さわやかな秋に出かけるひとり旅 私が登山にはまった10の理由
歩く旅を始めたきっかけ
思い立ったように自然を求めて山に行きました。私は東京都に住んでいるので、初めて行った山は奥多摩にある「浅間嶺」という、有名でない山でした。ここに決めたのは「関東ふれあいの道東京都」の道であり、初心者が山歩きをするには指導票が各所に置かれている事で道迷いの可能性が少ない事と、ふれあいの道なのだからそんなに厳しいコースではないだろうと思ったからでした。
歩く旅をしようと思ったのは運動がしたいとか、健康になりたいとか、そういった理由は当時の私には一切なく、ただ静けさと一人の時間を持ちたいと思ったのです。
自宅に居ても一人の時間はあるのですが、長年主婦をしていると「あれもしなければいけない、これもあるし」とゆっくりしていても何だか落ち着かないのです。ならば、家事が出来ない遠くの場所に出かけようという単純な発想でした。
その頃同時に思った事は人間関係の煩わしさでした。この歳にもなって、と思うのですが、人間関係に悩むことが多い私は少しの時間だけでも社会と離れて1人になりたいと思ったのです。
しかし、人間社会にいると一人になれる場所は中々ないのです。カフェに行っても周りには店員さんや他のお客さんがいるし、大好きなドライブをすると車の中でいるときは一人だけれど、どこかに立ち寄ると必ず人がいます。そんな時に気付いたのが山だったのです。
人間社会と離れて自然の中に行こう!山へハイキングに行こう!!
初めて登った山は、あまり有名ではない山だったので登山者が少なく、とても静かな山歩きが出来ました。今思うとそんなに体力が必要な山ではないのですが、その頃は全く運動をしていなかったので、少し登るにもヒーヒー言いながら何度も心は折れました。
頑張って山頂に登れた時の何とも言えない心の嬉しさは今でも忘れられません。
下山するのも結構楽しく麓まで下りれば民家があり、季節は秋で山が燃えるような美しい紅葉を眺めて、きれいだなぁとしみじみ思いました。無事に下山した後はお豆腐屋さんで売られていたソフトクリームを買って食べると、
「ソフトクリームってこんなに美味しかったのか」と、感動しました。
そんな初めての歩く旅をして、どっぷり登山にはまり、その後は街道歩きの旅にはまった私が、
主に登山に関して「歩く旅にはまった10の理由」です。
理由1、1人で楽しめる
私は1人になりたくて始めたので、1人で旅に出ます。ソロ登山というと安全面で色々な考え方があるのは事実であり、自己責任を伴います。
街道歩きの場合ではひとり旅でも比較的安全に行えます。
1人旅は、誰に合わせる必要もありませんので、自分の体力に合わせてコースを考えます。歩いている最中でも自分の体力に合わせてきついときにはゆっくりと歩きますし、下りでは早足で歩くこともあります。休憩も食事も人に気を遣うことなく自由に楽しんでいます。
日程はもちろんですが、特に自然を楽しむのに関わるのがお天気です。自分一人ならば誰に合わせる事も無く日程を決められるし、行きたいときに山に行くことが出来ます。もちろん、今日はお天気が良くないからやめとこうかなという事も自分で決めることが出来ます。
理由2、体力に合わせて楽しめる
歩く旅と一言で言っても、登山では高い山も低い山もあります。
又、登山口のある場所(標高の高さ)やその場所までの交通手段もあり様々です。高い山だから体力が必要や、低い山だから比較的楽に登れるという絶対的な事もないです。
森林限界を超す山でもロープーウェイがある山は比較的楽に登れますし、標高1000m以下の山でも尾根歩きをすれば大変な山もあります。
体力があれば色々な山にチャレンジすることが出来ますが、体力に自信のない人でも上手に山を選べば山からの絶景を楽しむ事が出来ます。
地図やアプリを利用すれば、自分に合った山を選んで歩く旅を自分で計画して楽しめます。私は登山でも街道歩きでもアプリを利用して楽しんでいます。
理由3、山頂に着いた時の達成感は言葉にならない
山登りはただ歩いている(登っている)だけの様なのですが、かなりの体力が必要です。何度も心の中で「まじかぁ」「何で私はこんなに大変なことしているのだろう」等が浮かんできます。当たり前の事ですが、山の中では街中のようにバスやタクシーはないので、途中で楽をすることは出来ず自力で自分の足で登るしか方法は無いのです。
自分の力だけで登り、山頂という一つの目標にたどり着いた時は本当に達成感があります。自分が頑張ったことすべてが肯定されるような気持になります。
理由4、山から見える景色はとても美しい
お天気が良ければ山頂からの景色はとても素晴らしいく、うっとりと景色を眺めてしまいます。そして、山頂からの絶景を観ることが出来る自分は贅沢だなぁといつも思います。山に登ったのは自分であり、頑張ったのも自分。山からの絶景はご褒美を貰えたようにも感じます。そして、山からの絶景を観るたびに、人間なんてちっぽけだなぁと感じます。
