中国ロケットが宇宙で空中分解 700個以上の宇宙ゴミと化した見込み
2024年8月6日、中国は人工衛星を長征6号Aロケットで打ち上げましたが、宇宙に到達後にロケットが空中分解し、宇宙ゴミとなったことを発表しました。本記事では、事故の詳細をはじめ、過去の宇宙で起きたデブリ発生事故もご紹介します。
■中国のロケットが700個以上の宇宙ゴミに?
中国では現在、1300個の衛星群による通信ネットワーク網を宇宙に構築する計画が進められています。最終的には、1万5000個の衛星コンステレーションが構想されています。そして、8月6日に中国はその最初となる通信衛星を18基打ち上げました。打ち上げに使用されたのは長征6号Aロケットで、衛星は問題なく軌道に投入することに成功しました。
しかし、その後ロケットが不具合を起こし、機体の一部が高度810kmの宇宙で分解してしまう事故が発生します。その結果、最低でも700個以上のスペースデブリ群になったと推定されています。今のところ、ロケットがバラバラになった理由は公表されていません。今後、このデブリは長期の間宇宙空間にとどまり続けると推定されており、運用中の人工衛星に悪影響を及ぼさないかが懸念されています。
■地球を取り巻く宇宙ゴミ「スペースデブリ」
宇宙ゴミである「スペースデブリ」とは一体どんなものなのでしょうか。1900年代後半より激化してきた宇宙開発において、打ち上げて使用済みとなったロケットや、故障してしまった人工衛星などが大量に発生しています。これらが互いに宇宙でぶつかることによって大量の破片を発生させており、これをスペースデブリと呼んでいます。
地球を回る物体は、地球による引力と回転による遠心力がつりあっています。地球を回っているスピードは、なんと秒速8km。ライフルの弾丸の速度が秒速1kmですので、いかに高速かがわかるかと思います。アメリカの宇宙戦略軍によると、宇宙には約2万個の物体が浮遊している考えられています。そして、1mmサイズのデブリも含めると、1億個を超えると推定されています。
■中国による衛星破壊実験
そんな危険なスペースデブリですが、なんと過去には意図的にデブリを発生させる実験も行われています。例えば、中国が2007年に行ったミサイルによる人工衛星破壊実験です。この目的は、アメリカのGPS衛星破壊を想定した実験と考えられています。専門家によれば、同実験によるデブリの発生は史上最大規模で、直径10cm以上のスぺースデブリが3000個も発生したと考えられています。国際宇宙ステーションをはじめ低軌道を周回する数多くの人工衛星が危険にさらされました。
地球上ですらゴミ問題が環境問題に発展している昨今で、あえて宇宙でもゴミを拡散してしまうとは、目を覆いたくなるような事件ですね。
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