京都より紡がれる正統派の「柏餅」三千家や名だたる料理人にも重宝される白味噌のみそ餡をぜひ。
桜餅と入れ替わるように和菓子屋さんに並ぶのが柏餅。
あの大きくて張りのある柏の葉がショーケースを埋め尽くすと、あぁ、季節の移り変わりは子供の成長と同じくらいあっという間なのだなぁと実感するのも毎年の恒例に。
今回ご紹介する京都の老舗、美しさではなく「体に優しい美味しさ」を追及する「仙太郎」さんにも3種類の柏餅がならびました。
形は昔ながらの兜型。その見た目から、蛤型という方もおりますが、やはり男の子にあやかった節句ということなのでここは兜型といいたいところ。
仙太郎さんの兜型は、中心のふくらみが比較的高めの立体感のある仕上がりになっているような気がします。材料も伝統に則った粳米を蒸して搗きあげたもの。
京都の老舗割烹などをはじめ、全国からも信頼の厚い老舗商店の「山利」さんの白味噌を使用した「みそ餡」が拘りの柏餅。塩分が控え目な白味噌は、塩気ではなくふんわりと丸みを帯びた口当たりと白あんの甘味を引き立ててくれる存在に。おしとやかなみそ餡です。
三種類の中でもっとも柏の葉の香りを感じられました。
まさに仙太郎さんの柏餅の「基本のき」ともいうべき味わいの「こし餡」。蒸しあげられた粳米特有の、ほんの少しの粘り気と弾力や、噛みしめるたびに餅とこしあんの甘味や素朴な風味を味わえる逸品。
大胆なくらい野趣に富んだ蓬の風味と爽快感が病みつきになる「粒餡」。若干頬の内側を刺激する感覚に、蓬が強すぎるかなと思うものの、そこに粒餡のほくほくっとした旨味や甘味が重なることにより、独立していた蓬の青々しさがむしろスパイスのようなアクセントに。
4月20日までは桜餅も店頭に並ぶそうなので(公式サイトより)、桜の春と新緑の春どちらの美味しさも味わえそうですね。
せっかくなら欲張って春の移り変わりを満喫しちゃいましょう。