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4月からの値上げに打ち勝つ食費管理術

坂本綾子ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士
(写真:アフロ)

暖かくなり、光熱費がやっと少し減ってきたと思ったら、4月からまたもや値上げのニュースが相次いでいます。値上げされるのは、光熱費にトイレットペーパーなどの紙製品、さらに家電製品などまで多岐に渡ります。

中でも食料品は、パンなどの小麦製品、食用油、カップ麺、缶詰、乳製品、調味料などが値上がりして家計を直撃します。このような状況の中でも支出を抑えて貯蓄を確保するにはどうすればいいのでしょうか。今回は食料品の買い物と在庫管理について紹介します。

無駄な食料品を買っていませんか?

買った食料品をちゃんと使い切っていますか?食べきれなかった、賞味期限が切れてしまったなどで、捨てている食品はどれくらいありますか?

食べられるのに捨てられてしまう食品を「食品ロス」というのはご存じですよね。日本では1年間でなんと570万トンもの食品ロスがある(農林水産省)そうです。

このうち食品製造業や外食産業、食品小売業など事業系の食品ロスが309万トン。一方、家庭から出る食品ロスは261万トン。事業系よりは少ないものの相当な量です。家庭においても、無駄な食料品を買わない、買った食料品はちゃんと使い切るなどを心掛ければ、環境への配慮になると同時にお金も節約できるのです。

食料品の在庫リストを作る

確実に食べるものを、適切な価格で、必要な分量だけ買うのがポイントですが、実際には言葉でいうほど簡単ではありません。そこでお勧めしたいのが、冷蔵庫の扉に在庫のリストを貼っておくことです。自分でメモするのが面倒なら、買い物したときのレシート、配達品なら注文明細などをマグネットで貼っておきます。使いきった食品はその都度ペンで線を引いて消していきます。消えていないのは、冷蔵庫や冷凍庫、棚などに残っている在庫です。

在庫リストがあれば、献立を考えるときに役立ちますし、いちいち冷蔵庫を開けて確認する必要がないので、冷蔵庫の電気代の節約にもなります。賞味期限については、レシートなどには購入日が記載されていますから、そこから類推してそろそろ使わないと期限切れになるなど予想がつきます。

食品ロスを減らして値上がり分を吸収しよう

在庫の食品でパパッと料理ができるお料理上手な人は、食品の管理もきっと上手にできるでしょう。でも、そうではない人もスマートフォンの普及で、料理のレシピが簡単に手に入るようになったので、やりくりできるはずです。早く使ってしまいたい食品で作れる料理のレシピを検索して、消費期限内に使いきってしまいましょう。在庫だけでは作れない場合も、必要なものだけを買い足すようにします。それほど大変な思いをしなくても、買い物をする、在庫リストでメニューを考える、必要なものだけ買い足す、買ったものは使い切る…この仕組みを作ってローテーションを回していけば食品ロスを減らすことができるはずです。

レシートを見れば1か月の食費もわかる

ついでに、冷蔵庫に貼り付けたレシートや注文明細を1か月分足せば、その月の食費も概算できます。月末に残っている食料品だけを、別にポストイットなどに書き出して、早急に使うべきリストとして管理してもいいでしょう。また、調味料など月をまたいで保存できる食料品についても別管理にして、残り少なくなった時点で、次の買い物の際に買い足すもののマークを付けておけば、うっかり調味料を切らすことを防げます。

少しでも安いものを買うという方法もありますが、それよりもロスを減らす方が効果が大きくなる可能性は高く、精神的な満足度も高まるはずです。

食品ロスを減らすことで、値上げ分を吸収してしまいましょう。これまで食品ロスが多かった人ほど、効果は大きく、値上げ分以上に食費を減らせるかもしれません。

自分が手に入れたもの、持っているものをしっかり管理してトコトン活用することは、食料品に限らず、貯蓄を増やすために必要な能力です。

ファイナンシャルプランナー(CFP®)、1級FP技能士

雑誌記者として22年間、金融機関等を取材して消費者向けの記事を執筆。その経験を活かしてファイナンシャルプランナー資格を取得。2010年より、金融機関に所属しない独立した立場で、執筆に加えて家計相談やセミナー講師も行う。情報の取捨選択が重要な時代に、それぞれの人が納得して適切な判断ができるよう、要点や背景を押さえた実用的な解説とアドバイスを目指している。

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