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“レジェンドの息子”  ゲイリー・ペイトン2世が語るディフェンスの極意、アレン・アイバーソンの思い出

杉浦大介スポーツライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ゲイリー・ペイトン2世(Gary Dwayne Payton II )。27歳。父はオールスターに9度選出され、殿堂入りを果たしたゲイリー・ペイトン。守備の良さから“グローブ”と称された父同様、ディフェンスが得意で、カレッジ時代にはPac-12の最優秀守備選手に2年連続で選出された。

 2016年のドラフトでは指名漏れし、以降もNBA定着は果たして来れなかった。今季はGリーグのサウス・ベイ・レイカーズで平均21.4得点、9.5リバウンド、6.8アシスト、3.2スティールをマークし、昨年12月16日までの週に週間MVPを受賞。故障者続出のウィザーズと12月23日にハードシップ例外条項で契約し、父の現役時代と同じ背番号20を背負ってプレーしている。

 2020年1月3日、キャピタルワンアリーナでのウィザーズ対トレイルブレイザーズ戦前にインタヴュー収録

ウィザーズと契約後はスティールを量産

ーーウィザーズと契約後、最初の4試合で16スティールをマークしました。いきなりこれほどのインパクトを与えたことに自分でも少し驚いていますか?

GP : そんなことはないですよ。自分の仕事をやってきただけです。可能な限り、ボールに手を伸ばし、デフレクションを得ようとしてきました。ゲーム中、スタッツのことは考えないもの。ディフェンス面でなんとかしてチームを助けたいと思ってプレーした結果です。

ーーウィザーズは多くの故障者に見舞われているだけでなく、ディフェンス面で苦しんできたこともあり、守備の得意なあなたが多くのプレー時間を得ていますね。

GP : シーズンを通じてチームで過ごしてきた選手たちが離脱しているのは残念なことですが、一方で自分が力を見せる機会だと捉えています。このリーグでは“次の選手が立ち上がる(Next man up)”もの。僕は僕のやり方で違いを生み出していきたいと思っています。

ーー自身のディフェンスはNBAでもハイレベルにあるという手応えは感じていますか?

GP : うーん、3試合で13スティールというのは悪くない数字ですよね(笑)。僕のディフェンスは最高レベルのリーグでも通用すると思っています。その点に関しては自信があります。あと大事なのは継続的に力を発揮していくことですね。

ーー優れたディフェンダーでいるための鍵は?

GP : それは難しい質問ですが・・・・・・ディフェンス面では良質なインスティンクトを持っている必要があるとは思います。僕は長くこのスポーツをプレーして、子どもの頃から多くの選手を見てきましたが、守備の良い選手は勘がいいもの。また、相手を止めてやろうという気迫も必須です。僕は長い腕と素早く動く腕を持っており、それを効果的に使うコンディションを保つのも大事なことですね。そのためにはフィジカル面で強くなければいけません。

ーー守備面では十分なものを見せてきましたが、NBAでサバイブしていくために向上させなければいけない部分は?

GP : まずはボールハンドリング。そしてロングジャンパーを上達させ、オープンショットをもっと高確率で決めなければいけません。より自信を持ってシュートできるように、今後も練習を積んでいくつもりです。あとはバスケットボールIQに磨きをかけるため、多くのフィルムを見て、このゲームを学んでいきたいと思っています。

アイバーソンは”クールな男”

ーーあなたのお父さんは日本でも有名ですが、自身の現役生活を通じて父親と絶えず比較され、質問され続けることにフラストレーションは感じませんか?

GP : いえいえ、そんなことはないですよ。これまでの人生を通じてそうでしたし、もうそういうものだと思っています(笑)。同じゲームをプレーしているのだから、当然のこと。父親が成し遂げたことは僕ももちろんよく知っていますし、僕も追いかけていきたいと思っています。

ーー子供の頃からNBAプレイヤーと関わる機会は多かったと思いますが、お父さん以外でフェイバリット・プレイヤーは?

GP : アレン・アイバーソンです。仰る通り、僕は小さな頃からアリーナに来て、試合前後には選手たちによくちょっかいを出していました。アイバーソンからアームスリープがもらいたくて、彼につきまとったものです(笑)。あとはヴィンス・カーターも好きだったですね。KG(ケビン・ガーネット)も父親と仲が良かったので、彼とも親しくなりました。選手としても、人間としても、彼らのことが好きでした。

ーーアイバーソンは多くの武勇伝を残した選手ですが、クレイジーなところもあったのでは?

GP : いえ、僕にはそんなことはなかったですよ。クールな人だったという記憶が残っています。やらなければいけない時に切り替えられる人という印象。プレーを観ていても楽しい選手だったですね。

ーーお父さんからは今でもアドバイスを受け取っていますか?

GP : はい、いつもいろいろ言ってくれますよ。常に積極的にプレーし、ディフェンス面でやるべきことをやれ、集中しろと言われます。トラッシュトーク?いえ、僕にそれを仕掛けてくることはありません(笑)。父は3-on-3リーグの“Big 3”でコーチを務めているので、トラッシュトークはそこに取っておいているのでしょう(笑)

ーーついにNBAでも活躍の場を得ましたが、今後に何を成し遂げたいですか?

GP : 最高レベルのリーグで、できる限り長くプレーしていきたいですね。まずは保証契約を手にしたい。そして、僕はこのリーグに属するに価する選手であると示していきたいです。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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