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13度全米アマ王者となった新星がプロで4連勝

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
Mikey Williams/Top Rank

 スーパーフライ級のサウスポー、スティーブン・ナヴァーロは己のボクシングに自信を持っている。試合開始のゴングから、一発一発、力を込めたパンチを振るっていく。ファーストラウンドに、早くもワンツー、右フックで獲物を捉え、オスカー・アローヨからダウンを奪った。2ラウンド終了間際にも顎への右アッパー、右ストレートでアローヨを倒す。

 3ラウンドに入るとナヴァーロはスイッチし、アングルを変えて、アローヨを滅多打ちにし、見かねたレフェリーが試合を止めた。公式KOタイムは同回の2分35秒。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 白星を加えたナヴァーロは、戦績を4戦全勝3KOとした。2015年にボクシングを始めた彼は、2019年から3年連続で全米ユース大会優勝を飾っている。アマでは合計13度全米チャンピオンとなったが、まだ、20歳の若者だ。鳴り物入りでプロの世界に飛び込んだ。ボブ・アラムの巧みなマッチメイクもあり、遠からず脚光を浴びるだろう。

 デビュー前、彼はこんな言葉を残している。

 「僕はスーパーフライ級で世界タイトルを獲るつもりです。Top Rankは自分の才能を発揮するのに最適なプロモート会社だと信じます。 9歳の時からアマチュアとして試合に出て、すべての大会で優勝しました。そして今は伝説的なプロモーションと契約し、デビュー戦でも強敵を下しました。誇らしい足跡ですよね」

 期待の新星らしく、2024年4月のデビューから、6月、8月、9月とハイペースで試合を重ねている。この勢いは、簡単には止まりそうもない。

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 4月の試合後、ナヴァーロは言った。

 「Top Rankがラスベガスで組んでくれたデビュー戦は、実に楽しかったです。ファンも僕のパフォーマンスを喜んでくれたでしょう。自分の実力をアメリカの様々な地で見せられることが嬉しいです。ファンが熱狂し、僕のことを覚えてくれますよね。

 世界チャンピオンへの道程は、まだ始まったばかりです。懸命に努力して、自分がどんな人間であるかを世界に示したい。その準備はできています」

Mikey Williams/Top Rank
Mikey Williams/Top Rank

 3勝(2KO)3敗となった、ニカラグアの24歳、アローヨは<斬られ役>としてアメリカ合衆国に連れて来られた。2024年に試合をするのは、今回が初めて。そして1年ぶりである。2023年9月23日の、米国初陣でも判定で敗れていた。

 そのアローヨの腕を掲げ、リングから四方のファンにアピールしたナヴァーロ。次はどんなファイトを披露するか。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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