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今年の3月の日曜はいつも雨 花に嵐は天の采配か

饒村曜気象予報士
満開のさくら(写真:GYRO_PHOTOGRAPHY/イメージマート)

冬型から春型へ

 令和3年(2021年)2月は、日本の西側で気圧が高く、東側で低いという西高東低の気圧配置(冬型の気圧配置)が多かったのですが、3月に入ると高気圧と低気圧が交互に通過しています。

 このため、晴天と曇雨天がくりかえす、春に多い気圧配置となっています。

 ただ、この周期が土曜から日曜日に広い範囲で雨となるものでした。

 今週の土曜日、3月27日は晴天をもたらす高気圧が日本の東海上に移動しつつあり、中国大陸から前線を伴った低気圧が東進してきます(図1)。

図1 予想天気図(3月27日9時の予想)
図1 予想天気図(3月27日9時の予想)

 このため、3月28日の日曜日は、またも全国的に雨の予報です(図2)。

図2 全国の天気予報(3月28日の予報)
図2 全国の天気予報(3月28日の予報)

 しかも、単なる雨ではなく、低気圧の発達によって強い風が吹き、大雨の可能性があります。

 さくらがきれいに咲いている地方では、花を散らす嵐となりそうです。

記録的に早い開花

 東日本や西日本では連日、さくらの開花発表、満開発表があり、いつもより早く桜シーズンを迎えています。

 今年の冬は、たびたび非常に強い寒気が流れ込みましたが、2月から3月の大幅な気温上昇の影響が大きかったためです。

 3月25日までに開花が観測された東日本や西日本の38地点のうち、18地点で昭和28年(1953年)からの統計史上最も早い開花となっています。

統計史上最も早い開花(タイ記録を含む)

広島、福岡、東京、松江、長崎、高松、岐阜、京都、下関、名古屋、佐賀、鳥取、岡山、彦根、津、福井、金沢、富山

 また、福島では3月25日に平年より15日早く開花し、東北地方も桜シーズンが始まりました。

 福島も統計史上最も早い開花です(図3)。

図3 さくら開花前線(3月25日のウェザーマップ予想)
図3 さくら開花前線(3月25日のウェザーマップ予想)

 オリンピック聖火リレーがスタートしたJヴィレッジがある福島県いわき市には、かつて小名浜測候所があり、そこの標本木によってさくらの開花・満開が観測されていました。

 小名浜測候所は、平成20年(2008年)に無人化されたため、翌年からは地元の市民団体と測候所OB等が、この標本木を使って独自に観測をしており、福島開花3日前の3月22日に開花を発表しています。

 旧小名浜測候所の標本木のさくら開花も、これまでの最早です。

 さくらが開花した直後は、嵐で散らされることは少ないのですが、すでに満開となっているさくらは、嵐で散らされます。

 東日本から西日本では、すでに7地点で満開となっており、金曜と土曜の気温が高いことから、もう少し増えると思われます。

さくらの満開日

3月22日 福岡、東京

3月23日 長崎、高知

3月24日 佐賀

3月25日 津、広島

4月に入っても日曜日は雨の予報

 週間天気予報では、3月最後の日曜日である3月28日は雨ですが、その後は再び高気圧に覆われ、ほぼ全国的に晴れる見込みです。

 気温は20以上の日が多くなり、東京でも3月29日に最高気温が25以上の夏日も予想されています(図4)。

図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)
図4 各地の10日間予報(数字は最高気温)

 ただ、4月最初の日曜日、4月4日は、ほぼ全国的に雨の予報です。

 月が替わりますが、日曜日が雨という天気の周期は変わりません。

 各地からさくらの開花や満開のたよりが届いている日曜日にいつも雨というのは、感染防止に気をつけて花見を楽しむようにという天の采配かもしれません。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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