Yahoo!ニュース

石破首相誕生でコメ不足は解消されるか?総裁選ではコメの増産や輸出拡大を主張 #専門家のまとめ

松平尚也農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。
(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 令和のコメ騒動でいまだコメの流通や小売の現場での混乱や食卓への影響が続いている。一方で政府や農水省は、今後への対応について具体策を示しておらず、来年も同様の事態を招く可能性も指摘される。石破氏は、これまでコメの生産調整廃止による増産や輸出拡大を主張してきた。石破首相誕生で日本のコメ政策はどうなるのか?ニュースを元に読み解く。

ココがポイント

米の増産にかじを切り、輸出を拡大(中略)生産拡大に伴う米価下落には「直接所得補償」で対応(中略)とする考えを表明。
出典:日本農業新聞 2024/9/28(土)

農水総括政務次官などを経て、08年の麻生内閣で農相に就任。自給力を重視して米の生産調整の廃止を提起し、波紋を呼んだ。
出典:日本農業新聞 2024/9/28(土)

農業機械もそうだし、資材関係もめちゃめちゃ上がっている。今年、コメが高くなってありがたいはありがたいですけど
出典:北海道ニュースUHB 2024/9/27(金)

エキスパートの補足・見解

 コメ消費が長期にわたり減少する中で日本の水田の4割は生産調整という政策によりコメ以外の作物が栽培されている。石破氏は、かねてからコメの生産調整の廃止を主張してきた。生産調整を廃止するとコメの供給量が増加しコメ価格が低下する可能性がある。そのため石破氏が麻生内閣農相時の2008 年にコメの生産調整廃止を提起した際には、大きな波紋を呼んだ。
 石破氏は、今回の選挙戦においてもコメの増産へと政策転換し、輸出を拡大すべきと主張してきた。米価下落には「直接所得補償」で対応するとしているが党内からは同政策に対する批判の声がありどこまで政策が実行できるか不透明な状況だ。令和のコメ騒動をふまえて今後のコメの安定供給が必須の状況の中で石破氏の手腕が問われている。そこでは石破氏が主張する農家の所得確保といった点も重要になってくるであろう。

農業ジャーナリスト、龍谷大学兼任講師、AMネット代表理事。

農・食・地域の未来を視点に情報発信する農業ジャーナリスト。龍谷大学兼任講師。京都大学農学研究科に在籍し国内外の農業や食料について研究。農場「耕し歌ふぁーむ」では地域の風土に育まれてきた伝統野菜の宅配を行ってきた。ヤフーニュースでは、農業経験から農や食について語る。NPO法人AMネットではグローバルな農業問題や市民社会論について分析する。有料記事「農家ジャーナリストが耕す「持続可能な食と農」の未来」配信中。メディア出演歴「正義のミカタ」「めざましテレビ」等。記事等に関する連絡先:kurodaira1974@gmail.com(お急ぎの方は連絡先をご教示くだされば返信します)。

農業ジャーナリストが耕す「持続可能な食と農」の未来

税込550円/月初月無料投稿頻度:週1回程度(不定期)

食べ物、生命の根幹である農の世界には、食と農の未来を考える上で宝物のようなアイデアが豊富にあります。本企画では農業ジャーナリストとして研究する立場から現代の農業の潮流や政策をとらえ食と農のこれからを考えます。世界で注目されている小農や家族農業、アグロエコロジー、SDGsも紹介し、持続可能な食と農のイメージをお伝えします。また食べ物の栽培や歴史から流通、農協改革や持続可能な観光まで幅広く取り上げます。

※すでに購入済みの方はログインしてください。

※ご購入や初月無料の適用には条件がございます。購入についての注意事項を必ずお読みいただき、同意の上ご購入ください。欧州経済領域(EEA)およびイギリスから購入や閲覧ができませんのでご注意ください。

松平尚也の最近の記事