トヨタ『私はクルマ屋を超えられない』豊田章男『モビリティ(可動性)』への決断『トヨタイムズ』のゆくえ
KNNポール神田です。
『私自身はどこまでいってもクルマ屋。クルマ屋だからこそトヨタの変革を進めることができたと思う。しかし、私はクルマ屋を超えられない、それが私の限界でもあると思う。佐藤新社長を軸とする新チームのミッションはトヨタをモビリティカンパニーにフルモデルチェンジすること』だった。
トヨタ自動車は2023年1月26日、4月1日より、豊田章男(66)社長が会長に就き、Lexus International Co. および GAZOO Racing Companyのプレジデントを務める佐藤恒治(53)執行役員が、次期社長に就任する人事を発表。初代プリウスを誕生させた内山田竹志会長(76)は退任する。
トヨタイムズ Twitterのフォロワー数は22.2万人
オウンドメディアである、『トヨタイムズ』で2023年1月26日木曜日16時に発表した。
■トヨタの年間広告費の4,708億円、続きは『トヨタイムズ』
2019年、香川編集長の頃のトヨタのCMは『トヨタイムズ』への送客が中心だった。2022年8月、香川照之氏のスキャンダルを受け、香川編集長のかかわる全コンテンツが削除された…。当時のトヨタの年間広告費は4,708億円だった。
トヨタの年間広告費4,708億円(2019年)。
現在の『トヨタイムズ』のYouTube登録者人数は、26.4万人(1月27日現在)。
https://www.youtube.com/c/toyotatimes
本来、予測していた登録人数とはかなりの差があることだろう。
広告宣伝費で割ると、なんと一人あたり178万円にも相当する。
また、トヨタの従業員だけでも7万人おり、連結社員で37万人だ。
せめて、社員とご家族、親類にはぜひ、YouTubeの登録を呼びかけるべきだろう。
そして意見を傾聴すべきだ。
一方、ウェブの『トヨタイムズ』もPVや訪問数では、課題を抱えているようだ。
今年の2023年4月1日の新体制を機に、3月の頭くらいからは『新生トヨタイムズ』へ向け、読者や視聴者と共に、どのような『トヨタイムズ』であるべきかを今一度、『トヨタフィロソフィー』に鑑みて、企画を練りなおすべきだろう。
『トヨタフィロソフィー』には、『ミッション、ビジョン、バリュー』が、明確に明記されている。そう、この『プロンプト』を実現するために企画していけば良いのだ。
https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/philosophy/
『ミッション』を語る豊田章男社長
むしろ、膨大な予算をかけてでも、オウンドメディアではなく、『モビリティ』をテーマとした『ABEMA』のような『プラットフォーム基盤』の『メディア』を作るべきだと筆者は思う。『脱・広告主』だ。社会との対峙を考えると、NHKクラスのコンテンツを作ることも可能だ。NHKの国内放送費用は3195億円であり、トヨタの広告費で、朝ドラも大河もニュースもNHK全体の製作が可能なのだ。それでもまだ、1513億円余る。
クルマと楽しむたち人たちが動画をアップしたり、新たなモビリティ開発チームをYouTuberらが楽しむなど、VIEW数の稼げる企画はいくらでも生まれ、ストレートなニュースは『トヨタイムズ』でしっかりとやることができる。それ以外の『可働性』『幸せの量産』などのテーマチャンネルいくらでも無限にあるだろう。
それらを、走りながら、悩みながら、ステークホルダー、関係会社、ディーラー、ユーザー、ユーザーの家族そして、それら以外の人にとって、トヨタのメディアプラットフォーム事業を通じて、情報提供とCGMの関係性を考えるメディアは成立するのではないだろうか?
地域のニュースなど、インターネットなので、配信地域を変えてディーラー単位での取材可能だ。そう地域性ニュースは、『みんなの経済新聞』『やんばる経済新聞』などのスタイルなどが参考になる。
プランBとしては、『サイバーエージェント』と『テレビ朝日』の合弁事業の『ABEMA』に資本参加、広告参加というラインもあるのではないだろうか?
