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東京都台東区/浅草の街を走る人力車を初体験!(株)ライズアップの「東京力車」に試乗させてもらいました

デヤブロウ街歩きWebライター(東京都台東区)

 浅草で度々見かけるものといえば、観光客を乗せて街を駆ける人力車。人力車サービスは複数の会社が展開されていますが、今回はその一社、(株)ライズアップ様の「東京力車」を紹介いたします。
 趣味や仕事で何度も浅草を訪れていて、人力車自体はすっかり見慣れているけど、乗った経験は一度もない…という方も多いのではないのでしょうか。かくいう私も、実はその一人。そこで今回は(株)ライズアップ様のご好意により、初めての人力車試乗をさせて頂きました!

◆パワフルで魅力的な俥夫(しゃふ)さん達が多数在籍

 (株)ライズアップ様の「東京力車」では、台東区浅草を起点に観光客向けの人力車サービスを提供しています。

(写真ご提供:(株)ライズアップ様)
(写真ご提供:(株)ライズアップ様)

 会社設立は2019年ですが、その次の2020年には新型コロナウイルス感染拡大が浅草と同社を直撃。当時は浅草の雷門前でも人が1時間に3人程度しか通らない日もあったとのことで、相当な苦労があったそうです。

 コロナ禍がすっかり去った現在では、インバウンド需要の回復とともに浅草は活気を取り戻し、それとともに「東京力車」も大忙しです。

 「東京力車」で人力車を牽引する俥夫(しゃふ)さんは男女ともに数多く、その年齢も背景も様々です。その誰もが浅草や人力車に強い愛着を持ち、仕事に誇りを持って取り組む人ばかり。何回も人力車をリピートされているファンの方が、特定の俥夫さんを指名されるケースも度々あるそうです。

 俥夫さんの中にはプロダンサーなど、多彩な本業を持つ人々も在籍しているほか、(株)ライズアップ様の社員が俥夫さんを兼職している場合も多数。今回取材させて頂いた広報ご担当・大利さん(※上写真の右の方)も俥夫さんを兼職しておられ、「人力車は体力的に大変ですが、お客様の笑顔を見ると疲れも吹き飛びます」と、仕事に対する熱意を語られていました。

◆人力車の上から眺める「見慣れた浅草」で「新鮮な驚き・発見」に出会う

 それでは、いよいよ人力車の試乗体験!

 「東京力車」の車庫(クロネコヤマトがあったので通称「黒猫」と呼ばれているそうです)には、真新しく輝く人力車がズラリ!

 導入して1年程度の車両もあり、特に綺麗なものはTV番組の撮影などでも使用されるそうです。

 今回、人力車を引いて頂く俥夫の山本さんは元プロボクサーだそうで、爽やかな笑顔がとても素敵な方です。

 人力車に乗る時は、支えとして山本さんが逞しい腕を差し出してくれました。笑顔に白く光る歯が合わさって、「キラッ☆」という効果音も似合いそうです。

「シートベルトをしますね。人力車って、自転車と同じ軽車両扱いなんですよ。他の自動車といっしょにバンバン車道を走って行くので安全面には特に注意を払っています。」

 人力車の真っ赤なシートに腰を落ち着け、いよいよ走行スタート。

 まずは並木通りを通って雷門近くへ。この辺りは普段から多くの観光客が往来していますが、特に三社祭や隅田川花火大会などのイベント時はとりわけ大群衆が詰めかけるエリアでもあります。そんな時は俥夫さんもルート選びを工夫しながらの走行になるそうです。

 雷門辺りで右折し、吾妻橋の近くへ。遠くにそびえるスカイツリーが綺麗ですね。

 山本さん曰く、人力車は浅草圏内を周るだけでなく、橋を越えて墨田区などへ行くことも多いそうです。お客様のオーダーによってはさらに遠くへ行くこともあるそうで、驚いてしまいました。

東京駅まで行くことも度々ありますね。遠方から来られた方が、最終日でテンションが上がって、『もう最後までしっかり楽しみたい!』って場合などです。東京駅まで行ったら後は帰るだけだし、そこまでタクシーで帰るくらいなら、人力車でギリギリまで楽しみたくなるそうです。」

 吾妻橋近くから脇へ入り、隅田公園沿いの閑静な道を行きます。

 乗っているうちに気づいたのですが、浅草ご在住の方々が人力車の近くを通りすがる時、山本さんとご通行の方が気さくに挨拶を交わされることが度々ありました。

 本当に知人同士、家族同士のような屈託ない言葉がやりとりされているのを見ると、人力車の俥夫さんと浅草地域の方々が、ひとつのコミュニティとしてすっかり馴染んでいるのを感じさせてくれます。また、観光客に比べて件数が多くないとはいえ、浅草近辺ご在住の方が人力車を利用することも度々あるそうです。

 人力車は隅田公園沿いから左折して再び浅草寺へ近づき、横道を入って浅草神社へ。この近辺が一大観光地であるのが言わずもがなですが、同時に仲見世通りの揚げまんじゅう、伝法院通りのカレーパンやメンチカツ、様々なスイーツ類など甘味・食べ歩きに事欠かないスポットでもあります。

