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城田優 演出を手がけるスヌーピーのXmasコンサートが話題――「没入感の先にある世界を求めて」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
Photo/石阪大輔

5年目を迎えたクリスマス恒例のスヌーピーコンサート。昨年から演出を手がける城田優がかける魔法

城田優が総合演出を手がける『billboard classics×SNOOPY 『Magical Christmas Night 2024』が、12月8日兵庫公演を皮切りに、12日札幌、23日東京で開催される。2020年にスタートしたこのオーケストラコンサートは、昨年から城田が演出を手がけ「Magical Christmas Night」としてリニューアルした。“普通の”クラシックコンサートとは違う「夢の時間を作る」と、昨年のインタビューでも語ってくれた城田に、昨年の公演を振り返ってもらいながら、今年のコンサートについて話を聞かせてもらった。

『Magical Christmas Night』は、スヌーピーにまつわる名曲や、アメリカの定番クリスマスTVアニメ番組『A Charlie Brown Christmas』のサントラに収録されているJAZZナンバー、そして古今東西のクリスマスソングをフルオーケストラとジャズピアノトリオ、クワイア、総勢80名が奏でる子供も大人も楽しめるゴージャスなコンサートだ。2020年からゲストボーカルとして参加していた城田が、昨年から演出を手がけるようになった。

「“普通の”オーケストラコンサートとは全く違う、ショーアップされたものを作ることができた」

「まず大前提として、エンターテイメントにおいての正解や、何がベストなのかということは、正直、自分がそれを信じるかどうかということだと思っています。去年は僕の中ではとても面白くできた部分もあるし、同時にもう少しこういう風にできたのでは?という部分もあります。でも後悔とか後ろめたさみたいなものはなくて、それまでの“普通の”オーケストラコンサートとは全く違う、エンタメ要素がたくさん入ったショーアップされたものを作ることができたと思います。このコンサートはクリスマス、スヌーピー、オーケストラという、マジカルな空間な空間を作ることができる要素がたくさん揃っているので、『PEANUTS』の世界に没入できるコンサートになったと自負しています」。

昨年、城田に世界的に人気のあるキャラクターのクラシックコンサートを演出することにプレッシャーは?という質問をした時にも「どれだけ自分がいいと思うものを作ったとしても、人それぞれ好みが違うと思っているので、責任感はありますがプレッシャーはありません」ときっぱり答えてくれた。

「没入感にこだわる。お客さんの目に触れるもの全てが演出に関わる要素」

「PEANUTS」の作品に登場する楽曲が、壮大で繊細なオーケストラ、音楽監督・宮本貴奈率いるジャズピアノトリオ、そして城田とゲストボーカル、クワイアの歌によって届けられた。子供も大人も魅了する城田のとにかく“没入感”にこだわったという演出に感動したという声が多く、今年は公演数が増えているのがその答えだろう。

「僕はとにかく“没入感”を追求しています。これはミュージカルでも、ショーでも今回のようなコンサートでも、僕が演出するものについて貫いていることです。お客さんの目に触れるもの全てが演出に関わる要素なんです。没入感の先にある世界をどう表現するか。劇場の扉を開けたらもうそこに“PEANUTSのクリスマスの世界”が存在して、みなさんを一気にその世界に引き込む仕掛けを作って、日常を完全に忘れていただくことを目指しました」。

「クリスマスの夜にスヌーピーたちが住む『PEANUTS』の世界にある森の奥で行われる音楽祭」に参加している感覚

その言葉通り、会場に足を踏み入れた瞬間から「クリスマスの夜にスヌーピーたちが住む『PEANUTS』の世界にある森の奥で行われる音楽祭」に訪れている気持ちにさせてくれた。開演前の客席には虫の音が聴こえてきて、ステージを見ると大きなクリスマスツリー、雪だるまが目に飛び込んでくる。電飾が施されたドッグハウス、地面の緑まで再現されている。「PEANUTS」の物語の世界からそのまま飛び出してきたような感覚になった。それはオーケストラのメンバーも例外ではない。衣装を着て、椅子も譜面台も全て木目調と細部まで徹底したこだわりが感じられた。

「『PEANUTS』の世界観に沿った舞台演出ということを出演の皆さまにはご理解いただき、衣装を着ていただいたり、演奏に動きを付けていただいたり、“通常の”クラシックコンサートではあり得ないことに協力してくださいました。先ほども、お客様の目に触れるもの全てが演出の範疇であると言いましたが、だからこそ譜面灯もなるべく消してほしいと無理なお願いをしたりというのも、本来『PEANUTS』の世界にはないものは、極力目に入らないようにしたいという想いからのこだわりから来るものです」。