AbemaTVの2022年9月期の決算は、売上高365億2900万円(前期比41.4%増)、営業損失113億1700万円(前の期は137億4600万円)、経常損失116億6800万円(同140億4300万円)、最終損失118億3200万円(同171億3900万円)と巨額の赤字を計上している。赤字補てんの120億円と売上365億円を足しても500億円でお釣りがある。
テレビ朝日のコンテンツを富川アナが仕切ると、もはやテレビのように見えてくるだろうし、ABEMAのチャンネル内に公式モビリティチャンネルとして流しやすい。
むしろ、環境のことや、水素のこと、グローバリゼーション、ドキュメンタリーとABEMAの力をいれることができなかった分野の取り込みは、現在のクルマの顧客とクルマを持たない未来の顧客をつなぐコミュニケーションメディアとなるはずだ。
YouTubeに挙げられているクルマに関する動画だけでもかなりまとめると見応えがあるのではないだろうか? もちろん、メディアだからトヨタ以外の自動車産業、モビリティ産業全体の応援団としての年間プラットフォーマー代金の4708億円ならばかなりの使い勝手がありそうだ。
■時価総額30兆円企業のトヨタ、5000億ドル(65兆円)のテスラ
本日(2023/01/27)のトヨタの株価は、1892円。発行株式数をかけると時価総額となり30.87兆円だ。
純利益率は6.6% トヨタの2022年新車販売数は956万台
https://www.google.com/finance/quote/TSLA:NASDAQ?window=MAX
テスラの本日の株価は160.27ドル、この1年で半額に落ちて時価総額は5,022億ドルだ。2022年の年初は1兆1366億ドル(約138兆6000億円)だった。本日の129.71円だと、65.14兆円の時価総額となり、トヨタの2.1倍の企業価値である。
テスラは昨年からトヨタの2.4社分の時価総額(73兆円)を毀損している。
売上に対する純利益率は15.22%だ。
純利益率はトヨタの2.3倍だ。
自動車業界での数のトヨタから質のトヨタへも課題のひとつだ。
2022年7月の四半期でX軸に販売数、Y軸に純利益をマッピングしてみた。
売上に対しての純利益の比率が明確だ。四半期53万台しか販売できていないメルセデスと262万台販売しているトヨタとでは、純利益で大きな差がでていることがわかる。フォルクスワーゲンにはまさるが、GMにも負けているのは努力目標として考えられそうだ。
データソースは日経の記事より https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD0281H0S2A101C2000000/
■『トヨタ』の第三次創業期
豊田佐吉が自動織機で、繊維業に革命を起こすのが1918年(現・豊田紡織株式会社)。あれから105年。創業10年目の1929年の世界恐慌で多角化の中で自動車製作部門を設立したのが1933年。第二次創業期だ。
それからでも、すでに90年経過している。1937年にトヨタ自動車工業を設立する。そして世界のトヨタとなる。豊田章男社長が、2019年『モビリティカンパニー』で『自働化』を唱え、2021年CESショーで『WovenCity(ウーベンシティ)構想』を発表。そして2023年会長なり、第三次創業期を迎える。
テスラ・ロードスター』を発売する。創業からまだ20年だ。トヨタ105年の歴史の1/5だ。テスラの販売数は年間131万台トヨタの年間956万台は、テスラの7.2倍も販売している。
テスラの四半期売上は3.1兆円、純利益4800億円
トヨタの四半期売上は17兆7,093億円(テスラ比57倍)、純利益1兆1,710億円(テスラ比2.75倍)
トヨタはたくさん作って販売しても純利益率は6.6% テスラの純利益率は15.2% と2.3倍の差であった。時価総額も2.1倍。
現行のガソリンやハイブリッドの『クルマ』での成功から、新たな『EV』は『水素』さらに、『モビリティ』や『WovenCity(ウーベンシティ)』のような街づくり、『空飛ぶモビリティ』や人が関わる『にんべん』による『完全自働化』という新たな創業へ望む体制でのスタートが動きだす。
先が見えない時代だからこそ、若返りのバトンタッチは、エスタブリッシュな企業ほど、最優先課題といえよう。
社長で、まだまだ頑張れると思っていても、会長職で権限を委ねるというデシジョンは、日本の企業一番不得意なところなのかもしれない。