人力車の乗車中にテイクアウトされるお客様もたくさんいますね。お団子とか、お酒を買ってから人力車に乗って、それで浅草をゆっくり1時間くらい周ったり。」

 乗る前に想像していたよりもずっと、人力車での楽しみ方は多種多様です。

 また、人力車の主要な顧客といえば、コロナ禍前を超える勢いで戻ってきた外国人観光客(インバウンド)の方々。浅草神社や浅草寺には、今日も外国からの方々が数多く訪れ、日本の文化や風土を楽しんでいます。

 山本さんが言うには、外国からの方の国籍はアメリカや中国が多く、最近ではカナダやスペインから来られる人も目立つそうです。

「(俥夫の間では、接客のため)英語が使えるのが最低限みたいになってきてます。その中で、さらに中国語ができる人も増えたりとか。」
「言語的にあちこち対応しないといけないのは大変ですけど、話せると楽しい!っていうのもあって、結構みんな前向きに勉強してますね。

 逆に珍しい国籍では、地球の反対側のブラジルから人力車に乗りに来られた方も!そう言う場合は、日本語だけでなく英語も通じない場合があって苦労されるそうですが、お客様の満足のため、自動翻訳アプリなどを駆使しているとか。

「やっぱり、人力車のおかげで『日本に来てよかった!』って言ってもらえると有難いですね。東京で一番楽しかったのは人力車、なんて言われたら最高じゃないですか。」
「乗車後のお客さんにポストカードを渡してるんですけど、メッセージを書けるようになってます。そこに結構(海外の方が)色々書いてくださって、凄い励みになってますね。」

 ちなみに、インバウンドの方々に浅草寺以外の人気スポットを山本さんに聞いてみると、答えは意外なことに「今戸神社」でした。日本の招き猫が海外からすると非常に珍しく見えるので、フォトスポットになっているとか。

 浅草神社を後にして、人力車は馬道通りを南下し、最初の車庫へと戻ります。

 帰路の途中でも、人力車を引く山本さんに多くの方が声を掛けてきました。地域の方々が挨拶を交わしたり、別の人力車を引く俥夫さんと声を掛け合ったり、外国の方が笑顔を向けてきたり。人力車という存在が浅草地域でどれだけ愛され親しまれているかが、山本さんの背中から伝わってきました。

 古くから芸能・観光の街として栄え、外部から多くの人々を呼び込んで発展してきた浅草。現在はそこに海外からの方々も加わって、かつてない盛況ぶりです。

 様々な出身・文化・立場の人達が混交する浅草の街において、人力車と俥夫さん達がコミュニケーション作り≒コミュニティ作りの潤滑剤として果たしている役割は非常に大きいのではないか…とも感じられます。

◆SNSでも広報拡大中!今後に期待

 人力車の試乗体験を終えた感想として、すっかり見慣れていたはずの浅草の街が、軽快に走る人力車の上からはとても新鮮に見えるのが驚きでした!俥夫さんの軽妙な説明を聞きつつ、談笑しながらの浅草観光には、地上から巡り歩く浅草観光とはまた違う「味」があります。ご家族やカップルでの乗車が多い人力車ですが、機会と興味があれば一人で乗ってみるのも良い経験になってくれそうです。

 なお、東京力車ではSNSを活用したプロモーションにも力を入れており、特にInstagramでは運転手の写真、浅草の風景などが頻繁に投稿され、多くの「いいね」やコメントが寄せられています。YouTubeチャンネルも開設しており、人力車の魅力を動画で伝える取り組みも行っています。

 さらに、今後は外国人観光客向けのサービス拡充を図り、東京観光の一環としての人力車体験をより多くの人に知ってもらうことを目指しているとのことです。広報ご担当・大利さんは「東京全体を舞台に、人力車での観光を楽しんでいただけるよう、サービスの幅を広げていきたい」と意欲を覗かせていました。

 浅草の美しい風景とともに、人力車という伝統的な乗り物で巡る旅は、観光客にとって特別な体験となることでしょう。「東京力車」と人力車の今後に期待ですね!

(写真ご提供:(株)ライズアップ様)
(写真ご提供:(株)ライズアップ様)

(株)ライズアップ(東京力車)
【住所】本社/東京都台東区雷門1-8-1 三枝ビル4階
    チケット売り場/東京都台東区浅草1-2-1 浅草タウンホテル1階
【最寄駅】チケット売り場/東京メトロ銀座線浅草駅1番出口より徒歩0分
【電話番号】03-5830-8845
【リンク】ホームページInstagram

街歩きWebライター(東京都台東区)

カフェ・居酒屋探し、博物館・美術館見学、銭湯巡りや寺社探訪など、都心部の街歩きが大好き!特に都内で暮らし始めた頃に住んでいた浅草近辺、博物館・美術館が沢山ある上野界隈など、台東区内を月に2~3回は散策しています。東京23区でも面積最小ながら、歴史と見所が詰まった台東区の魅力を積極的に発掘・発信していきます!

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