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「井上尚弥が昇級後、世界バンタム級王座にまた挑戦したい」 エマヌエル・ロドリゲス

杉浦大介スポーツライター
Henry DeLeon/TGB Promotions

10月15日 ブルックリン

バークレイズセンター

WBA世界バンタム級エリミネーター

ゲリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ/29歳/19-0-1NC, 12KOs)

12回戦

エマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ/30歳/20-2-1NC, 13KOs)

 今週末、デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)対ロバー・ヘレニウス(フィンランド)戦がメインのPPV興行のアンダーカードで、興味深いバンタム級戦が組まれている。無敗のラッセルと実力者のロドリゲスが近未来の王座挑戦権をかけて拳を交えるのだ。

 この2人は昨年8月に対戦するも、偶然のバッティングでロドリゲスが負傷したためにノーコンテストになっていた。

 元同級IBF王者のロドリゲスは2019年に井上尚弥(大橋)に2回KO負けを喫したものの、井上に「第1ラウンドは「おっ」と思いました」と言わせたほどの実力を持つ。ただ、それ以降、ルイス・ネリ(メキシコ)戦は相手の体重オーバー、ノニト・ドネア(フィリピン)戦は相手のコロナ感染で中止。WBC暫定王座をかけて戦った2020年12月にレイマート・ガバリョ(フィリピン)戦はで疑問の残る判定を落とし、さらには前述通り、ラッセル戦は負傷でNCに終わるなど、様々な形での不運を味わってきた。そんなロドリゲスにとって、元世界王者を兄に持つ新鋭と対戦する今回のエリミネーターは再浮上のチャンスである。

 10月12日、ブルックリンのグリーソンズジムで行われた公開練習の際、ロドリゲスがメディアに対応し、絶対必勝のラッセル戦への抱負を語った。

3ラウンドで相手のジャブに適応する

 今回の試合は本当に楽しみにしています。今戦に備え、私たちはトレーニングキャンプをメキシコの高地(ヒキピルコ)に移したのです。その成果がリング上で出せるのを楽しみにしていますよ。

 昨年8月の第1戦でも私が勝てることはわかっていました。そこで起こってしまったことは皆さんがご存知の通りですが、リマッチに向けてはよりいい準備ができています。ラッセルのスタイルを模倣した選手と素晴らしいスパーリングを積んできたのです。おかげで日々、この試合に勝てるというより大きな自信を持つことができています。

 第1戦はたった15秒(実際は16秒)の戦いでしたが、その15秒の試合に向けて準備する過程で彼がどんな選手であるかを見極めることができました。映像も見てきましたし、再戦では彼が問題になるとは思いません。

 ラッセルがいいジャブを持っていることはわかっています。そのジャブに適応するのに3ラウンドくらいは必要でしょう。その後、彼の利き手をも封じ込めれば、彼にはもう武器はなくなりますよ。

Henry DeLeon/TGB Promotions
Henry DeLeon/TGB Promotions

 母国プエルトリコのために

 前回と違うのは、この再戦が組まれるのは5ヶ月前にわかっていたため、それだけの時間をトレーニングに費やしてきたことです。家族から離れてメキシコで時間を過ごすのは辛かったですし、特に私の家族はプエルトリコを襲ったハリケーンによって大きな被害を受けました。ただ、私の家族はとてもポジティブで、常に私をサポートしてきてくれました。

 ニューヨークで初めて戦えるのは名誉なことです。多くのプエルトリカンが住んでいる場所ですし、たくさんの人たちが私をサポートしてくれるでしょう。また、多くの人たちがプエルトリコから試合を見るためにニューヨークまで足を運んでくれるとも聞いています。

 私は過去に井上のような選手と対戦したというだけでなく、私の方が(ラッセルより)総合力で優れたボクサーであると信じています。私は対戦相手の質がより高く、元世界王者であり、元(ユース)五輪金メダリスト。ラッセルの力は認めていますが、もう準備は整っていますし、今戦は判定勝負にはならないでしょう。

 今でも3食を食べながらコンディション調整ができており、バンタム級の体を作るのはまったく問題はありません。ラッセルとの試合は世界ランキング2位の座をかけたエリミネーターでもあり、勝てば近未来の世界タイトル挑戦が約束されます。井上がスーパーバンタム級に上げ、バンタム級の王座を返上した後、その後の王座決定戦に出場したいと願っています。 

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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