「今年は視覚的にももっとこだわって、セットリストの変更、アレンジの方向性も含めてブラッシュアップします」

「今回も、よりお客様がクリスマスというものや、スヌーピーというかわいらしい存在や『PEANUTS』という世界観、城田優というアーティストやゲストボーカルや、その空間全てをさらに楽しめるように、視覚的にももっとこだわり、セットリストの変更やアレンジの方向性も含めてブラッシュアップします。今年はキービジュアルも一新しました。もっと没入できて子供から大人までが、とにかくわくわくできる時間にしたい」。

数々の「PEANUTS」ナンバーやJ-POPのカバーを披露。オリジナルソング「夢の種〜I’ll be by your side」にも注目

昨年は「PEANUTS」ナンバーだけではなく数々のJ-POPも歌い、「真夏の果実」(サザンオールスターズ)のカバーでは雪のクリスマスから一気に夏の南半球に連れ出してくれ、サーフィンをしているサンタクロースを想像してしまった。さらにこのコンサートのイメージソングとして制作した「夢に年齢制限はない」と勇気を与えてくれるオリジナルソング「夢の種〜I’ll be by your side」も好評だった。

「大人の方にもその世界に入り込んで欲しいので、J-POPもクリスマス風にドリーミーなアレンジにしましたし、『真夏の果実』については、南半球の国ではクリスマスは夏だという意外性を楽しんで欲しくて、迷わず選曲しました。今年もみなさんが知っているJ-POPは、セットリストに入れたいと思っています。『夢の種』は宮本貴奈さん(音楽監修・ピアノ)と、キーワードやフレーズを出し合い会話のセッションをしていく中で、メロディと歌詞が湧いてきて気が付いたら完成していました。みなさんの夢を後押しするような素敵な応援歌になりました。今年も夢の世界でこの曲をお届けできることを楽しみにしています」。

ゲストボーカルは森崎ウィン(兵庫)、KIMIKA(北海道)、青山テルマ(東京)。貴重なコラボに期待

今年は森崎ウィン(兵庫)、KIMIKA(北海道)、青山テルマ(東京)というメンバーがゲストボーカルとして出演し、それぞれのパフォーマンスはもちろんコラボも期待できそうだ。城田がゲストボーカルに求めるものとは?

「今年もゲストのコンセプトは変わらず、英語で歌うことができて、かつ素敵な表現力を兼ね備えていて、そしてこれが一番大切なのですが、人柄重視で声をかけさせていただきました(笑)。(森崎)ウィンは僕が米倉涼子さんと共同プロデュースしたショー『SHOW TIME』に出演してもらって、その人柄、実力も十分にわかっていたのでお願いしました。去年のゲストは女性だけだったので、今年はウィンがいることで、何か面白いことができそうです。(青山)テルマも昔からよく知っていて、歌唱力の圧倒的信頼感はもちろん、素敵なものを一緒に作っていけると思い、声を掛けました」。

KIMIKAはレディー・ガガもその実力を認め、SNSで歌の素晴らしさが注目を集めている、ライヴや配信を中心に活動しているシンガーだ。

「このコンサートでは国籍や性別、マイノリティ関係なく素晴らしい才能の持ち主にはこれからも声を掛けたい」

「KIMIKAさんは知らない方も多いかもしれませんが、その歌の実力は折り紙付きです。SNSでも注目されていますが、初めて彼女の歌を聴いたのは、友人たちと行ったカラオケで、その時彼女も参加してくれていて、その歌に驚きました。今年ライヴを初めて観に行って、その歌唱力、温かくて心のこもったMCに感動しオファーしました。実力がある人はもっと世の中に出ていくべきだし、このコンサートでは国籍や性別、マイノリティ関係なく素晴らしい才能の持ち主にはこれからも声を掛けていきたいです。去年は各地の少年少女合唱団に参加していただきましたが、今回はクワイアとして出演する女性ボーカルグループFYURA(エフユラ)の歌にも注目してください。ぜひ大切な方と、友達や家族と魔法にかかりに来てください。もちろんお一人様も大歓迎です。観終わった後みんなで感想を話し合えるような、心に残るコンサートにしますので楽しみにしていてください」。

billboard classics×SNOOPY『Magical Christmas Night 2024』

■12月8日(日)兵庫県立芸術文化センターKOBELCO大ホール

開場18:15/開演19:00

■12月12日(木)札幌文化芸術劇場hitaru

開場18:00/開演19:00

■12月23日(月)東京文化会館 大ホール

開場18:00/開演19:00

出演:城田優、スヌーピー

森崎ウィン(兵庫)

KIMIKA(北海道)

青山テルマ(東京)

指揮:栗田博文

ピアノ・音楽監修:宮本貴奈

ドラムス:ジーン・ジャクソン(北海道・東京)/デニス・フレーゼ(兵庫)

ベース:パット・グリン

管弦楽:京都フィル・ビルボードクラシックスオーケストラ(兵庫)

ビルボードクラシックスオーケストラwith SORA(北海道)

東京フィルハーモニー交響楽団(東京)

クワイア:FYURA

billboard classics × SNOOPY 『 Magical Christmas Night 2024』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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