決して日常生活では見ることが出来ない景色であり、写真で見ることが出来ても景色の素晴らしさはその場所でしか見ることが出来ません。お天気が悪いときは少し残念な気持ちもありますが、またチャレンジすれば良い。その山に登れたことには変わりないので自分に自信を持てます。
理由5、山で食べるとご飯が美味しい
山に登ることは相当体力を使います。日常生活とは比較にならないほどですのでとてもお腹が空きます。空腹は最強の調味料を思いますが、山で食べるご飯の美味しさはそれだけでないように思っています。確かにお腹が空いて食べるご飯は美味しいのですが。
山のきれいな空気や静けさの中、鳥の声を聴きながら自然の中で食べることも美味しさを強く感じるのではないかと思っています。気持ちよい季節に青空の下、温かい日差しを受け、絶景を観ながらご飯を食べることはとても贅沢だなぁといつも思いながら山でのご飯を食べています。
理由6、水場の水の美味しさは格別
日帰りの山だとなかなか水場がある場所が少ないかもしれませんが、山小屋があれば山の水を引いてくれており水場があります。
その水がとても美味しいのです。水道水もここ最近は美味しくなってきていますが、山の水の美味しさは格別です。その山水でコーヒーを入れて飲む事も最高ですが、私は水のままごくごくと飲んでいます。これも、贅沢だなぁと思いながら山の恵みを頂いています。
理由7、登山計画や準備も楽しい
あー山に行きたい。どの山にのぼろうかな。今回はこんな山歩きがしたい。絶景を楽しみたいなぁと、山選びをしたり、いつか行きたいなぁと思っていた山に行く機会を得られたり。
目標とする山が決まったら、日程調整、登山口までの公共交通機関や駐車場調べ。同じ山でも登山コースがいくつもある山もあるし、ロープーウェイやケーブルカーがある山もある。自力で登るか、それらを利用するか、山の下山までも含めて全行程を確認して自分に合ったコースを自分で作ることも楽しみの一つです。
もし、山初心者の方でしたら関東ふれあいの道等あらかじめ設定されているコースで歩くことも出来ます。山はすべてが自己責任ですから、自分に合ったコースを作ります。
そうしたら持って行くものを決めて、お楽しみの山ご飯に行動食の準備もしなければなりません。これらも楽しんで準備していると、ザックがパンパンになるかも。
理由8、下山後のお楽しみ
山歩きでは相当体力を使いますので汗びっちょりになります。下山後に日帰り温泉でさっぱりするのも良し、その後に飲むビールも最高でしょうし、お腹もすいているので食事をするのも美味しく頂けます。
私の楽しみは下山後のアイスです。結構毎回食べています。少しお高めのアイスをコンビニで買って贅沢に頂くのは、やめられない至福の時です。
理由9、山では誰もが平等、頑張って登るしかない
山では誰もが自分の力で歩くしか方法はありません。他人と比較する必要もありません。誰もが平等に自分の体力を使って登るだけで、一番大切な事は安全に山を下山する事です。
人間社会は色々面倒なことだらけですが、山に行けば人と関わる事も無く人と比較することも、比較される事も無く自分のペースで山を楽しめます。
頑張ってスピードを上げてトレーニング的に登るのも良し、ゆっくり立ち止まって景色を楽しむのもそれも良し。何より一人は人に合わせることが無く、人に気を遣う事も無いので、自分のしたいように山を楽しむことが出来ます。
理由10、自己肯定感が高まるような気がする
山を登れることで得られる達成感。それは自分の力で行った結果に得られる事。自分自身を誉めました。やればできるじゃないかと。
その体験を繰り返すことや、森の中で樹を観てきれいだなぁと思う事、大きな岩を観て天狗が座っていそうだなぁとか、生えているキノコ(毒キノコですが)を発見して楽しんだり、自分の感覚に素直に反応することを繰り返しながら、その時に良い感情を持てば良いのです。心が嬉しいと感じることで心が洗われる気持ちになります。
山頂に立った時。山は人類が誕生するはるか前に山として存在していると感じる。想像もつかないはるか昔から、山は山として存在し続けている。山頂から麓の街を眺めた時、街全体を見渡し、街の大きさを感じると共に小ささも感じる。そして、自分なんてちっぽけだなぁと思う事がよくある。
ちっぽけな自分を感じ、ちっぽけで良いじゃないか。山が変わらないように自分も変わらないちっぽけなものだ。人間なんて、自然から見るとそんなものじゃないかと。
そう思えば、ちっぽけな自分で良いと思い、自分を肯定しても良いじゃないかと思う。
そんな気持ちになれた事が私にとって一番「登山を始めて良かった事」だと思う。
めいっぱい体力を使って、きれいな景色をみて、美味しいご飯を食べ、ちっぽけな自分を感じ、それも良いじゃないかと自分を肯定する。
又、山に行こう。