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“スイーツ親方”元横綱・大乃国の芝田山親方が語る、照ノ富士とほかの3大関の違い

飯塚さきスポーツライター/相撲ライター
元横綱・大乃国の芝田山親方(写真:日本相撲協会提供)

5日間の序盤戦を終えた大相撲夏場所。初日から3日目までは無観客開催だったが、4日目からは上限5000人の観客が戻ってきた。今回は、日本相撲協会の広報部長を務める、元横綱・大乃国の芝田山親方に、今場所の土俵と4日目から始まった「スイーツ親方の店」について話を伺った。

芝田山親方が見る夏場所 注目力士は?

――4日目からお客さんが戻ってきましたが、親方の目から見ていかがですか。

「協会員一同、感染症対策を丁寧に行っているのと、広報部からも各部屋に通達を出しているので、開催自体に対する不安はありませんでしたが、やっぱり無観客とお客さんがいるのとでは全然違います。土俵上の力士も、本場所は稽古じゃないわけだから、お客さんが入っていることによって励みになりますよ」

――またも横綱不在となった今場所。親方が注目するのはどのあたりですか。

「照ノ富士が大関に戻ってきたので、この4大関が今場所を引っ張っていってくれると期待していましたが、すでに4日目を終えて全勝は照ノ富士ただ一人。それは非常に残念です」

――照ノ富士関とほかの3大関には、どんな違いが見られますか。

「照ノ富士は、大関からさらに次の席に飛躍しようという心境であり、自分の言葉でもそう宣言しています。でも、ほかの3人の大関は、いまの自分の席をいかに守るかという感覚しかない。その違いが出ています。相撲内容は、照ノ富士だって、すべての取組で得意の右四つになれているわけではないけれど、相撲に力強さがあります。それと、相手が誰であっても、腰が引けるような取り口ではありません。まだまだ優勝戦線はこれからなので、ほかの3人はここからどう巻き返していくかが重要です」

力強い相撲でただ一人5連勝の大関・照ノ富士(写真:日刊スポーツ/アフロ)
力強い相撲でただ一人5連勝の大関・照ノ富士(写真:日刊スポーツ/アフロ)

――ほかに、注目している力士はいますか。

「大関陣に対して、大栄翔、若隆景、高安は期待の力士ですね。特に若隆景は、その粘り強さが上位陣の精神を揺さぶり、一番の勝因になっています。休まず攻めているところもいい。上位陣は、攻め切ってしまわなきゃということばかりが先行し、形がバラバラになって食われてしまっています。大栄翔は、星は上がっていませんが、自分の相撲を取れています。優勝経験もあるし、内容も悪くない。今場所の優勝は難しいかもしれないけれど、巻き返しを図ってくる可能性はあります。高安は4日目に敗れてしまいましたが、いい内容で3連勝したので期待しています」

「スイーツ親方」の売店が登場!

――今場所から「スイーツ親方の店」が誕生し、食パンとクッキーを販売しています。どういった経緯で生まれたのでしょうか。

「通信販売も含めてサービスを広げるなかで、皆さんにおいしいものを楽しんでもらおうというのがきっかけです。最近は食パンブームだと、高崎親方(元幕内・金開山)が提案してくれました。ふわふわ、もちもち、しっとりしたおいしいパンです。加えて、私が選んだのはメープル味と小豆味。メープルは香り高くて人気ですし、小豆は主張しすぎずパンとうまく融合しています。私はどちらかというと小豆がおすすめ。小豆は五穀豊穣の縁起物で、相撲とも密接です。北サブレというクッキーは、口の中でサクッと、ほんのり塩が効いています。これは、私の肝いりです」

芝田山親方の新しい売店で食パンを売る高崎親方(写真:筆者撮影)
芝田山親方の新しい売店で食パンを売る高崎親方(写真:筆者撮影)

――売れ行きも好調とお聞きしましたよ。

「ありがたいですね。今日(5日目)もあっという間に完売してしまったので、明日から仕入れを増やすそうです。これから場所がにぎやかになる日に向けて、ラインナップを充実させていきたいと思っています。国技館土産の定番にしていきたいですね」

スポーツライター/相撲ライター

1989(平成元)年生まれ、さいたま市出身。早稲田大学国際教養学部卒業。ベースボール・マガジン社に勤務後、2018年に独立。フリーのスポーツライター・相撲ライターとして『相撲』(同社)、『Number Web』(文藝春秋)などで執筆中。2019年ラグビーワールドカップでは、アメリカ代表チーム通訳として1カ月間帯同した。著書に『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』、構成・インタビューを担当した横綱・照ノ富士の著書『奈落の底から見上げた明日』。

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