「一番困っているのは大学院生」。政府は若手研究者への支援を
安倍晋三首相は5月6日夜、「安倍首相に質問! みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」に出演。
その中で、京都大学iPS細胞研究所所長の山中伸弥教授は「一番困っているのは大学院生」と、若手研究者への支援を訴えた。
昨日に同様の記事を書いたばかりではあるが、一部内容を紹介したい。
関連記事:「学費減額」に慎重な検討が必要な理由と、今後求められる学生への支援
以下、動画からの引用
(安倍首相が大学生・短大生等への支援策を説明した後)
山中教授:私たちの研究所には、大学院生がたくさんいます。修士課程、博士課程。もしかすると、彼らが一番困っているかもしれません。20代後半、30代の人がいて、結婚もして子どももいる。そういう形で、今バイトもできない。でも、普通の一人暮らしよりずっとお金がかかる。
今、大学院生が(質問の中にも)入っていませんでしたが、大学院生の存在も頭に入れて頂きたい。
もう一点、経済的な支援も大切ですが、本来受けられるべき教育が受けられていない。こちらに対する支援も、先日もオンラインを前倒しでやると言って頂いておりましたが、ぜひ大至急すべての児童・学生さんがオンライン授業を家で受けられる体制に1日も早くなったらいいなと思っています。
馬場典子アナウンサー(司会):大学院生も、先ほど総理が説明した制度(給付型奨学金制度)を活用できるのでしょうか?
安倍首相:これはあくまで学部生(大学院生は対象外)。今後、将来の課題として、大学院も考えていかなければならないと思っています。
山中教授:給付型は、私も学生の時に給付型奨学金を月3万円ぐらい頂いて、本当に助かった。そのお陰で医者になれたようなものなんですが、だいぶ敷居が高い。競争率が高くて、もらえる人が限られていた。ですから、給付型をもらいたいと思っていても、なかなかもらえない人もいる。最近の件数はよくわかっていませんが、できるだけ給付型の奨学金の割合を増やして頂けたら、たくさんの学生さんが助かると思います。
安倍首相:今申し上げた(給付型奨学金の)5400億円という予算は、義務的経費ですから、予算を上回る対象者がいれば、当然それに対して対応していくということになります。そこはご安心頂きたいと思います。
(引用終わり)
「大学院生に対する支援を」、という山中教授の求めに対して、安倍首相は「将来の課題」と、含みのある回答ではあったが、大学院生は学部生以上に、研究環境に大きな支障が生じており、金銭的な支援に加え、オンラインデータベース・電子ジャーナル、電子書籍の拡充、大学/公共図書館の一部開放、非来館型の貸出サービスなど、少しでも研究のしやすい環境を整備してもらいたい。
研究者らの有志でつくるグループ「図書館休館対策プロジェクト」の調査によると、大学や自治体が運営する図書館の休館やサービス縮小が続く中、約6割の学生や研究者らが自らの研究に影響があると回答しており、研究を続けるための支援を求めている。