世界食料デーに考えたい、世界と日本の食料の課題 あなたがフードヒーローになるために知ってほしいこと
10月16日は、世界食料デー(World Food Day)だ。世界食料デーは、世界の食料問題を考えるために、国連食糧農業機関(以下、FAO)の創設日(1945年10月16日)に1981年に制定され20年を迎えた。世界の人々が協力し、最も重要な基本的人権である「すべての人に食料を」を現実化し、世界に広がる栄養不良、飢餓、極度の貧困を解決していくことを目的としている。
2021年の世界食料デーのテーマは「私たちの行動が私たちの未来」。全ての人が食のヒーローとなって、農業・食料システムの変革に貢献し、誰も取り残さないことを呼びかけている(※1)。本記事では世界食料デーにFAOが開催したグローバルイベントや関連の活動からその意味を考える。
深刻化する世界の飢餓―世界食料デーイベントからー
10月15日ローマで、世界食料デーを祝うグローバルイベントが開催された(※2)。そこで国連事務局長Qu(屈)は、「私たちが食べるものを確保するために、どんな困難にも立ち向かって働き続けた世界中のフードヒーローたち」に敬意を表しつつ、新型コロナ以前から世界で何億もの人々が飢餓に苦しんできたが、2020年はさらにその数が8億1,100万人にまで増加したと報告した。一方で、人類を養えるだけの食料生産があっても食料の約14%が失われ、約17%が無駄(廃棄)になっていることを指摘した。
さらに会合に出席したフランシスコ法王はイベントに向けたメッセージで「私たちは食料へのアクセスに課題がある。一方で、30億以上の人々が栄養価の高い食事を得ることができず、他方では、20億近くの人々が貧しい食生活と運動不足の生活のため肥満になっている」と強調し世界の食料格差について触れた。
またアントニオ・グテーレス国連事務総長は、挨拶の中で「私たちが食料を生産し、消費し、廃棄する方法は、地球に大きな負担をかけている。それは、天然資源、気候、自然環境に歴史的な圧力をかけており、毎年何兆ドルものコストとなっている。 しかし変える力は私たちの手の中にある」と発言した。食料生産が地球に負荷をかけているが、それを変えるのは人類自身という力強いメッセージだ。
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