別格だったペドリと久保に頼る攻撃...五輪前にスペインが見せた「日本的」プレスを無効化する方法。
不思議な試合だった。
東京五輪の本大会を前に、U-24日本代表はキリンチャレンジカップ2021でU-24スペイン代表と対戦。結果は1-1の引き分けに終わった。
スペインは、明らかにまだ本調子ではなかった。
このチームが、スペインのベニドームに集まってから。10日しか経っていない。EURO2020に参加していたウナイ・シモン、エリック・ガルシア、パウ・トーレス、ダニ・オルモ、ペドリ・ゴンサレス、ミケル・オジャルサバルの6名に関しては、”ぶっつけ本番”でのゲームだった。
スタメンを見ても、スペインは「Aチーム」と「Bチーム」が混在していた。GKウナイ・シモン、DFオスカル・ヒル、オスカル・ミンゲサ、パウ・トーレス、フアン・ミランダ、MFマルティン・スビメンディ、ミケル・メリーノ、ダニ・セバージョス、FWダニ・オルモ、ラファ・ミル、マルコ・アセンシオ。これがルイス・デ・ラ・フエンテ監督が送り出したメンバーだった。
■掛からない日本のプレス
試合は、スペインがボールを保持して、日本がカウンターを狙うという展開で進んだ。
現在、スペインを相手に「ボールの握り合い」で挑めるチームは世界広しといえど非常に少ないだろう。なので、日本の戦い方は否定しない。だがそのやり方は、あまりに稚拙だった。
日本は【4-5-1】と【5-3-2】を併用して守備を行った。カウンターの場面では、ひとまず久保建英にボールを預け、彼の技術と創造性に依存した攻撃に終始した。
また、守備面では日本のプレスに大きな問題があった。プレスが、掛かっているようで、掛かっていないのである。
日本が抑えるべきだったのは、スペインのアンカーを務めたスビメンディのところである。だがスビメンディは狡猾だった。日本の2トップ(久保と林)の背後に位置して、パスを受ける。日本の守備陣を中央に圧縮させ、そこからボールをサイドに展開する。このスビメンディの一連のプレーで、日本の3ラインは完全にバランスを崩していた。
42分、久保の突破から、堂安律がゴールを決める。ただ、スペインの守備を崩したわけではない。つまるところ、堂安のゴラッソであった。1点のリードを奪ったが、日本の守備は機能していなかった。そう、まったく機能していなかったのである。
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■順調に見えた試合とスペインのギア
日本は「何となく」試合に入れていたように見えた。1-0でハーフタイムを迎え、相手は金メダル候補のスペインだった。万事順調。そのように捉えても、違和感はない。
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