアナ妃がベッドメーキングをしているシーンがあります。そこで嫉妬の気配があったと言いたいのですか」とヘンリー王子に尋ねる。

これは、大変遠回しに、王族一家が、メーガンさんに嫉妬があったのかと聞き出そうとしているのだろう(筆者はこのドラマのシーンを見たことがないが、おそらくチャールズ皇太子がダイアナの人気に嫉妬しているというシーンなのかと思う)。

でも、ハリー王子は、メーガンさんの功績と意義は話すが、家族のことは話さず、話題は他へ移ってしまう。

オプラ:(テレビドラマの中で)あなたのご両親がオーストラリアに行って、お母様がベッドメーキングをしています。それで嫉妬の気配があったと言いたいのですか。

ハリー:私はみんなが過去から学ぶことを願っています。でも・・・メーガンがオーストラリアやニュージーランド、フィジー、トンガなどで、大きな努力もなしに、あっという間に家族の一員になって、人々と簡単につながっているのを見て・・・

オプラ:でも・・・。

ハリー:わかっている、わかっている、わかっているよ。でも、それは・・・。

オプラ:なぜって、つまり、みんなが好きにならないわけがないでしょう? それはあなたが望んでいることではありませんか? 女王がある時言ったように、メーガンに、基本的に同化してるように家族に溶け込んで欲しいと望んでいた。

ハリー:そうですね、私たちが話したように、彼女は家族の中だけでなく、世界からもとても歓迎されていました。

オプラ:そうです。

ハリー:確かに、英連邦(コモンウェルス)からもです。つまりここには、王族が望んだであろう、英連邦にとって最大の資産(貴重なもの)をもっているのです。

ハリー王子は、ここでメーガンさんが述べていたのと同じことを言っている。つまり、意訳するなら、ほとんどが旧植民地で、ほとんどが非白人国家で構成されている英連邦にとって、「黒人」であるメーガンさんは、英王室にとってプラスになる存在であると。

だからこそ、オーストラリアと太平洋ツアーで、メーガンさんが絶大な人気を誇ったことで「変わった」というのなら、何が家族内で変わったのか、知りたかったところだ。でも、あまりにも微妙な問題で、語れなかったか、放送できなかったのだろう。

オプラ:ちょっと話が戻るようですが、それで、あなたは退いて、カナダにいるわけです。ファームは、あなたがもう保護を受けることはないと言っています。それで、あなたは保護を求めましたか。というのも・・・あなた方は、どちらも手に入れようとしていたのではありませんか。あなたは退きたかった、でも同時にロイヤルビジネスに足を踏み入れ続けていたかったように見えます。

ハリー:あなたが、セキュリティの面で、「どちらも手に入れる」という話をしているのは興味深いですね。私は、自分のセキュリティが外されるとは思ったことがありませんでした。私はこの地位に生まれ、リスクを受け継いだのですから。それが私にはショックだったんです。それがすべての計画を完全に変えてしまったのです。

オプラ:ハリー王子としてのあなたが、セキュリティを取り除かれるということですね。

メーガン:ええ。そして、私は彼の家族に手紙を書くことさえしました。「どうか、私やアーチーの保護が優先事項ではないことは明らかです。私はそれを受け入れます。それは構いません。私の夫を守ってください。殺害の脅迫を目にしています。人種差別のプロパガンダを目にしています。どうか彼を守ってください。どうか彼と私たちが最も弱い立場にあるときに、彼のセキュリティを解除して、そのことを世界に発表しないでください」と。彼らは、それは不可能だと言いました。

このテーマは前にも出てきたが、今回はより鮮明に、ハリー王子の気持ちが語られている。前のと合わせるとこういうことになるだろう。

二人は、上級メンバーを退きたかっただけだ。他にもそういう王族はいる。そういう人たちと同じになるだけのつもりだった。

そして、王族としての仕事を続け、女王を助け続けるために、英連邦の国であるカナダを選んだ。

ところが、肩書きと仕事をほぼ全部外されてしまい、セキュリティも外されたのは、予想外の大ショックだった。こうなるとは思ってもみなかったーーと。

別の原稿で書いたことがあるが、国民は外国に行ってしまった王族などいらないのだ。病気など理由があって、一時的に滞在するだけならいいかもしれないが。でも、このことをハリー王子はわかっていない。王族は、国民と苦楽を共にしなければならない、「健やかなるときも病めるときも」と誓った夫婦のように。それが最も重要であることを、やはり彼はわかっていなかったのだ。

しかし、筆者の感想になるが、このインタビューで、それは「国民の視線」であり、生まれながらの王子で、常に王子だったハリーには、わからなくても仕方ないのかもしれない、と思えた。あちら側とこちら側で、世界が違うのだ。

そしてアメリカ人のメーガンさんには「王室(皇室)をもった国民」の気持ちはわからないのだろう。ある意味、国民の気持ちがわからないもの同士がくっついたカップルと言えそうだ。だから良かったのかもしれない。王子と国民では、結局「上下関係」「主従関係」になってしまうので。

誰も「王族は国にいなければダメだ」と忠告する人はいなかったのだろうか。いても、彼らの心には届かなかったのだろうか。ハリー王子は「誰も助けてくれなかった」「どうしていいのか、わからなかった」と何度も言っている。その訴えが心に響く。

オプラ:ここではっきりさせておかなければならないのは、噂やソーシャルメディアを通じて、世界中で生き続けている話の一つが、メーガン、あなたがこのメグジットを操作し、計算し、責任を負っているということです。

メーガン:ああ、何にでもメグを使うなんて、驚きですね。

オプラ:そう。こうなることはすべて、最初からわかっていた、という話さえあります。すべてのプロセスを経て、すべてはあなたのブランドを構築するために意図的に行われたことなのだと。

