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全国ごみ少ないランキング、3位滋賀県、2位京都府、1位は?6年連続最少、伝え方もダントツ1位

井出留美食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)
(写真:アフロ)

環境省は、毎年3月末に、ごみ(一般廃棄物)の量や、その処理にかかったコストを発表している。2021年3月30日、最新のデータである2019年度のごみ(一般廃棄物)の量が発表された。全国の自治体のリデュースの取り組み上位、つまり、一人一日あたりが出すごみ少ないランキングも公開された。

一人一日あたりが出すごみ量は全国平均で1kg近い

われわれは、一人一日、どれくらいのごみを出しているのだろうか。全国平均で、918g/人日。1kg近い。

都道府県別で調べた結果の一部を、4月21日付の信濃毎日新聞が報じている。

47都道府県中、少ないランキングの3位は滋賀県で、一人一日あたり出しているごみ量は、837g/人日。

2番目は、京都府で、839g/人日。

そして、最も少ないのが長野県で、816g/人日。全国平均より100g以上少ない。信濃毎日新聞(2021.4.21付)によれば、2019年10月の台風19号による被害や、新型コロナウイルス感染症の影響で、2018年度に比べると5グラム増え、8年ぶりの増加ではあったが、全国最少を保った。

一般廃棄物の排出量、一人一日あたり少ない方からベスト3の都道府県(信州ごみげんネットより)
一般廃棄物の排出量、一人一日あたり少ない方からベスト3の都道府県(信州ごみげんネットより)

わかりやすい情報発信とタイムリーさも長野県がダントツ1位

全国47都道府県の中でも、長野県は、毎年、ごみ量のランキングを出すのが最も早い。

2021年も、信州ごみげんネットの公式サイトで、6年連続でごみの排出量が最少になったことを公開している。

6年連続でごみ量が全国最少になったことを伝える、信州ごみげんネット(筆者がスクリーンショット)
6年連続でごみ量が全国最少になったことを伝える、信州ごみげんネット(筆者がスクリーンショット)

全国でじわじわと上位になってきたことも示している。

過去10年間のごみ排出量の少ない都道府県トップ5(信州ごみげんネット公式サイトより)
過去10年間のごみ排出量の少ない都道府県トップ5(信州ごみげんネット公式サイトより)

ちなみに2位の京都府は、2019年度(令和元年度)の数値は「まだ計算中」で、2ヶ月後の6月ごろに発表とされている。

京都府の一般廃棄物のデータ(京都府公式サイトより)
京都府の一般廃棄物のデータ(京都府公式サイトより)

3位の滋賀県の場合は、データをpdfで載せている。産業廃棄物の方は令和元年度のデータが載っていたが、一般廃棄物に関しては平成28年度で更新が止まっていた(2021年4月22日現在)。ここのページのほかに、「ごみゼロしが」という一般向けのわかりやすいページはあるが、最新情報は2021年3月31日までで、今回の結果は掲載されていない。

滋賀県の一般廃棄物処理の概況(滋賀県公式サイトより)
滋賀県の一般廃棄物処理の概況(滋賀県公式サイトより)

4位の神奈川県の場合、令和元年度(2019年度)はまだ載っておらず、2020年6月23日に掲載した平成30年度(2018年度)のデータが「一般廃棄物の処理事業の概要」として載っていた。

神奈川県一般廃棄物処理事業の概要(神奈川県公式サイトより)
神奈川県一般廃棄物処理事業の概要(神奈川県公式サイトより)

5位の埼玉県も、平成30年度(2018年度)が最新となっており、令和元年度(2019年度)のデータがいつ集計・発表されるのかまでは載っていない。

埼玉県、一般廃棄物処理事業の概況(埼玉県公式サイト)
埼玉県、一般廃棄物処理事業の概況(埼玉県公式サイト)

地元紙も応援する姿勢

長野県は、都道府県のデータとして出すタイミングが早いので、地元新聞の信濃毎日新聞も2021年4月21日付で報じている。他の都道府県の地元紙で出しているところは見当たらない。

