ノート(139) 弁護人による被告人質問の内容とその狙い(上)
~裁判編(12)
勾留177日目
裁判も山場へ
この日は丸1日かけて第2回公判が行われることとなっていたため、朝食後、初公判のときと同じく出廷準備室での徹底した身体検査を経て、拘置所を出発し、個別便で裁判所に向かった。
地下の仮監で少し待ったあと、開廷時間の午前10時に大阪地裁で一番大きい法廷に入ったが、初公判同様、傍聴席はほぼ一杯だった。証言台の前で刑務官に手錠を外されると、中川博之裁判長の開廷宣言により裁判が始まった。
「では、目の前の椅子に座ってください」
裁判長に促され、証言台の椅子に腰掛けた。証言台では、椅子を証言台の内側に深く入れ、証言台上のマイクが口の前にくるようにした。法廷での供述をきちんとした音量で正確にマイクに拾わせることができるし、返答のたびに前傾姿勢をとらずに済むからだった。
正面には、僕から見て書記官の右横に女性の速記官が座っていた。目が合うと、準備万端とばかりに速記タイプライターの上に両手を乗せ、僕の口もとに目線を下げた。
「弁護人、どうぞ」
裁判長がそう言うと、弁護人席で法廷の一番奥側に座っていた主任弁護人が立ち上がり、「では、私からお尋ねします」と切り出した。
反省の情は冒頭に
実際の被告人質問は一問一答の形式で行われたが、整理すると、おおむね次のような内容だった。
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