復帰の中谷正義がアメリカで大逆転KO「統一王者ロペスにチャレンジしたい」
12月12日(日本時間13日)、アメリカのラスベガスで元東洋太平洋ライト級王座、WBO同級14位・中谷正義(31=帝拳)が、IBF世界同級5位のフェリックス・ベルデホ(27=プエルトリコ)とWBOインターコンチネンタル・ライト級王座決定戦で対戦した。
1年5ヵ月ぶりの再起戦
中谷は昨年7月のIBF挑戦者決定戦テオフィモ・ロペス(23=アメリカ)戦から1年5ヵ月ぶりの再起戦となった。
試合が始まると、中谷は距離を取りながらジャブをつきペースを握ろうとする。対するベルデホは、初回から一発を狙い大きなパンチを振ってくる。
試合が動いたのは初回、ベルデホの右ストレートをもらい中谷がダウン。
中谷は、ブランク空けの試合でもあり、パンチをもらってしまった。ベルデホは身長は中谷より低いが、リーチが長く距離感が分かりづらい。
続くラウンドでも、ダウンを奪って勢いづいたベルデホが、パワフルなパンチを降ってくる。
中谷は距離感が掴めないまま、パンチをもらってしまう。中南米の選手のパンチは、伸びてくるため距離がよみづらい。
それに加えて1年半ぶりの実戦での緊張感からか、距離感を掴めていないようだった。
4ラウンドには、中谷が打とうとしたところに、ベルデホの右のカウンターが入り再びダウン。序盤はペースを掴めず、苦しい立ち上がりとなった。
中盤になると、中谷も距離を詰めながらプレッシャーをかけていく。ベルデホも時折パワーパンチをヒットさせ、一進一退の攻防が続く。
なかなかペースを掴めない中谷だが、7ラウンド目にワンツーがヒットして見せ場を作る。ベルデホは前半にハイペースで飛ばしすぎたのと、ダメージで徐々に失速していった。
チャンスと見た中谷は、圧力を強めて手数を出しパンチをまとめていく。
そして、第9ラウンド。ベルデホの入り側に中谷の左ストレートがカウンターでヒット。ベルデホは痛恨のダウンを喫する。なんとか立ち上がるが、効いている様子だ。
畳みかけるように中谷が放った右クロスが直撃し、再びダウン。そのまま立てず、中谷の逆転KOとなった。
ロペスともう一度戦いたい
中谷は、苦しい展開から見事に勝利を掴み取った。途中の公式採点では3-0(78-72、77-74、78-72)で負けていた。
最後まで諦めずに戦った中谷の執念を感じた試合となった。試合後にも顔がかなり腫れており、ギリギリのところで勝負を決めた。
ジムを移籍して復帰を果たした中谷の、強い気持ちと覚悟を感じた試合だった。
試合後のインタビューでは、「ダウンを挽回できたのは、ロペスにもう一回チャレンジしたい気持ちだったから」と話している。
現在4つのベルトを持つテオフィモ・ロペス(アメリカ)とは、2019年の7月に互角の戦いを見せ敗れた。
その試合に勝ったロペスは、瞬く間に世界王者となり、現在は4つのベルトを持ちライト級の頂点にいる。
ボクシングは1試合の勝敗で、天と地になる。その時に負けた悔しい経験を生かして、今回は価値ある勝利を手にした。
タレント揃いのライト級
この階級は、中谷と戦ったロペスが4つのベルトを持っている。
他にもWBAレギュラー王者には、ガーボンタ・デービス(アメリカ)、WBC正規王者にはデヴィン・ヘイニー(アメリカ)がいる。
さらに元3冠王者のワシル・ロマチェンコ、元3階級王者のホルヘ・リナレス、そして期待の新星ライアン・ガルシア(アメリカ)がいる。
アメリカのスター候補のガルシアはこの試合を見て、SNSで反応している。
強さだけでなく、SNSで圧倒的なフォロワーを持つガルシアも今回の試合で中谷を意識したことだろう。
今回の逆転劇でライト級のライバル達にアピールした試合となった。
吉野修一郎、伊藤雅雪と国内も盛り上がっているライト級だが、世界トップの実力を肌で感じている中谷は、世界に最も近い存在だろう。
日本ではライト級は、2008年にWBAのベルトを獲得した小堀佑介以来出ていない。
世界的に注目が集まるこの階級での、世界タイトル奪取を期待したい。