これが、市区町村レベルになると、複数の新聞が報じている。人口50万人以上の市町村で最も少ない八王子市に関しては、毎日新聞の東京版(2021.4.21)が、人口10万人未満の自治体のリサイクル率で1位だった鹿児島県大崎町に関しては南日本新聞(2021.4.9)や毎日新聞の熊本版・鹿児島版(2021.4.20)が、人口10万人から50万人未満の自治体でリサイクル率5位になった埼玉県加須(かぞ)市に関しては埼玉新聞(2021.4.13)が報じている。

市区町村としては、京都市の伝え方も優れている。「こごみネット」や「京都市食品ロスゼロプロジェクト」などの公式サイトは、全国どの自治体が見ても参考になる。

長野県「家庭で食品ロスを出さないように呼びかける」

長野県資源循環推進課は、信濃毎日新聞の取材に対し、「2020年度は新型コロナウイルス感染症の影響で、ごみ量はさらに増える。外食を控える人が増える中、家庭でも食品ロスを出さないよう呼びかけていきたい」と答えている。

生ごみの重量のうち、80%以上は水分なので、食品ロスはごみ量の増加につながってしまう。また、8割近くのごみを焼却処分している日本にとって、生ごみは、燃えにくく、エネルギーやコストを大量に費やしてしまう。

世界のごみ 国別焼却割合(OECD、2013年もしくは最新のデータを基に、Yahoo!News制作)
世界のごみ 国別焼却割合(OECD、2013年もしくは最新のデータを基に、Yahoo!News制作)

食品ロスを減らし、生ごみを資源として活用し、捨てないことが、ごみを減らすことに貢献する。

長野県は、データを早く公開し、かつ、一般の人にもわかりやすく伝えている。これまでも、長野県のごみ排出量が少ない理由について伝えてきた。県が一丸となってデータを見える化し、わかりやすく伝える姿勢も、県民がよりいっそうごみを減らそうとする気運につながっているのではないだろうか。

参考情報

1日816グラム=長野県民1人が出すごみ 6年連続全国最少(2021.4.21、信濃毎日新聞)

信州ごみげんネット

全国一!なぜ長野県は全国で最もごみが少ないのか(井出留美、2018.9.20)

京都市ごみ減量・分別リサイクル総合情報サイト 京都こごみネット

京都市食品ロスゼロプロジェクト

京都府 一般廃棄物の処理状況 令和元年度(京都府公式サイト)

滋賀県 廃棄物に関するデータ

神奈川県 一般廃棄物処理事業の概要(2020.6.23)

埼玉県 一般廃棄物処理事業の概況

Municipal Waste (OECD)

なぜ燃やす?2兆円超、8割が水の生ごみも 焼却ごみ量・焼却炉数ともに世界一の日本(井出留美、2021.4.6)

世界のごみ焼却ランキング 3位はデンマーク、2位はノルウェー、日本は?(井出留美、2021.4.20)

一般廃棄物の排出及び処理状況等(令和元年度)について(環境省、2021.3.30)

焼却大国ニッポン ~ 日本のリサイクル率はなぜこんなに低いのか?(服部雄一郎、2020.1.23、サステイナブルに暮らしたい)

生ごみ処理機を800回使って得られたこととは?200kgのごみが減るだけじゃない(井出留美、2020.11.25)

食品ロス問題ジャーナリスト・博士(栄養学)

奈良女子大学食物学科卒、博士(栄養学/女子栄養大学大学院)、修士(農学/東京大学大学院農学生命科学研究科)。ライオン、青年海外協力隊を経て日本ケロッグ広報室長等歴任。3.11食料支援で廃棄に衝撃を受け、誕生日を冠した(株)office3.11設立。食品ロス削減推進法成立に協力した。著書に『食料危機』『あるものでまかなう生活』『賞味期限のウソ』『捨てないパン屋の挑戦』他。食品ロスを全国的に注目させたとして食生活ジャーナリスト大賞食文化部門/Yahoo!ニュース個人オーサーアワード2018/食品ロス削減推進大賞消費者庁長官賞受賞。https://iderumi.theletter.jp/about

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