メーガン:それがどれほど意味のないことか、想像できるでしょうか。私は自分のキャリアや生活(人生 / life)を捨てました。私がすべてを捨てたのは、彼を愛しているからですよね? そして私たちの計画は、これを永遠に続けていくことでした。

ハリー:そうです。

メーガン:私たちの計画は・・・私にとっては・・・現地に着いてから、彼の家族に手紙を書きました。「私はこれに専念します。あなたのためにここにいます。私を好きなように使ってください」という内容です。何の指導もありませんでしたよ? 一定のやってはいけないことがありました。でも、映画で見るのとは違って、どうやって話すとか、どうやって足を組むとか、どうやって王族であるとか、そのための授業はないんです。そういったトレーニングは一切ありません。他の家族にはあるのかもしれませんが、私にはそういうものはありませんでした。

オプラ:誰もあなたに何も教えてくれないのですか。

メーガン:教えてくれません。

オプラ:誰もあなたに準備してくれないのですか。

メーガン:誰もです。申し訳ないけど、国歌に至るまでです。誰も「ああ、あなたはアメリカ人ですね」と言ってくれることを考えませんでした。深夜にググって、「国歌」が何か・・・これを覚えなければなりませんでした。彼らを困惑させたくなかったので。教会のために、30曲の賛美歌を覚えなければなりません。これらはすべてテレビで放映されます。私たちは背後でトレーニングをしていたのですが、私はただ、彼らが誇らしく思ってほしかったんです。

オプラ:OK、でもここで質問です。メーガンがいなくても、あなたは去っていたか、それとも退いていたと思いますか。

メーガン:うーん。

ハリー:いいえ。あなたの質問の答えは「いいえ / no」です。

オプラ:去ったり退いたりしていなかったと?

ハリー:私はそうしなかった・・・そうできなかったでしょう。なぜなら、私自身も追い詰められていたからです(囚われていた、罠にかかっていた / trapped)。出口が見えなかったんです。

オプラ:彼女は追い詰められている(囚われている)と感じていた。あなたもですか。

ハリー:そう、出口が見えなかったんです。

オプラ:でも、あなたはこういう人生を過ごしてきました。人生のすべてです。これがあなたの人生、あなたの人生のすべてでした。

ハリー:ええ。でも、僕は囚われていた(追い詰められていた)けど、自分が囚われていることを知らなかったんです。

オプラ:ええ。

ハリー:でも、メグに会った瞬間に、私たちの世界は最も驚くべき方法で衝突して、そして、わかったのは・・・。

オプラ:説明してください。あなたが、宮殿で育ち、特権の生活を送ってきたハリー王子が、どのようにして囚われて(追い詰められて)いったのか説明してください。

ハリー:システムの中に囚われていました。私の家族の他の人がそうであるように。父も兄も、囚われているんです。彼らは去ることもできません。そのことをとてもかわいそうだと思っています(huge compassion、つまり思いやりをもった、とても大きな同情、哀れみの気持ちを表す)。

オプラ:さて、世界の印象はというと・・・もしかしたら間違った印象かもしれませんが、メーガンと出会う前の数年間、あなたは王族としての生活を送っていましたよね、ハリー王子、愛されるハリー王子としての。あなたはその人生を楽しんでいた。あなたは、その生活に囚われていると感じているという印象は受けませんでした。

ハリー:人生を楽しんでいる、それは私が笑って写っている写真があるからですよね? 人々と握手をしていたり、会ったりしているときの。あなた方も扱ったことがあると思いますけど。それは・・・それは仕事の一部です。それは役割の一部です。それは期待されていることです。

家族の誰であろうと、私生活で何が起こっていようと、何が起こったばかりであろうと、バイクがやってきて、車がやってきたら、服を着て、そこに行かなければならないんだ。涙を拭い去って、考えていることを何でも振り払って、自分のベストを尽くさなければならないんです。

オプラ:うーーん。王室から退いた、退くという決断について、あなたのお母様は何とおっしゃると思いますか。彼女はこの瞬間をどう感じるでしょうか。

ハリー:結局このようになった経緯に腹を立てていると思いますし、とても悲しむと思います。でも最終的には、母が・・・母が望んでいるのは、僕たちが幸せになることだけだと思います。

1987年6月。あと数ヶ月で3歳になるハリー王子と、翌月26歳になるダイアナ妃。「母が望んでいるのは僕たちの幸せだけ」と言えるハリーは、母に愛された記憶があるのだろう。心から良かったなあと思う。
1987年6月。あと数ヶ月で3歳になるハリー王子と、翌月26歳になるダイアナ妃。「母が望んでいるのは僕たちの幸せだけ」と言えるハリーは、母に愛された記憶があるのだろう。心から良かったなあと思う。写真:ロイター/アフロ

◎続き 7(最終回):赤裸々な告白「父から受けた傷と、救われた今」編

欧州/EU・国際関係の研究者、ジャーナリスト、編集者

フランス・パリ在住。追求するテーマは異文明の出会い、平等と自由。EU、国際社会や地政学、文化、各国社会等をテーマに執筆。ソルボンヌ(Paris 3)大学院国際関係・欧州研究学院修士号取得。駐日EU代表部公式ウェブマガジン「EU MAG」執筆。元大使のインタビュー記事も担当(〜18年)。編著「ニッポンの評判 世界17カ国レポート」新潮社、欧州の章編著「世界で広がる脱原発」宝島社、他。Association de Presse France-Japon会員。仏の某省機関の仕事を行う(2015年〜)。出版社の編集者出身。 早稲田大学卒。ご連絡 saorit2010あっとhotmail.fr

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